ssh716 3月入試の意義 [教科学習]
<2015>
3月になりました。入試も終盤です。
多くの受験生にとって最大のヤマは2月です。2月は私立大学の一般入試と国公立大学の前期個別試験があります。第一志望校の受験は2月というケースが大半でしょう。
かつては3月に入ると試験はパタリと減り、国公立中期後期とごく一部の私大だけという感じでした。
しかし、近年は多くの私大が3月入試を実施しています。方式としてはセンター利用が多いですが、個別試験を課すケースもあります。
私の勤務校にも、あちこちの業者や大学から3月入試受付中の情報が入ってきます。
国公立中期後期にしても、私大の3月入試にしても、定員は少なめです。当然チャンスも少ない。
受験者が殺到する有名大学には、3月入試がないところも多い。
しかも周囲の受験生の多くは受験を終えています。
こういう状況のもとで3月まで受験勉強を頑張るのはつらいことです。
それでも、3月入試に挑戦することには価値があります。
3月入試の一番の意義は、学力アップです。
私の地元の国立大学の理工系学部では、推薦・一般前期・一般後期と入試が行われますが、入学者の学力は上から後期・前期・推薦だそうです。最後まで頑張った学生が、一番成績がいい。(ただしこの差は入学後はなくなるようです。推薦や前期で入った学生の方が志望が明確な分よく頑張るのでしょう。)
長男が現役のとき、国立後期の前に予備校に相談に行きましたが、ここでも職員の方から「今はとにかく後期に向けて頑張りなさい」とアドバイスされました。
受験生が、センター試験のことを意識せずに個別試験の勉強に集中できるのは、センター以降のこの時期だけです。浪人すれば、また4月からセンターを意識して勉強することになる。
この時期は、個別試験の学力アップがもっともできる時期です。
3月入試に勝負をかける受験生はもちろんですが、むしろ浪人を視野に入れている人こそ、この時期は大いに頑張る意義があります。
3月入試の意義の第二は、チャンスが意外にあることです。
私大の3月入試、定員が少ないからと言ってあきらめるのは早計です。
先日進路室に送られてきたある大学の資料によると、定員1名の募集に対し昨年は合格者を10名出していました。
現在、どの大学も定員を大きく上回る合格者は出せなくなっています。とはいえ、これはトータルでのお話。一つ一つの日程・方式では、定員の何倍もの合格者が出ることもあります。
特に、個別試験を課す入試は、案外チャンスがあります。
3月入試で個別試験を受験しに行くのは実にしんどいことです。故に出願も少なくなりがちです。国公立中期後期ですら棄権者がいっぱい出るくらいです。個別試験を受けに行くぞと思うだけで、すでにかなり競争に勝っているかもしれないのです。
3月入試の3つ目の意義として、翌年への自信があります。
これは、まだ合格校が一つもなくて浪人が見えてきているという状況で、敢えて志望と離れた3月入試に挑戦することに価値があるというケースです。
受験生にとって、一番のソウルフードは合格です。合格という結果が出てこそ、自信が生まれる。
志望の学部学科でなくても、志望の大学でなくても、とにかく受験して一つの合格を取る。そのことで自信が生まれ、翌年は頑張れる。そういうことが、実際にあります。
他には、人間的な修行という面もあります。
追いつめられた状況で、あきらめずに粘り続けると、人間は強くなります。
やれることがあるうちは、勝負は終わっていません。
頑張れ、受験生。