ssh689 普天間は本当に還るのか?〜ssh686,687の余白 [社説の読み方]
<2014>
ssh686,687と2回にわたって沖縄県知事選に関する社説を取り上げました。辺野古推進派の論拠が代わり映えのしないものであったのに対し、慎重派はそれらへの反論が述べられており、意見文としてのデキは慎重派に軍配が上がる—というのが結論でした。
ところで、6紙の社説を読んでいて、一つの疑念が浮かんで来ました。
辺野古のきれいな海を埋め立てて基地を新設するという行為自体をすばらしい工事だと礼賛する人は、まさかいないでしょう。あれは「普天間返還のための唯一の選択肢」であるとされているからこそ忍従できることです。
でも、辺野古に基地が完成したら、普天間は本当に返還されるんでしょうかね?
◆◆米国防総省当局者は15日、日本政府が目指す米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の2019年2月までの運用停止について、「日米が合意した22年度以降の返還が唯一の方策だ。日本政府から正式な要請はない」と述べ、米政府として受け入れる考えがないことを明らかにした。
国防総省当局者は朝日新聞の取材に、「19年2月の運用停止について米政府は同意していない」と明言。「日米間でそうした話が出たとしても、日本側からの一方的な打診であり、正式な要請はない」と説明した。米政府は、日本政府から正式な要請は受けていないとの立場を示すこうした説明で、日本の打診を事実上拒否する意向を明確にしたと言える。
普天間飛行場について、日米両政府は13年4月に合意した米軍基地返還計画で、名護市辺野古沖に建設する代替施設に海兵隊の航空部隊や司令部機能などを移設させた後、22年度以降に返還するとしている。(朝日新聞 10月17日)◆◆
これ見ると、現政権の言ってることは「空手形(からてがた)」っぽいですな。
それどころか、10月26日の東京新聞によると、米軍は適当な名目をつけて2022年以降も普天間を使い続ける意思があるらしいんです。
それはいくらなんでもひどい話じゃないっすか。それが本当なら「ふざけるな、約束が違うじゃないか、出てけ!」と一喝してやらんといかん。
でも、日本政府に米軍を一喝する度胸なんか、ありますか?
◆◆在日米軍がNHKの放送受信料の支払いを拒否している問題で、NHKが打開に向けて2月に呼び掛けた会合が22日現在、開かれていないことが24日分かった。
照屋寛徳氏(社民)の質問主意書へ政府が回答した。
NHKは今年2月、在日米軍、米大使館、外務省、総務省とNHKの5者会合を要請していた。
米側は、受信料は「税金」であり免除されるとして支払いを拒否しているが、政府は、軍人・軍属とその家族は「放送受信料を支払う義務がある」とあらためて回答した。
政府が把握する米軍基地内外の居住者数の情報などを受信料の徴収に活用することについては、地方自治体の財政措置に使う情報のため、活用できないと回答。徴収した場合の受信料総額は「主体はNHK」として政府は試算する立場にないとした。(沖縄タイムス 10月25日)◆◆
たかがNHK受信料問題にして、この程度。自国民には差し押さえも辞さないというのに。
こんな調子じゃ、2022年以降も米軍がグズグズと普天間を使い続けたところで、筋を通して抗議して出てけとは言ってくれそうにないじゃないっすか。
そもそも辺野古の工事は日本政府がやってます。移設とはいえ、他国の基地をわざわざ作ってあげる国なんて日本くらいのものでしょう。
他にも思いやり予算とか地位協定とか、どーも日本政府はアメリカが相手だとヘコヘコしちゃいます。ヘコヘコして、自国民には妙に威丈高にゴリ押ししてくる。
今のような姿勢じゃ、辺野古の新基地が単なる米軍へのプレゼントになっちまう可能性もあるんじゃないっすかね。