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ssh666 アトキンソンサイクル車は1993年に発売済みです [科学と技術]

<2014>


 


◆◆130年前のエンジン技術を蘇生 大幅燃費向上を達成したトヨタの男気”(2014.5.18産経新聞)


 


【すごいぞ!ニッポンのキーテク】


 トヨタ自動車が、世界最高レベルの熱効率(燃やしたガソリンが動力に変換される割合)を実現した次世代エンジンを開発した。ハイブリッド車(HV)に用いてきた「アトキンソンサイクル」と呼ばれる効率のよい燃焼方式をベースに、不足するパワーを従来型エンジンで磨いた技術などで補い、10%以上の大幅な燃費向上を実現。4月に発売した小型車「パッソ」「ヴィッツ」を皮切りに、2015年までに計14モデルで導入する計画だ。課題だった小型車セグメントで競合他社を突き放すとともに、得意のHVにも応用してさらなる性能強化を図る。


 アトキンソンサイクルとは、霧状にしたガソリンと空気の混合気の圧縮比よりも膨張比を大きくして熱効率を改善する燃焼方式。技術自体は約130年前に確立していたが、熱効率を高めると出力が低下する欠点があり、長らく日の目を見なかった。最近は、トヨタがHV「プリウス」で用いているほか、ホンダも小型車「フィット」のHVなどで採用して低燃費化に成功している。


 トヨタの次世代エンジンは、ガソリンエンジン車でも出力を低下させずにアトキンソンサイクルを利用できる形に改良したのが特徴だ。出力低下を防ぐため圧縮比を高めると、ノッキング(異常燃焼)が発生しやすくなる。これを回避するため燃焼室内の排気効率を高めたり、新構造のウォータージャケットスペーサーでシリンダーの壁温を調整したりといった工夫を重ねた。また、新形状の吸気ポートは、エンジンのシリンダーに混合気を取り込む際、シリンダーのなかで特殊な気流を生み出して燃料が急速に燃えるように形を工夫し、熱効率の改善に貢献している。(以下略 太字筆者)◆◆




 え~、圧縮比よりも膨張比の方が高いエンジンは、1993年にすでに国内で実用化・販売されています。


 メーカーはマツダ。クルマはユーノス800という名前でした。


 アトキンソンサイクルとミラーサイクルは厳密にはちょっと違うのですが(説明省略)、本当のアトキンソンサイクルエンジンは作るのはかなり難しく、現在実用化されているのはすべてミラーサイクルエンジンです。


 なんですけど、マツダはミラーサイクル、トヨタとホンダはアトキンソンサイクルとか高膨張比サイクルとか呼んでます。


 今回トヨタが発表したパッソ、ヴィッツ用の1Lエンジンと1.3Lエンジンに用いられている技術は、国内だけで見ても全然新しいものではありません。特にヴィッツ用の1.3Lはマツダのデミオ用1.3Lとほとんど瓜二つ(燃費も全く同じ25km/L)。デミオの1.3Lもミラーサイクルで、発売は2010年。もう3年以上も前に発売済みです。あまりに似ているので、私はマツダのエンジンをトヨタがもらったのかと思ったくらいです。マツダはトヨタからハイブリッドシステムの技術供与を受けてますから、お返しに、とか。


 


 

 世界の自動車メーカーは、独自技術開発にしのぎを削る一方、国内外で技術や生産や資本での提携もしています。独自技術と思ったものが、実は他社の、それも他国の技術だったりします。新型日産スカイラインのターボエンジンはダイムラー製です。日産マーチはタイで作ってます。マツダとボルボがフォードの傘下にあったころ、ボルボのプラットフォーム(車台)はマツダ製を流用していました。それと前述のように、マツダのハイブリッドはトヨタの技術をもらっています。

 つーか、そもそもパッソはダイハツの工場で作ってるんですよ。これをトヨタの男気と言うのは、かなりムリがあるんじゃないっすかねえ。

 

 産経クンは社説だけじゃなくてクルマのことを書かせてもダメですな。

 書いた記者はもちろん勉強不足ですけど、デスクももっとちゃんと調べさせなきゃ。


 

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