LHR103 冬の中規模企画〜CF-1480再稼働プロジェクト(2) [DIY記]
<2016>
LHR102の続きです。
カセット部については満足いく結果にならなかったCF-1480ですが、ラジオを始め各部はちゃんと作動するようになりました。今回は再稼働後の状況をご報告。
作業終了後のCF-1480。ボディ全体をアルコールでクリーニングし、金属部分はピカールという研磨剤で磨きました。新品同様とはいきませんが、まずまずキレイになってくれました。
紛失した電源コードに代わるコードを用意するのは一苦労でした。規格が古過ぎるようで、本体側のコネクタの形状に合うコードが見つからないのです。手元のガラクタ類を引っ掻き回してみたところ、あるDCアダプターの出力側端子が偶然はまりました。これを手持ちの電源コードにつないで代用コードとしました。ビニールテープの巻かれているのがつないだ部分です。DCアダプター用の端子なのでちょっと怖かったのですが、問題ありませんでした。良い子はマネしないでください。
FM受信中のCF-1480。チューニングインジケーターのLEDも、REC/BATTメーターもちゃんと機能しています。
動かなくなっていたREC/BATTメーターの修理はこちらのサイトの情報に助けられました。針を押さえる留め金が軸に固着していたんです。インターネットは偉大です。
ラジオの音ですが、これが悪くないんです。
もちろんコンポやカーステレオのようなハイファイサウンドは出ませんが、「ラジオ」として聞き流すには聴き疲れしないいい音です。FMだとけっこう音楽が楽しめます。昔のホームラジオのような音と言ったらいいでしょうか。
それと、感度がいい。昨今のステレオラジカセのデジタルチューナーよりもいいと思います。CF-1480はモノラルなので悪条件には強いのですけど(ステレオ受信の方が雑音が出やすい)、それを差し引いてもなかなかタフな受信っぷりです。AMもかなりよく入ります。非常時に役立つかもしれません。
CF-1480のボディ裏には「イヤフォンポケット」なるものがついています。こういうギミックは当時のメインターゲットたる中高生男子の心をくすぐりました。
この種のギミックの愁眉はナショナル「マック」シリーズのマイクでしょう。小型トランシーバーのようなワイヤレスマイクが本体に収納されて内蔵マイクに早変わりというギミックで、007みたいで本当に憧れました。友人が持っていましたっけ。
最近のラジカセは入出力端子が少なくて、ヘッドフォン端子しかなかったりします。対して当時のラジカセはマルチな機能こそ売りで、入出力端子がたくさんついていた。CF-1480にもマイク・リモート・ラインイン・モニター・DCインの5つの端子が装備されています。
ラインインは外部入力で、TVやレコードの音を録音する時に使います。このラインインの音はスピーカーで聴くことができるので、ラジカセをアンプ内蔵スピーカーのように使えます。試しにiPodをつないでみたところ、ちゃんと鳴りました。音はホームラジオレベル。
モニターというのはイヤフォン端子です。なぜかソニーはこう呼んでました。他社はみんなEARPHONEと書いてありましたが。
リモート端子というのはテープのリモコン操作のためのものです。当時のマイクの多くは小さなスイッチがついていて、そのスイッチの入/切でテープの走行/停止がコントロールできました。リモート端子はそういうマイクのための端子です。ただ、このリモコンはポーズ機能と違って単にモーターの電源を止める方式のため、切にするとモーターは速度を落としながらゆっくり停止しました。そのためのテープスピードが変わってしまい、録音がヘンテコになってしまうのが難点でした。
電源コードが直につなげるこのラジカセにDCイン6Vがあるのはちょっと不思議かもしれませんが、これはカーバッテリーなどからつなぐための端子です。我が家にはクルマはなかったので無用の長物でしたが。
実はこのラジカセは専用充電池(バッテリーパック)でも作動します。バッテリーパックを電池ボックスに入れて電源コードをつなぐと充電できる。このへんは21世紀的でもありますが、肝心のバッテリーパックが当時数千円もする高価な別売り品で、使っている人を見たことは一度もありませんでした。
本体上部のスイッチ類。
ヴォリューム(音量)とトーン(音質)はスライド式。このころのソニーはスライド式ヴォリュームにご執着で、ラジカセだけでなくコンポーネントのアンプもスライドヴォリュームが使われていました。まあでも、やっぱ回転式のほうが扱いやすいですね。
一番右のトグルスイッチがラジオのバンド切り替え。AFCはオートファインチューニング(自動微調整)の略で、これを入れると受信が安定します。
その左のMIXINGとMIC FADERはマイクミキシングの操作部分。ラジオやテープの音にマイクの音をかぶせる回路で、カラオケ装置みたいなものと思えばいいです。
ミキシング機能はこの頃のラジカセのトレンドでした。しかし時代はまだカラオケなんぞない頃、一体ラジオやテープにマイクの音をかぶせてどーする?
メーカーが推していたのは、1つはDJごっこ。音楽におしゃべりを加えて自分だけのラジオ番組を作ろうてなノリ。
もう1つはデュエットごっこ。フツーの歌謡曲に合わせて自分も歌ってデュエット気分を味わいましょうと。
DJごっこは意外と流行りました。ラジオ番組、特にオールナイトニッポンなどの深夜放送の真似事をテープに録音して遊ぶ。音楽はラジオから録るか、レコード音源を外部入力から録音し、そこにマイクミキシングで自分の声をかぶせれば結構ラジオ番組気分が味わえました。
一方のデュエットごっこは、まったく流行りませんでした。まあそりゃそうだわな。カラオケじゃないし、エコーもかからないし。
せっかくなので、ソニー自慢のフルオートシャットオフ作動の様子を動画でご覧ください。テープが終わると、まずラジオのスイッチがバネ仕掛けで「バン!」とオフになり、続いてカセットのボタンが「ボン!」と戻ります。
テープ終了でラジオの電源が切れる機能はどのメーカーの製品にもありました。これがあるとラジオ番組録音中にテープが終わるとラジカセの電源が全部切れるので便利です。
ただ、多くはラジオのスイッチが入/切/スリープという3段階切り替えになっていて、スリープに入っていると、テープが作動している間だけラジオの電源が供給されるようになっていました。テープ終了でカセットがオートストップするとラジオの電源供給も止まる。もちろんこれで困らないのですけど、ラジオ録音中にスリープに切り替え忘れるとテープが終わってもラジオは切れません。
ソニーのフルオートシャットオフはバネ仕掛けでラジオのスイッチを切ってしまいます。スリープモードはなし、当然モードの切り替え忘れもありません。その代わり、テープが終わると常に「バン!ボン!」でラジオも切れてしまいます。テープが終わってもラジオを聴き続けたい時は不便です。
どっちもどっちですが、見世物としてはソニー方式の方が断然面白い。私もよく友人にわざわざフルオートシャットオフの作動を見せて自慢していました。
今後やってみたいのは、ダイヤルライトの換装です。
CF-1480のダイヤルライトはいかにも豆電球という感じの心細い暗めのものです。これをLEDの明るいものに換えてみたいなと思っています。
実は手持ちのLEDをつないで実験してみましたが、やたらと明るく光って、しかも発熱がひどくてとても取り付けられません。電流が流れ過ぎるようです。適当な抵抗を見繕って再挑戦してみましょうか。できれば白色か青色のヤツを。