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ssh1008 あぶない!思考停止の言葉 [リテラシー・思考力]

<2017>
<ssh29再録>

 考えるとは、問い続けること。

 問い続けるということは、なかなか答えが出て来ないということでもあります。一つの問いに対して一つの答えが出たからと言って、そこであっさりやめるわけにはいかない。本当に納得のいく、読み手に「ほう、なるほど!」と膝を打たせるような答えを見つけるまで、問い立てと答え探しを続けなければならない。実にしんどいことです。

 ところで、TVや新聞などのマスメディアの場合、数々の社会問題を扱い、それに対してなにがしかのコメントを出さねばならなりません。ひとつひとつの問題に小論文のように深く問いを立て答えを探していたのでは、7時のニュースは24時間番組になってしまいますし、新聞は電話帳並みの分量になっちゃいます。
 だから、TVや新聞では、仕方なく、こんなコメントで片付けて次に行くしかありません。
 「一刻も早い解決が求められます。」
 「常識として考えられない犯罪と言えます。」
 「国民に納得のゆく説明が必要と言えます。」
 「いずれにしても、このような行為が許されるはずはありません。」

 私たちは、TVや新聞はエライものだと思っています。入社試験も難しいし、言ってること書いてることもよくわからないことが多い。
 しかししかし。上記のようなコメントは、しょせん時間制限や字数制限の中で、話題を切り替えるための強引なまとめに過ぎません。
 こういう言葉は、小論文では絶対に使ってはなりません。ええ、絶対です。 まとめというのは、「これでおしまい、これ以上は考えないでください」というためのものです。そこで考えるという行為は打ち止めになります。
 考えることをやめてはいけないのです。

 上記のような強引なまとめの他に、以下に挙げた言葉は思考停止の一歩手前の言葉です。要注意です。

 ・常識/当たり前のこと/当然のこと (なぜ当然なの?なぜ常識なの?ホントに、ホントーに常識?その根拠は?)
 ・あってはならないこと  (つまり、ゼロにできるということ?ホントに?)
 ・○○に決まっている  (ホントに決まってるの?) 
 ・断固たる/確固たる/毅然とした  (どういう姿勢?強くでればそれでいいの?)
 ・愛/思いやり/優しさ (まったく同上)
 ・努力/必死/死にものぐるい/やる気になればできる (これも同上)

 こういう言葉をつい使ってしまうのは、どっちかというと生真面目な人に目立ちます。
 生真面目な人はどうしても問いを立てる前に道徳的な善し悪しを判断してしまうクセがありまして、つい「こういうのはよくない!」と断罪してしまって、そこで思考が止まってしまうことが往々にしてあります。
 「成績はいいのに小論文はイマイチ」 という人がよくいますが、ここいらへんがその一因なのだと思います。
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