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ssh86 一文は短くなる〜作文技術(7) [作文技術]

<2007>

 ここまで7回に渡って文章を書く技術を紹介してきました。

 ・主述は接近させる
 ・読点を減らす
 ・接続助詞を使わない
 ・主題から書く
 ・修飾語句を減らす

 実は、これらのポイントをすべてまとめて実践する方法があります。

 「一文を短くする」ということです。

 小学校の作文で、「一文が長過ぎる。もっと短く切りなさい。」と言われた経験はないでしょうか?
 実は、ものすごく価値のある指示なんです。

 文が短ければ、主述は必ず接近します。
 文が短ければ、読点は必ず減ります。
 文を短く切れば、接続助詞はいりません。
 文が短ければ、主題以外の余計なことは書く余裕はありません。
 文を短くするためには、修飾語句は減らさざるを得ません。

 日本語は、一文一文にあまりたくさんの情報を詰め込みにくい言語です。日本語の場合、被修飾語句は修飾語句の後に出てきますし、述語も文の最後です。
 これがヨーロッパの言語だと、わりと一文にたくさんの情報を詰め込みやすいんです。ヨーロッパ語だと、とりあえず「誰が何をどうしたのか」は全部最初に出て来てしまいます。その他の情報は、付け足しのように、接続詞やら関係詞やら分詞やらで後ろから説明されます。
 
 日本語はそうはいかない。
 となると、読み手を混乱させないためには、一文一文の情報量を絞って(つまり短い文にして)それを積み重ねていく。これが得策です。

 さて、ここで改めて、例の教育再生会議の文章を見てみましょう。

◆◆◆
 私たちは、子供たち一人ひとりが充実した学校生活を送り、自ら夢と希望を持ち、未来に向かって多様な可能性を開花させ、充実した人生を送るために必要な力を身に付けて欲しいと思います。
◆◆◆


 主述が遠い。「、」が多い。修飾語句が多い。接続助詞的な語尾だらけ。わかりにくいのも道理です。

 この文、すでに指摘したように、修飾語句があいまいなので(どこからどこまでが「ために必要な力」にかかっているのかが不明)本来の意味が不明なんですが、とりあえず、「必要な力」にかかっているのは「未来に向かって多様な可能性を開花させ、充実した人生を送る」の部分であるということにして、ここまでの技術を使って添削してみましょう。

 すると、こうなります。

 「私たちは、子どもたち一人ひとりに次のようなことをして欲しいと思います。まず、充実した学校生活を送ること。次に、自ら夢と希望を持つこと。そして、力をつけること。力とは、一つは未来に向かって多様な可能性を開花させるために必要な力、もう一つは充実した人生を送るのに必要な力です。」

 さて、こう書き直してみると、伝達内容はずいぶんとはっきりしてきます。

 しかし、なんといいますか、まあ、自分でやってみてナンなんですが、えらく印象が変わってしまいましたわ。
 断っておきますが、私はこの添削で、意味内容を改編するようなイタズラは一切していませんよ。
 なんでこんなに印象が変わっちゃったんでしょうかねえ?

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