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ssh1004 「つまり」と「たとえば」 [リテラシー・思考力]

<2017>


 2006年初出、ssh13を再編して再掲します。

■■
 考えていることを、明確な言葉にする。そのためには「問いかける」ことが有用。
 これは、実は志望理由書に限らず、小論文でも面接でも、その他の教科でも、勉強以外でも、ものを考えるときものすごく役立ちます。
 考えるとは、問うこと。
 これが私の言葉ならえれえカッコイイんですが、残念ながら受け売りです。

 で、今回はその「問う」ための道具を2つ紹介します。
 
 それは、「つまり」と「たとえば」

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ssh726 男気 [リテラシー・思考力]

<2015>

 

 「男気」。

 黒田博樹がMLBから広島カープに移籍して以来、やたらとメディアで使われるようになった言葉です。

 526日付朝日新聞「耕論」面のテーマがこの「男気」。語るのはミッツ・マングローブ、石坂典子、玉木正之。

 

 私が反応したのは玉木のインタビュー。

 彼は男気の元来の意味をこのように指摘しています。

 

◆◆ラジオで女性アナウンサーがこう話していたんです。「黒田投手のような男気あふれる選手が巨人にも現れて欲しいですね。」

 弱きを助ける。これが男気の意味だとほとんどの辞書が記します。僕の手元の「新明解国語辞典」には「弱い立場に置かれた者が苦しんでいることを知りながら、黙って見逃すことのできない気性」とあります。今期は大混戦とはいえ、巨人は球界の盟主とも言われたりして、名実ともに強者。男気をかけるようなチームではありません。◆◆

 

 私の手元の辞書でも、ほぼ同様の定義がなされていました。文字は「侠気」でもよく、同義語は「義侠心」。弱気を助け強気をくじく正義感です。

 スポーツで用いられる表現は往々にして誤用されることがあり、このような誤用や無理解が他の分野にも広がることを玉木は懸念しています。政府が男気を奮って安保政策を大転換とか。


 

 もしかしたら、玉木の懸念はもう手遅れかもしれません。

 

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ssh698 決められないのも、悪くない [リテラシー・思考力]

<2015>

 

 「決められない政治」ってキャッチフレーズ、覚えてますか?

 民主党政権の後期に、中央メディアがしきりに使っていた言葉です。

 政治がグズグズと決断できないのはいかん、即断せよ、という感じでした。

 それからすると、現政権は実に「決められる政治」をやっています。特定秘密保護法しかり、集団的自衛権行使容認閣議決定しかり、辺野古崎の工事強行しかり、解散総選挙しかり。ベンチャー企業もかくやという即断即決ぶりです。先日の選挙じゃ「この道しかない」てなことを言った政党が第一党になりましたっけ。


 それにしても、根源的な疑問が湧きます。

 「決められない」ってのは、そんなに悪いことなんでしょうか?


 結婚してまだ何年も経っていないころ、私は人口9000人の小さな町に住んでいました。

 たまに外食に出かけたのですけど、ここでは「決める」のにあまり困りませんでした。

 なぜなら、選択肢がとても少なかったから。

 幼子を連れて行けるような店は2~3軒しかなく、その中からどれにするかを選ぶだけ。「決める」のに1分とかかりません。

 

 現在、私は人口20万人ほどの市に住んでいます。子どももみんな大きくなりました。

 こちらでは、たまに外食しようとなると、なかなか行き先が決まりません。

 店も多いし、子どもが成長したので制約もなくなった。おかげで選ぶのに時間がかかるようになりました。


 

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ssh674 言葉を失う時があってもいい  [リテラシー・思考力]

<2014>

 

 言葉を失う時があってもいいんです。


 この世の中は理不尽なことに満ちています。

 そもそも人間という存在自体が矛盾に満ちた理不尽なものです。

 自分がいずれ死ぬことがわかっているのに生きようとする生き物は人間だけです。

 

 長崎で悲しい事件が起きました。多くの人々が現実を受け止められずに言葉を失っています。

 

 Yahooニュースのコメント欄が全く精彩がありません。いつもの「◯◯が悪い、抹殺しろ」みたいな威勢のいいバカコメントが全然見当たりません。

 中央紙がまったく社説展開できずにいます。唯一社説展開した産経クンも、単純明快思考浅薄勧善懲悪バッサバッサといういつものトーンがまったく使えず、歯切れの悪い文面しか書けていません。

 オヤジ週刊誌(週刊文春・週刊新潮など)だけが、何とかいつものトーンで特集を組もうとしているようです。週刊誌は容疑者の写真をバラすとかいろんな対応があるのでしょうけど、しかし事件に対する評価は全然できていないようです。

 少年犯罪が起きると親が悪いの教育が悪いの憲法が悪いのとバカの一つ覚えのように反応する三流のコメンテイターが、全然反応できていません。

 

