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ssh1006 あえて正反対の立場を取る [リテラシー・思考力]

<2017>

 引き続き、2006年初出の記事の再編です。

 2006年、北朝鮮が核実験を行いました。
 その時、私はこんな問をあえて立ててみることを示しました。

 「北朝鮮の核実験に賛成できる理由を考えなさい」

 別に北朝鮮を応援しろって言ったんじゃありません。
 これは思考力とリテラシーのトレーニングとして有効な問と考えたのです。

 どこの国がやるにしても、核実験に積極的に賛成する人はまずいません。そういうことはないほうが普通はいい。
 だから、この「問い」に答えるためには、一時的に自分の意見と正反対の立場に立つ必要があるはずです。この問を立てたのはそういう理由です。

 ものごとを考える時には、多面的にものを見る必要があります。一面的な見方では、相手の本当の姿はよくわかりません。できるだけ多面的に、最低でも裏と表の2面からものを見なければいけません。
 なぜ一面的だといけないのか?それは、一面的な見方だと、どうしても大した答えは見つからないからです。

 例えば、
 核実験はけしからん→強く制裁せよ→おしまい
 いじめはけしからん→いじめた生徒と保護者を厳しく指導せよ→おしまい

 これでは、原稿用紙が90%くらい余ってしまいます。TVのコメンテーターならこれでも商売になるでしょうが、受験生がこれじゃアウトです。
 しかしここで、

 核実験はけしからん
→なぜそんなことをするのだろうか
→彼らが実験を行わねばならない理由はなんだろうか?
→核実験をすることで得られるメリットは何だろう?
→・・・

 あるいは 
 いじめはけしからん
→なぜいじめるのだろうか
→いじめることのメリットって、あるんだろうか?
→あるとすれば、何だろう?
→・・・

 と、反対側の視点から見ようとすると、いろんなことが見え始めます。

 このやり方は、課題文のある小論でも使えます。
 つまり、あえて課題文の主張への反論を試みるという作戦です。
 反論をするためには、相手の意見・論拠の矛盾や不足を探す必要があります。そのため、そういう心構えで課題文を読むと、集中力がアップして読み取りが早く正確に行けます。

 一つ補足。核実験くらい大きな問題になると、「核実験のメリットとは?」と考えたところで、知識不足で答えが見つからない可能性大です。
 そういう時はどうするか?
 「調べる」ことです。わからないことは、調べることです。図書館でもインターネットでも本屋でも、話のしやすい先生でも、何でもいいからとにかく調べてみることです。
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