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ssh1100 夏休み大型企画〜TC-K222ESG大修理(4) [DIY記]

<2020>


 TC-K222ESG大修理記、最終回です。

 ロータリーエンコーダ分解掃除・フォトインタラプタ交換・ピンチローラー&キャプスタンベルト交換・テープパス調整と一通りの修理&調整を終えたK222ESG、若干のアジマスずれが発生してたようでしたが、まあ微妙なのでしばらく様子を見ました。

 が、どうにも看過できないレベルだったため、ついにアジマス調整に踏み切ることにしました。

 「禁断の園」というのは誇張じゃないです。ヘッドアジマスはものすごくデリケートなものでして、シロウトが手を出す分野じゃありません。いじるのはネジを回すだけなので至って簡単なんですけど、いじって狂わせてしまってにっちもさっちもいかなくなる例は枚挙にいとまがない。リサイクル店やオークションに出てる古いデッキにはそういう危ない代物がかなりあります。
 アジマス調整の本来の方法は
1 専用のテストテープとオシロスコープを用意する。デッキの出力をオシロスコープにつなぐ。
2 テストテープを再生し、オシロスコープでレベルと位相を確認しながら最適のところに調整する。
3 調整が終わったらネジをコンパウンド剤で固定する。
デッキの調整でここまでシビアさが要求されるのはアジマス調整くらいのものです。
 テストテープもオシロスコープも持ってないシロウトがこの禁断の園に足を踏み入れる場合、絶対に守るべきことがあります。それは絶対に自分のデッキで録音したテープで調整しないこと。手持ちのデッキはすでにアジマスが微妙にズレていた可能性があります。調整に使うのは業者製のテープに限ります。私はたまたま手元に1本だけ業者製のテープがあったため禁断の園に足を踏み入れることにしましたが、ミュージックテープを持っていない人は本当にアジマス調整ネジは触らない方がいいです。


 ssh1099で書きましたが、ピンチローラー交換後のテープパス調整で、テープガイド調整ネジを本来の位置から左に半回転近く回したところでパスが安定しました。メカをバラしたときに調べてみたのですが、このネジを半回転させるとテープガイドは0.3mm動きます。テープパスは0.1mmレベルのズレが問題になる世界ですんで0.3mmというのは大移動です。

 アジマス調整ネジをまず左に回したのは、テープガイドが手前側に大きく動いたのでヘッドの左側が前に来るようにするのが正解だろうという読みです。

 慎重の上にも慎重を期し、ほんの少し回しては「音のカタログ」を再生し、同じ箇所をFX66で再生して聴き比べる。これは何度も繰り返します。

 結果、調整ネジを左に1/5ほど回したところで、K222ESGの再生音がFX66とほぼ同じになりました。


 この調整で一番役に立ったのは、実は音楽ではなくアナウンサーの音声だったんですよ。

 「音のカタログ」はCBSソニーのクラシックレコードの宣伝用のテープで、90分テープに名曲の有名部分が30秒くらいずつ断片的に録音されているんですけど、それぞれの断片の前に「No.1」「No.2」と英語でアナウンスが入っています。このアナウンス音声がリファレンスとしてすごくいいんです。特に[s][t][th]などの無声音の聞こえ方は本当にいいネタでした。


 アジマス調整が一応できたのでK222ESGで最近録音したテープを再生してみました。

 あれ?音がヘンだぞ。慌てて片っ端から再生テストをしました。

 すべてのテープがダメなわけではなくてやれやれです。それにしても同じ時期に同じマシンで録音したテープが良かったり悪かったりするというのはかなりヘンな話です。こういう症例はネット情報でもあまりお目にかかれません。考えられる可能性としては

1 カセットが悪い。ハーフの変形など。

2 デッキが悪い。いいテープと悪いテープがあるということは動作が不安定だった可能性あり。

3 相性の問題。TDKのカセットばかり不具合が目立つので。

 ただまあ思い当たるフシはなくもないです。2年位前にレンタルで何枚かCDを借りてカセットに録音したんですけど、TDK SA-X42という結構な高級カセットに録音したものだけが音質がまったくダメでした。録音したときは問題なかったんですがどうしたことか。このカセットは今回の再生テストでもダメでした。一番の可能性は3でしょうね。

 まあただ幸い、今回音質面がダメだったテープはどれも市立図書館で借りたCDを録ったものです。また同じCDを借りて録り直せばいいでしょう。図書館で借りるのはタダですからね。

 



 録音テストも合格しましたので、K222ESGはオーディオラックの定位置に戻りました。

 とは言え、古いマシンをシロウトDIYで直したわけですから、今後も不具合が発生する可能性は大いにあります。終わった終わったとはしゃがずにぼちぼち様子を見ながら使うことにします。なにせ30年選手ですし。