SSブログ

ssh1064 STR-22再稼働 [DIY記]

<2017>


 またまたDIYネタです。35年前に買ったレシーバー、ソニーSTR-22を再稼働しました。原発と違って古い音響機器の再稼働は無害有益、というのはいつものネタであります。

str-22.JPG

 STR-22は1980年ころに発売されたレシーバー。当時の定価は44,800円。レシーバーというのはチューナーとアンプが一体化したもののことで、1970年代はシステムステレオやコンポにかなりよくありました。これにレコードプレーヤーとスピーカー(とカセットデッキ)を繋げばステレオの出来上がりです。性能を追求するならアンプとチューナーは別体の方がいいんですが、ローコストのステレオで無理にアンプとチューナーを別体にするとコスト的にムダが多くてかえって性能が下がるということもあって、当時ローコストとされていたトータル10万円以下のシステムではレシーバーはよく使われていました。その後システムステレオはあまり流行らなくなり、アンプとチューナーを別体にしたコンポが主流になりレシーバーは衰退、レシーバーという言葉も廃れました。しかしミニコンポやミニミニコンポの時代になると、アンプとチューナーを一体化したものがまた出てきました。ただレシーバーという呼び名は消えていたので、メーカーは「チューナーアンプ」と呼んでいました。

 実はSTR-22はカセットオーディオ黎明期の製品で、「マンハッタン」という名前のシステムコンポの中核コンポとして売り出されました。マンハッタンは当時には珍しくレコードプレーヤーをオプション扱いにして、レシーバー・カセットデッキ・スピーカーから成っていました。カジュアルなカセットオーディオにはコンパクトな方がいいということでこういうものを考えたんでしょうか。幅はフルサイズ(430mm)ですが高さと奥行きはコンパクトで、ミニコンポの商品展開がパナソニックやパイオニアに比べて後手だったソニーの、ミニコンポへの橋渡し的な製品だったのかもしれません。

 こいつを購入したのは大学1年の時。大好きな音楽やら何やらを我慢して、私にしては珍しく禁欲的に勉強に励んだ高校2・3年を経てめでたく大学に入学した私が、大学1年の夏休みにアルバイトで稼いだお金で買った「自分用」のステレオの中核でした。テクニクスのDDプレーヤー(49,800円)がどうしても欲しくて、アンプとチューナーとスピーカーはあまり高くないものをと思いこれを選びました。スピーカーはアイワの1本1万円くらいの小さなものにしました。


 自分専用のステレオを持てた喜びは格別でした。受験勉強で我慢していたものを解禁して、レコードを買いまくり音楽を聞きまくりました。おかげで大学の成績はダダ下がり。まあ、人間には分というものがあります。受験勉強と同じような研鑽を何十年も続けられるような人が官僚さんになれるんでしょう。私ゃそういうタマじゃない。

 STR-22は大学時代休みなく働き続けました。酷使がたたったのか3年目くらいにパワーアンプ部が壊れてしまいものすごいノイズを出しました。修理に出してパワーパックを交換してもらいましたが、修理中に音楽が聞けないのが耐えられなくてクラブの練習室にあったアンプを借り出して使わせてもらいました。友人には怒られましたが。

 就職して稼ぐようになってソニーTA-F333ESXIIを購入して、STR-22は一線を退きました。それでもTVの音をステレオで流すために使ったりはしていましたが、転勤で転居を繰り返したり子どもができたりして、出番がまったくなくなりホコリをかぶることになりました。


 ホコリをかぶっているうちに、トラブルも発生しました。STR-22の病状は以下の2点。

1 今も昔も珍しいアナログのプリセットチューニングのボタンが押し込まれたまま戻らない。

2 FM・AMとも同調がよくない。


 さて、これまでもデッキやらラジカセやらいじくって復活させてきたわけですが、けっこう思い入れのあるSTR-22のレストアはずーっと後回しになっていました。これはなぜかというと、以前再稼働を試みて動作確認してみたら、あんまり音が良くないなと思ったからです。ずっとデスクトップオーディオで使っていたTA-1630とST-1950の方が印象が良かった。

 気分が変わったのはRX-DT77のレストアに成功したから。STR-22も案外うまくいくんじゃないかしらと思い、重い腰を上げてレストアに挑みました。

DSCN2551.jpg

 まずは最大の問題、プリセットチューニングのボタンが戻らないというトラブル。STR-22のチューナー部分は面白い仕組みで、アナログチューナーなのにプリセットができる。プログラムチューニングというボタンを押しながらマーカーもろとも指針を動かして同調すると、そのマーカーを担当するボタンを押すだけでその局が受信できる。プリセットは5局までOK。つーても大学時代に受信できるFMは2局だけでしたが。

