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ssh1003 志望理由って、何? [志望理由・進路選択]

<2017>

 ssh9, 10, 11として10年前にアップした「志望理由って、何?」のシリーズを再編しました。

■■
 今回は「志望理由書」のお話です。
 あなたは、なぜそこ(その大学学部学科)を志望するのか?

 まず、最初に、どうしても伝えておきたいのは、一番強い=勝てるのは、あなたの「本当の志望理由」だということです。

 ウソ、きれいごとは、簡単に見破られてしまいます。本音から発せられたものこそが勝てます。

 例えば。医学部医学科を志す生徒が、こんなことを言ったとしましょう。
 「ドラマなんかでさあ、飛行機ん中で急病人が出たりして、『お客さまの中にお医者様はいらっしゃいませんか』なんてアナウンスされて、すっくと立ち上がるなんてのあるじゃない。あーゆーの、カッコいいなあって思ってさあ。」
 もし、これが本当に、本当にホントーに、あなたが医師を志したきっかけだとしたら、それを否定してはいけません。
 だって、それが本当の理由なんですから。 「自分の本当の気持ちを、他人に言葉で伝えるのは難しい」
 これがこのブログの出発点です。

 他人に自分の考えや気持ちを伝えるには、言葉にして伝える必要があります。
 でも、私たちは普段、自分の気持ちや考えを、いちいち言葉にして他人に伝えたりはしません。だから、自分の気持ちを言葉にするという行為に不馴れです。

 自分はなぜそれを志すのか?ーそう問われて、初めて、何となく思っていたものを言葉にしなくてはならなくなります。
 言葉にならない気持ちは、相手にはうまく伝わりません。
 残酷な言い方をすると、言葉にできなかった気持ち=相手に伝えられなかった気持ちは、ないのと同じです。

 自分の気持ちを言葉にするというという不慣れな作業は、意識的に、無理矢理やるしかありません。
 
 どうすれば、何となく、ぼんやりと考えていることを、明確な言葉にできるのか。
 そのヒントは、「問いかける」ことにあります。


 「ドラマなんかでさあ、飛行機ん中で急病人が出たりして、『お客さまの中にお医者様はいらっしゃいませんか』なんてアナウンスされて、すっくと立ち上がるなんてのあるじゃない。あーゆーの、カッコいいなあって思ってさあ。」
 このセリフには、重要な「問いかけ」のカギがあります。
 この人は、「カッコいい」から医師に憧れたと言っています。となれば、

 1 なぜ、機内の医者は「カッコいい」のか?
 2 医師は「カッコいい」仕事なのか?
 3 なぜ、「カッコいい」仕事をしたいのか?
 4 そもそも、この人にとって「カッコいい」ってどんなことなのか?
 5 カッコさえ良ければ、どんな仕事でもいいのか?

 こうしていろいろな問いかけ(ツッコミ)をしていくと、何か1つ2つ、ピクッとくる問いが出てきます。
 例えば、3に対して、「そりゃあ、誰にでもできるような仕事なんかしたって面白くないじゃん」という答えが出てきたとすれば、そこにさらなる問いかけのチャンスが生まれます。
 誰にでもできる仕事って何?
 面白いってどういうこと?
 働いてお金がもらえるだけじゃ面白くないの? などと。
 こうして問いかけをしつっこくしつーっこく浴びせて行くうちに、何か重大なものにブチ当たることがあります。

 小論文・面接などの指導の達人は、実はこの「問いかけ」がうまいんです。
 言い換えると、いろんな問いが思い浮かぶ。悪く言えば、ツッコミの達人。

 以下、バーチャル面談形式でいきます。
 Sが受験生、Tは指導担当の先生。

 T:誰にでもできる仕事って、例えば何?
 S:まあ、例えば、工場のラインの組み立てとか。
 T:工場勤めが誰でもできるわけじゃないだろ。先生は自信ないなあ、すぐやめちゃうと思う。体にきついし、すぐにあきちゃいそうだよ。だから工場勤めの人って偉いと思うがなあ。
 S:いや、そうじゃなくってさ。つまりさ、ラインの仕事につくのに、大学で何年も勉強するとか、そういの、いらないじゃん。
 T:じゃあさ、イチローはどうだよ。高卒だぜ、あいつ。
 S:イチローはカッコいいよ。
 T:だけど大学で何年も勉強したわけじゃないだろ。
 S:うーんと・・・意地悪いなあ、先生。そうじゃなくって、オレの言いたいのはさあ・・・。例えばさあ、イチローとか荒川静香とか、才能があるとか、うんと頑張って身に付けた技とか、そういうのを持ってるのって、カッコいいと思うんだよね。医者もそういう感じじゃん。誰にでもできることじゃないでしょ?
 T:そうすると、「そう簡単にはできないことができる人」になりたいってことかい?じゃあ霊が見えるなんてのは?
 S:あのさあ・・・そんなの仕事にしてる人いるわけないって・・・ん?いるか。でもさあ、そういうのは違うよ。第一、オレ霊視なんかできないよ。そうじゃなくってさあ、えーっと、うーんと・・・。あ、そうだ!
 T:なんか思い付いたかい。
 S:うん、そうそう、つまりさ、イチローにしても医者にしても、たくさんの人に喜ばれるような、しかも簡単にできないようなことをさ、頑張って身に付けたってことじゃない?だからカッコいいんだよ。
 T:お、カッコいいこと言うねえ。
 S:そうかな。
 T:そうすると、こういうことかな。世の中の人、大げさにいうと社会に求められる仕事で、しかも高い技量が必要な仕事。そういう仕事をキミはやりたいと。で、キミにとって医者こそがそれだと。それってもしかして、「社会的に大きな使命と責任を負った仕事で頑張りたい」ってことだったりして。
 S:先生はミョーに立派な言葉で言うんでちょっと恥ずかしいっていうか、まあナンだけど、でも、それ、けっこう外れてないような気がする。
 
 「カッコいい」というのは、「責任」や「使命」を強く持った仕事という意味なのかもしれません。
 「問いかけ」は必ずしも他人にやってもらう必要はありません。自問自答という言葉があるように、一人でもできます。
 ただ、いずれにしても、自分のホンネを明確な言葉にするには、いい「問いかけ」が必要なことは間違いありません。
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