 そもそも今回の事件には、わかりやすいワルモノがいません。親にしても学校にしても、非難されるようなことをしていない。だから、多くの人々が言葉を失っています。


 こういう時に、急いでコメントや意見を考える必要はありません。

 言葉を失ったのなら、素直に言葉を失っていればいいのです。


 

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ssh672 常識が読解力を阻害する [リテラシー・思考力]

<2014>

 

 某業者の小論文研究会に行ってきました。

 ここの研究会は手加減なしのハイレベルな内容で、毎回ためになります。

 

 小論文を書くためにもっとも重要なスキルは読解力です。

 他人の書いた意見文の論旨が読み取れること。これが不可欠です。

 他人の意見が読み取れなければ、自分の意見をまとめて文面にすることはできません。

 ネットの三文コメントは他人の意見がマトモに読み取れないがゆえに、メチャクチャな文面になっています。

 小論の極意は読みにあります。

 

 さて、今回の研究会によりますと、昨今の小論文入試ではますます読解部分の配点が高まっているのだそうです。

 かつては読解3:小論7くらいだったものが、最近では5:5かそれ以上になっていると。

 講師によると要因は2つ。

 1つは、テーマとなる現代社会の問題が簡単に答えを出せないものばかりになってきたため。格差・グローバル社会・世代間格差・教育格差・原発問題・震災復興・外交問題など、ジャーナリズムにだってそう簡単に意見を述べられないものばかり。

 もう1つは、受験生の読解力不足。意見が立てられないにしても、まずは筆者の主張をきちんと読み取ることができれば戦いようがあるのですけど、課題文の論旨がそもそも読み取れないというケースが増えているらしいんです。


 標準的な高校生は、小説・物語・エッセイよりも、論説文の方が苦手みたいです。

 意見文は論説文の一種ですから、案外と手強いのかも知れません。

 ただ、講師の分析がちょっと面白かった。

 課題文が読めない最大の原因は、常識だと言うんです。


 

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ssh638 騙されるのは、騙して欲しいから [リテラシー・思考力]

<2013>

 

 ずいぶん前の話ですが、勤務校でちょっと大きな生徒指導上のトラブルがありました。

 4人ほどの生徒が関係していたんですが、幸い素直に自分たちの行動を認めたので、職員が手分けして家庭訪問に向かいました。

 ところが、私が担当した生徒の母親が、いきなり状況を否定してきたのですね。自分はやっていないけれど友達の手前そうは言えないと昨日は私に言った、私は息子を信じます、と。

 ただ、この時は息子が立派だった。昨日は母親にどうしても自分がやったとは言えなかったけれど、事実は学校で話した通りだと母親の前できちんと言った。以後、彼の指導はわりとスムーズに進みました。

 

 それにしても、なぜ母親は、手もなく息子のウソを信じたのでしょうか?

 この母親を笑える人はあまりいないと思います。ましてやバカな奴だと気安く非難するのは全くのお門違い。

 逆に、ウソだとわかっていても信じるのが親の愛だ、とかいうのも愚鈍です。

 

 この母親だって、息子を全く疑わなかったはずはありません。もし全く疑っていなかったら、自分もやったと息子が言った時に、それを受け止められなかったはずです。

 

 

 今回のテーマは、人は騙して欲しいと願っているから、自ら主体的に騙されるというお話です。


 

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ssh632 やられたら、やられっぱなし [リテラシー・思考力]

<2013>

 

世の中には、やられたらやられっぱなしの人たちがいる

 

 生来ヘソ曲がりのアマノジャクであるshiraは、ブームとか流行とかいったものには自然と背中を向けたがるのです。企業やメディアの利益に沿うようなブームであればなおさら。sshがやたらとAKBに辛辣なのもそのせいでしょう。

 

 『半沢直樹』ってTVドラマ、えらいヒットだったらしいですね。ただの1度も見ずに放送が終わりましたけど

 カネの成る木にゃ便乗商人が毛虫かアブラムシのようにうようよたかるのはいつものこと。(喩えが下品ですみませんね。実は先日庭木の毛虫&アブラムシ退治をしたばかりでして。)

 例の「やられたらやり返せ」だの「倍返し」だのもあちこちで便乗利用されてます。今年の流行語大賞選考委員は葛藤なく選考できてさぞやラクなことでしょう。

 

 その「やられたらやり返せ」で思い出したのが、2001年のアメリカ同時多発テロに端を発するイラク戦争。ブッシュ政権下のアメリカの反応は、まさに「やられたらやり返せ」でした。我が国でも中央紙5紙すべてが開戦やむなしと主張しました。今も昔もメディアが一斉に同じ方向に向くときは危険です。

 

 この空気に異議を唱える人もたくさんいました。

 その一人が、世界には「やられたらやられっぱなしの人たちがいる」と述べた上野千鶴子です。どんな非道な仕打ちを受けても、反撃のカケラすら許されず、その力もなく、振り上げた拳をただ静かに降ろすしかない人々がこの世界には山ほどいるのだと彼女は主張しました。


 


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ssh628 伸び縮みするニッポン [リテラシー・思考力]

<2013>

 

 え~みなさん、日本国って、どこからどこまでだと思いますか?

