ssh717 東京大空襲とコミュニティFM [マスコミュニケーション論]
<2015>
最近、私の地元にコミュニティFM局が開局しました。
今日、デスクトップオーディオのチューナーでそのコミュニティ局の番組を聴いていました。
ラジオをよく聴く方ならご存知と思いますが、ラジオ番組ではよくテーマを決めてメッセージを募集します。
このメッセージがけっこう面白い。特に地方局やコミュニティ局だと、ローカル色の強いメッセージが多くて、またリピーターもたくさんいて、マスメディアにはない当事者感の面白さがあります。
さて、今日たまたま聴いていたそのコミュニティ局の番組のメッセージテーマは、「3月10日、東京大空襲の日を知っていますか」。
今さらながら、3月10日はいわゆる東京大空襲の日です。東京への空襲(空爆)はアジア太平洋戦争終盤に何回も行われていますが、その中でもっとも大規模でもっとも被害の大きかった3月10日のものを「東京大空襲」と呼んでいます。今さらながら。
番組のパーソナリティ氏が、番組終盤で、こんなことを言っていました。
戦争の記憶は風化する。それはやむを得ない。しかし風化させまいという意思を持つことは必要で、そうすることで様々が取り組みが生まれ、歴史の教訓も得られる。
自分自身、東京生まれで小中高と公立の学校に通ったが、3月10日のことを学び考えるということが学校ではなかった。広島や長崎では原爆のことについて学校でしっかり学んでいる。そうやって徹底的に学ぶことで、平和に対する教育ができているのに、と。
私は思わずうなりました。
彼の主張にうなったのではありません。
こういう意見は、マスメディアの電波では絶対に流れないだろうな、と思ったからうなったのです。
パーソナリティ氏の言ったことは、特別大したことではありません。彼は活動家でも何でもないし、こういうことを考えている人はいくらでもいます。
しかし。マスの規模を持つメディア、端的に言えばテレビで、こういう発言をサラリと言うことが、今の日本で可能でしょうか?
できないでしょうね。特に中央キー局とNHKは、ぜーーーったいに自粛するでしょう。会食の効果は絶大なり。
東日本大震災後、コミュニティラジオは地域に必要な情報や激励を伝えるメディアとして大活躍しました。救助を求める人々をただ上空のヘリから空撮していただけの中央TV局は、そういう役には立ちませんでした。
東京大空襲みたいな状況が仮に起きたら、被災者を救うメディアはNHKでも日本テレビでもなく、コミュニティラジオでしょう。
そういう極限状況はない方がいいに決まってます。
でも、不自由なメディアが流すものは不自由でつまらんですな。
コミュニティFM、面白いですよ。自由ですから。