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ssh1060 面接指導のゴール [面接]

<2017>


 11月は推薦・AOのハイシーズンです。現任校でも推薦・AOに挑戦する生徒が毎日指導を受けています。

 面接試験は一期一会の真剣勝負です。一見の受験生が一見の試験官に自分の志望の本気さをどこまで伝えられるか。

 「面接の練習」は予定原稿を覚えることではありません。その場で、ライブで、自分の気持ちの確かさを、初対面の人間に何とか伝えるという骨の折れる仕事です。

 総理大臣や官房長官は記者会見のときにあらかじめ質問を提出してもらってそれに対する回答を用意して原稿なりプロンプターなり見ながら答える=ただ読み上げるんだそうですけど、受験生にはそういう反則技は許されていません。大学入試は政治家のお仕事ほど甘くはないのです。


 さて、今回の記事は受験生ではなく、面接試験に臨む受験生を指導する先生たちについてのお話。

 面接指導のゴールは、どこにあるのか?


 もちろん目標は合格です。試験なんだから当然です。

 でも、不合格者も出ます。試験なんだから当然です。どんなにいい学生でも、競争相手に恵まれなければ落ちます。

 合否を決めるのは大学側。送り出す側には決められません。なれば、送り出す側には合否とは別のゴールが必要です。

 スポーツや音楽の大会であれば、勝てなくてもベストを尽くせれば納得して終わることができます。

 受験生が面接試験でベストを尽くせるように、職員の側がやるべきことは何でしょうか。


 面接指導でなかなか思い切ることができない生徒を、私はこういうふうに挑発します。

 「あなたは本当にここで学びたいとは思っていないのではないですか?」

 看護師志望であれば「本当は看護師になりたいわけじゃないんじゃないの?」と。

 で、これ言われると、さすがに生徒は怒ります。怒らないまでも、相当不快な表情になります。

 当然です。彼ら彼女ら、本気ですから。

 でもねえ、その本気がどーも伝わらないんですよ。


 想像するに、伝わらない理由の一つは「失敗を恐れる」ことでしょう。

 ペーパーテストなら、失点を防ぐことは重要です。中学時代の生活言動も、先生にマイナス点をつけられないように過ごすことは重要な受験戦略だったでしょう。

 でも、大学入試の面接はそんなに甘くない。しつこいけれど大過なくやり過ごせばOKというどっかの政治家のような甘っちょろい世界じゃないのですよ。誰がわざわざ推薦AOでただ無難なだけの人間を採りますかいな。凡打を恐れてバットを振らないような打者は要らんのですよ。


 面接試験は、実に怖いものです。本当に怖い。

 最高に怖いのは、不合格になった場合、自分の人格を否定されたようなショックを受けかねないことです。

 ペーパーテストの不合格なら、点数が取れなかったのが原因。勉強不足なり問題との相性なりの問題です。

 実技試験の不合格なら、求められた実技の評価が低かったのが原因。スキルの問題です。

 しかし面接は「人物」を評価するためのものです。面接でアウトだと「人物」がアウトという意味になってしまいます。

 実際、シューカツでもそういうショックで苦しむ学生が多数います。


 では、面接試験に送り出す側がやるべきゴールは何か。

 それは、本人にとって納得できる面接試験をやり抜けるところまで指導することです。

 具体的には、自分の言いたいこと、伝えたいこと、本気さを、とにかく言葉で相手に伝える。

 自分の本気を、ちゃんと一見の試験官に伝えられるところまで指導する。



 推薦入試は概して競争率が3倍ほどです。3人のうち2人は落ちる。どんなにいい生徒でも相手が優れていれば負ける。送り出す側としては、不合格まで考えて受験させねばなりません。 

 従って、不合格になっても気持ちが整理できるような形にしなくてはなりません。

 一番いけないのは、合格を欲して本心を偽ること。不合格という結果に自分を偽ったという罪悪感が追い打ちをかけてしまいます。


 とにかく、自分の本気を、何とか自分の言葉で相手に伝えられるようになること。

 これば指導する側のゴールです。

 もし生徒が「言いたいことは全部言ってきました。」と報告してくれたら、指導は成功です。

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