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ssh1012 受験勉強はネタ知識の宝庫 [リテラシー・思考力]

<2017>
<ssh40再掲 加筆訂正あり>

①社会主義というのはバスのようなもので、そのバスに乗れればその国は社会主義へ移行する。しかし、バスに乗り遅れると、もはや社会主義へ移行することはなく、資本主義のまま発達する道を選ぶことになる。

②大学で学ぶ上で一番大切なものは、努力でも才能でもない。それは好奇心=知的好奇心だ。「なぜそうなるのだろう」といった好奇心こそが学術的研究の原動力となる。

③遺伝子が生物の身体や行動を作るということはすでに解明されているが、最近の研究によると、その正反対の作用もあるかもしれないという仮説が出て来た。後天的な経験から得られた身体的な特性や行動が遺伝子に影響を与え、遺伝子を変化させるというのである。

④私が若い頃に長期の一人旅をしたころは、家族との連絡は手紙によってしかできず、手紙は書くのも手間なら届くまで何週間もかかった。今は電子メールで簡単に連絡が取れる。私の友人は、メールのおかげで今まで話しにくかったこともやり取りできるようになった、メールでなければこれほど親と打ち解けることはなかったのではないかと言っている。

 何の脈絡もない話ばかりですみません。
 以上は大学入試の英語長文問題で実際に出題された内容です。中学生なら(仮に帰国子女で英語ペラペラだとしても)まず絶対に理解できっこない内容ですわね。

 小論文を書くには一般教養や知識やいい視点観点が必要だと言われます。
 私はそういうのを「ネタ知識」と呼んでいます。
 実は、大学入試の勉強は、そういうネタ知識を仕入れるのにとても便利なものです。

 別に英語に限りません。現代文、古典、地理歴史公民、理科、家庭科、体育、LHR、小論文の課題文・・・。みなさんが学校なんかで勉強させられていることには、実はネタ知識になるものがいーっぱいあります。
 例えば③なんかは完全に生物学の話ですが、このネタ知識でいろんな分野を攻められます。

・教育系:かつて私は③のような文章を見たことがある。であれば、どんな生徒に対しても努力することを促すのは必然ではないか。見込みがないとか向いてないとかセンスがないとかいう理由で努力を否定してはならないのではないか。

・法学系:今、我々が常識だと思っていることが、ある日突然180度変わると言うことはある。③のような例もある。そうであれば、社会正義も絶対はなく、その時代ごとに変わりうるものであり、従って法律というものはその時代に合わせて変えることには理があるのではないか。

・医療系:私は延命治療を安易に否定したくはない。生きる可能性が少しでもある以上、それを簡単に捨ててはいけないと思う。③のような例もある。不治の病だと思っていたものが、闘病中に新薬が開発され治療可能になるというごく薄い可能性に賭けたいという患者に対して、「そんな可能性はほとんどゼロだ」と言えるだろうか。

 小論文のネタに、他の教科で習ったことを使ってはいけないという決まりはありません。
 ネタバレの心配は無用です。校内の小論コンテストならネタバレの可能性もありますけど、入試本番は日本中のあっちこっちの学生が受験します。


 せっかく苦労して、難しくてメンドー臭い受験勉強をやってるんじゃないですか。
 だったら、とことん利用してやりましょう。
 文法だの解法だのだけじゃなく、長文の内容や時代背景なんか、先生が解説してくれることもどんどん自分のネタ知識にしてしまえばいいんです。
 センター対策のつもりでやっている勉強が、すごい小論対策になってるかも知れません。
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