ssh697 受験のコンディショニング [教科学習]
<2015>
コンディショニングというのは、最近スポーツ界でよく使われる言葉です。
アスリートにとって、狙った本番で最高のパフォーマンスをすることは至上命題です。いくら練習やテストマッチで強くても、世界選手権やオリンピックで結果が出せなければ満足は得られないし、強化のためにバックアップしてくれた人たちにも恩返しできない。狙った大会に自分のコンディションを最高に持って行く技術は必須です。
日本のアスリートはコンディショニングがあまり上手ではないという指摘があります。マジメ過ぎて、テストマッチでも何でも、つい頑張り過ぎてコンディションを下り坂にしてしまうのだと。努力努力で力を付けてきたアスリートにとって、練習を休んだり減らしたりするのは相当な勇気がいるのかも知れません。
2015年度センター試験まであと10日。
受験でもコンディショニングが必要であることは間違いありません。
大学入試はたいてい一発勝負。である以上、その本番をベストコンディションで迎えたい。本番に向けていいコンディションに持っていきたいもの。
しかし。そう思うようにいかないのが人生のつらいところです。
あんなに頑張ったのになぜ、みたいなことは、どうしても起きます。
どうすれば、受験生はコンディショニングをうまくやれるのか。
受験のコンディショニングについて、もっとも頼りになるのは、身近な先生たちです。
先生たちは、これまでの経験から、いろんなことを知っています。どういう時期に、どういうことをした方がいいのか、どういうことをするとマズいのか。だから、先生方のアドバイスをマメに聞いていれば、あまり問題は起きません。
先生方のアドバイスを無視して、自分で勝手にあれこれ判断して動く受験生は、得てして失敗します。ま、当然です。生まれて初めて大学受験をする現役生や、ようやく2~3回目の浪人生に、数多くの受験生を見てきた先生たちほどものがわかるはずもありません。年寄りの言うことは一応聞いた方がいいです。
ところで。
日頃コツコツ真面目にやっていて、先生方のアドバイスも割と素直に聞いているのに、どういうわけか本番に向けてコンディションが落ちて行く生徒もいます。
私の経験上、こういう生徒は必ず発生します。これまで担当したすべての学年に、そういう生徒が何人かいました。見ていて本当に可哀想なくらい、頑張っても頑張ってもどんどん状態が悪くなっていく。
模試なりセンター演習なりでいい点数が取れれば元気もわいてきますが、悪いとさらに落ち込みます。
今、そういう苦しい状態に陥っているという人もいるはずです。
そういう人たちに伝えたいのは、決して自分が悪いわけではないということです。
頑張っているのにコンディションが下降する。そういう人は、必ずいます。
どうしてかはまだよくわかりません。とにかくいるんです。
今、スランプにはまっている人は、とにかくあきらめずに、やれることを着実にやることです。
頑張っているのなら、必ず調子が上がる時がきます。仮にセンターで力を発揮し切れなくても、頑張っていればその効果はいずれ必ず出てきます。
受験は長期戦です。センターは長期戦の開幕であって、ゴールではありません。
(縁起でもない話ですが、頑張ったのに調子が下降線で結果が出なかったという生徒は、翌年には素晴らしい結果を出します。悪いコンディションでの受験はその人の本当の力ではないですから。)
直前期から受験期にかけてのコンディショニング全般で、私からできるアドバイスが一つあります。
いつもの調子で淡々と学習をすることです。
言い換えれば、
無理をしない。勇気を持って、休む時は休む。
欲張らない。一発逆転を狙わない。
新しいモノに手を出さない。今までと違うことをしない。
偏った学習をしない。苦手科目ばかり勉強して得意科目をまったくやらないというようなバランスの悪い学習はせず、どの教科も普通に学習する。
考え過ぎない。深刻にならない。心配は当然あるが、考えても仕方のないことは仕方ないと割り切る。
ほどよくリラックスする。緊張し過ぎるのはよくない。しかし平常心にこだわらない。少しくらい落ち着かなくても大丈夫。
割り切る。10日間では10日分の勉強しかできない。しかし10日分の勉強はできる。この10日間は、10日分の勉強をする。できないことはできないと割り切り、やれることをやる。
冒頭のアスリートのお話を見直して下さい。最高のアスリートですら、本番のコンディショニングのために勇気を持って休む必要があるのです。
いわんや受験生をや。直前に無理をしてコンディションを落としては本末転倒。本番のために、着実に淡々とやれることだけをこなしてください。
本番間近です。着実に淡々と、頑張れ、受験生。