 領土・領海・領空であれば、その知識は中学の学習範囲。北限は北方領土、南限は沖ノ鳥島、東限は南鳥島、西限は与那国島。領海は領土から12海里、領空は領土と領空の真上。領海より外でも、領土から200海里以内は排他的経済水域。

 

 いえ、そんなことを確認したいんじゃありません。ここで話題にしたいのは、気持ちの上での範囲です。

 自分自身のことを言えば、南鳥島とか沖ノ鳥島とかいうのは、普段全然「自分の国」の一部として意識してはいません。言っちゃ悪いけど沖ノ鳥島なんて排他的経済水域の問題がなければ別にあってもなくてもどうでもいい、ただの海中の岩です。

 でも、中学の教科書や地図帳を見ると、急にただの海中の岩が「自国の一部」として意識される。普段は全然気にもしていないくせに。

 

 

 今回のテーマは「伸び縮みするニッポン」。

 私が沖ノ鳥島を普段は自国という意識から外しているのに、何かのきっかけがあると急に自国の一部であるように意識するように、私たちの意識の中のニッポン国の範囲は、その場その場でずいぶんと広がったり狭まったりしているのではないか、というお話です。

 

 コスモロジー(cosmology)という言葉をご存知でしょうか。もともとの意味は宇宙論ですが、論壇では個人や民族の世界観の意味で使われます。中華思想は自国が世界の中心というコスモロジーです。コスモロジーはいたって主観的なものです。この記事は日本人のコスモロジーの考察みたいなものです。


 

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ssh619 いいと思うことは、勇気を持って伝える [リテラシー・思考力]

<2013>

 

 夏休みですねえ。

 つーても、受験生にとっての夏休みは、レギュラーの授業がないというだけのこと。補習やら夏期講習やら自分の勉強やら、やることは山ほどあります。現在高3生担当の私も当然のことながら、補習やら何やらで、夏休み前とさほど変わらぬ生活をしております。

 

 それはさておき、急に思い出したのですよ。ずいぶん前にsshを処世術を教えるブログだと書いた人がいたことを。違うでしょ、とは思いましたが、それでも人様に自分のブログを取り上げて頂くことのはありがたいことです。

 

 せっかく思い出したので、処世術みたいな話を書いてみようかなと思いました。

 今回のテーマは、これ。

 他人について、いいところ、好ましいところ、偉いなと思ったこと等々があった場合は、恥ずかしがらずにそれをその相手にきちんと伝えること。

 

 

 それだけ?と思った方は、shynessと無縁の方なんでしょう。

 面と向かって他人にいいことを伝えるのは、相当勇気が要りますよ。

 

 例えば、日頃あれこれ気に入らないことがあるという人が、「へえ、この人ってこんなことを言うんだ」と感心した時、アナタはそれをその相手に伝えられますか?

 日頃の反感がジャマをして、素直に伝えられないんじゃないですか?「フン、たまにいいこと言ったくらいじゃ日頃の迷惑の帳消しになんかなるかよ」とか思って。

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ssh617 Honesty is the best policy. [リテラシー・思考力]

<2013>

 

 今回のテーマは「正直」。

  Honesty is the best policy. ということわざは「正直の頭に神宿る」とよく意訳されます。ことわざはことわざに当てて訳すのが通例ですから。

 けど、直訳した方がよくわかります。すなわち、「正直は最高の策略」

 正直こそが、戦略としてもっとも優れている。もっと言えば、正直は得をする。正直は勝つ。

 

 何を甘っちょろいことを、とおっしゃるそこのアナタ。

 甘っちょろくなんかないです。

 ウソやハッタリで世の中が渡って行けると思っているのなら、それこそ甘っちょろいです。

 ウソやハッタリは、リスキーで、自分自身の利益を損い、自分の人格すら破壊しかねないアブナい戦術なのです。

 

 ウソ・ハッタリは、なぜアブナいのか?

 

 ウソ・ハッタリの危険その1。それは、貫くことが難しいこと。

 「ドラえもん」に、のび太のウソでひと騒動になるエピソードがよくあります。スネ夫に何か自慢をされて、悔し紛れに妙なウソをつく。生きた恐竜を連れてきてみせるとか、妙なことを口走っちゃう。で、スネ夫やジャイアンに突っ込まれて苦労する。そもそも口からでまかせだから、すぐに破綻する。四次元ポケットがなければそこでおしまいです。

 ウソ・ハッタリは、一見(いちげん)さんには割と効きます。一期一会なら相当なウソをついてもそれっきりです。

 でも、タレントさんや政治家ならともかく、一般の人間は一見さんばかりを相手にするわけにはいきません。

 最初のウソでうまいこと周囲が騙されたとしても、周囲はそれを基にいろんな話を振ってきます。付き合いが長くなるほど、破綻の可能性が上がっていく。

 一生嘘を突き通す卓越した能力でもない限り、いずれウソ・ハッタリは破綻します。


 

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