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ssh1055 アレン・ネルソンは「Peace Is Fun」と言った [社会]

<2017>
<ssh736再録>

 アレン・ネルソン氏について書きます。

 アレン・ネルソン氏はアメリカ海兵隊員としてベトナム戦争に従軍。帰国後PTSDに悩まされ、友人の勧めで小学校で従軍経験を講演。その際、小学生に「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」と問われ、深い沈黙の後Yesと解答、目を閉じたままのネルソンに小学生たちが共感のハグを次々と行いました。それ以降、彼は自身の経験を講演会で伝え続けました。特に日本には何度も訪れ、1200回以上の講演を行っています。2009年に癌で亡くなっていますが、原因はベトナムで触れた枯れ葉剤ではないかとされています。

 ネルソン氏は私の地元にも来訪しました。
 私は彼の講演を2回聞いています。

 彼の講演はお説教とは無縁です。事実を淡々と伝え、その上で自分の意見を述べます。
 本当の戦争にはヒーローもヒロインもいない、本当の軍隊は訓練で「Kill! Kill!」と叫ばされる。本当の軍人は敵を撃つとき頭部や心臓など小さく狙いにくい所など狙わず、一番当たりやすい上半身の真ん中を狙えと教えられる、命中すれば敵はもがき苦しんだ末に死んでいく、等々。

 ネルソン氏は日本国憲法を高く評価していました。世界中で「戦争を知らない子ども」が普通なのは日本だけである、その原動力が日本国憲法だと。

 実は私は、とあるネルソン氏の講演で、インタビューを担当したことがあります。英語教員ということで、講演後にネルソン氏にインタビューを行い、それをまとめて原稿にせよという仕事をもらったのです。

 私のインタビューは、まあ通り一遍なものでした。ネルソン氏について事前に調べておいた(と言っても誰でも知っていること)ことについて質問しただけ。
 次の質問も、その流れでついでに聞いただけのものでした。
 
 ネルソン氏は学童や学生など若者に講演をする機会を大切にしていました。地方の小学生・中学生・高校生であっても、わざわざやってきて講演をしていました。
 そして講演後、彼はギターを弾いて子どもたちといっしょに歌う機会を設けていました。

 私はネルソン氏に、このことについて尋ねました。
 なぜ平和に関する講演会で、ギターを弾いていっしょに歌なんか歌うんですか、と。


 ネルソン氏は微笑んで言いました。
 「あれはただ、楽しい時間を過ごすためのものだよ。」
 え?それだけ?
 訝(いぶか)しむ私の表情を察したのか、ネルソン氏は目を大きく見開き、ニヤリと笑いながらこう言いました。


 PEACE IS FUN! 
「平和って、楽しいものですよ。」



 平和という言葉は、かなり都合良く使われます。
 戦争を始める人間は、たいてい平和のためと言います(でなきゃ自衛のため)。
 本来正反対の関係にある戦争と平和がイコールでつなげられるところが、人間社会のヘンテコなところです。


 ネルソン氏のこの言葉は、平和の本質をかなり言い表しているんじゃないでしょうか。

 楽しくなけりゃ、平和じゃない。のかな。
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