 レストアとか再稼働とか何とか偉そうなことを書いてますが、私は機械も電気も電子もシロウトで、大したことはできません。シロウトでもやれるのはクリーニング。今回もまずはボンネットとフロントパネルを外してクリーニング大会を敢行しました。掃除機・アルコール&綿棒・ブロアブラシ・ピンセット・そして洗浄剤。接点や電子回路を洗い流す洗浄剤は実に頼りがいのあるアイテムです。ホコリやゴミを取れるだけ取って、洗浄剤をこれでもかと吹き付けました。

 電気電子機器のトラブルで最も多くて最も対策が簡単なのは接触不良です。古くなっていろんな接点が錆びたりして通電が悪くなると。RX-DT77のトラブルも結局は接触不良でした。回路そのものの故障、例えば半導体が壊れたとかいうのは私にはお手上げです。


 さて、気長に何日も洗浄をしていたら、徐々にプッシュボタンの戻りが良くなってきました。構造的にスイッチそのものを交換するのは私には無理っぽかったので、まあまあのレベルになってくれれば良しとすることにします。

 残るは同調部分。これはST-1950でやったように、基盤にある可変抵抗やら何やらを調整すれば改善するはずです。

 ところがところが。これが全然ダメ。

 FMだと79MHzから下、AMだと900Hzあたりから下が全く同調しない。


 STR-22はアナログチューナーなのにバリコンがありません。細かいことはよくわからんのですが、ネット情報によると指針が動く部分そのものが同調を司ってるらしいと。FMもAMも低い周波数部分だけ不調というのは、もしかしてここが原因かもしれません。洗浄剤を念入りにスプレーしてみました。しかし改善されません。と、ここで発見が。

DSCN2553.jpg

 同調部と基盤はコネクタでつながっているのですが、このコネクタがグラグラしてます。コネクタに触ると受信したりする。これはクサい。頑張ってバラしてコネクタを外してみたら、なんと、割れているじゃないっすか。これが原因かどうかはともかく、この状態でいいはずはありません。


DSCN2559.jpg

 瞬間接着剤でコネクタの割れ目を接着してビニールテープで巻いて固定しました。本当ならコネクタそのものを替えるべきなんでしょうけど、業者が修理するんじゃないんで、このくらいでおしまいです。


 さて、コネクタを修繕してみたら、これまで受信しなかった周波数の局をあっさり受信しました。あらまあ、原因は接触不良だったんですね。ここから3日ほどかけて調整をやり直して、ほぼ満足のいく状態に戻しました。


DSCN2574.jpg


 せっかく復活したので、デスクトップオーディオにつないで音を出してみました。すると、意外にいい音です。かつての印象とはずいぶん違う。なんででしょうかねえ。とにかく悪くないので、TA-1630とST-1950と入れ替えました。STR-22は入力端子がPhonoとTapeしかないのでiPodをつなぐとカセットデッキがつながらないのですが、使う時だけ繋げばいいし、イヤになったら戻せばいいやということで。


 現在、STR-22はデスクトップオーディオの後釜として活躍しています。接続しているのが小さなスピーカーなので、ラウドネススイッチとトーンコントロールで低音をブーストして高音も少しアップしてあります。TA-1630も同じようにラウドネスとトーンコントロールで補正していました。

 改めてちゃんと聴いてみても、音は悪くないです。デスクトップとしては十分。以前の悪い印象は何だったんでしょうか。

 STR-22はチューナーとアンプが一体なのでコンパクトに収まります。おかげでこれまで別の所においてあったカセットテープのラックがすべて机の横に収まりました。


 今後に残った宿題は、照明。

DSCN2555.jpg

 STR-22のダイヤルパネルは左右2ヵ所からランプで照明されるのですが、右側のランプが切れていることにレストア途中で気づきました。この右側にはシグナル・FMチューニング・FMステレオのLEDインジケーターがあって、照明が切れていてもそんなに悪くはないのですが、ちゃんとしていた方がいいに決まってます。機会を見て規格にあいそうな電球と交換してみたいところです。

コメント(2) 

コメント 2

tyuuri

Nice! と言うより、良く昔の機器を保存しているなぁと感心しています。ウチの場合、唯一結婚前にあったコンポは、いつの間にか妻に捨てられていました。
by tyuuri (2017-12-17 11:32) 

shira

 tyuuriさん、ありがとうございます。
 基本的にモノが捨てられない性分なんですよ。私の遺品整理は相当大変だと思いますよ。
 ただ、レストアマニアみたいにハードオフのジャンク品を買ってきて直すってのはやったことがないです。若い頃にすごく憧れた機器でもあれば手を出すかも知れませんけど、ジャンク買って直すようになったら底なし沼にはまりそうで怖いです。
by shira (2017-12-17 13:29) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。