ssh458 実践トレーニング〜土日休業の主婦 [小論実戦トレーニング]
<2011>
季節外れの実践トレーニングを一発。
<問題>
A君はこの春に高校1年生になりました。
中学までは運動部に所属せず、美術部に入っていました。
A君は絵を描くことは好きなのですが、本当は中学ではスポーツをやりたいと思っていました。
しかし、運動部はどこも土日に練習が入っています。
A君のお母さんは特に病弱とか虚弱体質とかいうわけではないのですが、早起きは苦手です。週末くらいはゆっくり寝かせて欲しいとよく言っています。
実はA君が中学で運動部に入らなかった最大の理由はそこにはありません。
A君の中学では、運動部員はみんな髪の毛をスポーツ刈りか坊主頭にしないといけないことになっていました。
A君はそれがイヤで、運動部への入部を見送っていました。
運動をすると勉強が遅れるかもしれないという不安もありました。だから美術部入部は自分の意思です。
さて、真面目に勉強したおかげで希望の高校に入学したA君ですが、ちょっとトラブルに見舞われています。
A君が進学した高校では、運動部員であっても髪型に特別な縛りはありません。校則で禁止されているようなことをしなければOKです。
A君は希望の高校で、今度こそとバスケットボール部に入ることにしました。
ところが、お母さんが難色を示します。
「私は土日までとてもお前の面倒は見切れないよ。高校は給食がなくてお弁当だから、毎朝今までより早く起きて結構つらいのよ。もしどうしてもバスケをやるんだったら、土日は自分で起きて朝ご飯食べて自分でお昼を用意してちょうだい。でないとお母さん、とてももたないから。」
問1 A君はバスケットボール部に入部すべきか、入部すべきでないか?
問2 このお母さんの発言について、キミはどう思うか?
なお、このお話は100%フィクションです。
攻略法と隠し球の「問3」はssh461。
ssh387 尖閣問題の語り方〜実戦トレーニングssh386攻略法 [小論実戦トレーニング]
<2010>
ssh始まって以来(?)の大ネタと言える、ssh386の実戦トレーニング。今回はその攻略法を。
まず最初にお断りを。
小論文は、正解のない問いに対して、論拠をもって自分の意見を述べる事です。
尖閣諸島でのトラブルを小論文の実戦トレーニングとして取り上げたのは、とりもなおさず、この問題に対する唯一の正解はないということです。
<ネットより図書館、Wikiより百科事典>
実は今回の実戦トレーニングは、ちょっと毛色が違います。というのは、「調べる」ことをしつこく要求しているからです。
当たり前ですが、小論文入試であれば、問題を見てから「調べる」ことなんかできません。
今回「調べる」ようにリクエストした一番の理由は、現在が推薦入試準備のシーズンだからです。推薦の場合、志望理由書やレポートで下調べが要求される課題が出されることがよくあります。その辺を意識しての出題です。
さて、こういう面倒な問題の場合、まず知識がないとどうにもなりません。知らない事は調べるしかありません。
となると、すぐにインターネットで「尖閣諸島」云々と入れて検索することでしょう。
インターネットは確かに偉大な発明です。Wikipediaも非常に役に立ちます。
しかし、世の中に万能というものはありません。
実際、大学の先生方はちょくちょくグチをこぼします。昨今の学生はネット情報を安直にコピペしてくると。ひどい時は、全員が同じ間違い情報をコピペしてくると。
ネットは、よくも悪くも敷居の低いメディアです。大量の情報が出入りするというメリットと引き換えに、ゴミのような情報もいっぱい流れています。シロウトにはそのへんの区別ができない危険があります。
実際、Wikipediaの「尖閣諸島問題」と「尖閣諸島中国漁船衝突問題」のページには、大量の但し書き・注意が冒頭に記されています。こういう時のWikipediaはまず使い物になりません。
今回のような大ネタの場合、調べものにはネットよりも図書館が役立ちます。
図書館へ行って、百科事典で「尖閣諸島」を調べてみて下さい。そこには事実が淡々と、しかし大量に記されているはずです。
百科事典は、非常に手間隙をかけて編集されています。校閲も丁寧にされています。情報の良し悪しを判断する眼力に自信がない人にとって、百科事典はネットよりはるかに強力な味方です。
ssh386 実戦トレーニング~東シナ海で船と船がぶつかって大問題になっている件 [小論実戦トレーニング]
<2010>
2011年度大学入試、推薦・AOシーズンに合わせての実戦トレーニング第1段。今回は思い切って大ネタで行きます。
<本年9月の尖閣諸島中国漁船衝突事件とそれに付随する問題について、あなたが考えることを800字で述べなさい。>
—注意—
1 尖閣諸島って、どこにあるの?地図で確認すること。
2 尖閣諸島の領有権について、日本と中華人民共和国と台湾はどんな見解を示しているか?双方の見解を十分に調べること。歴史的経緯まで調べるのがベスト。
3 今回の事件の流れ(中国漁船の衝突・船長逮捕・日中間の軋轢・釈放)を時間を追ってまとめること。
4 今回の出題は「尖閣諸島問題について述べよ」ではありません。9月以降の一連のトラブルについてあなたが考えたことのうち、800字というごく少ない文字数でまとめられそうな考えを述べなさいということです。従って扱うのは外交問題でなくても、例えば報道の問題や教育問題や世代問題でも構いません。例えばこの事件のあとで起きた身近な出来事についての考察でもいいのです。
5 他人の意見を参考にすることはOKですが、鵜呑みはNGです。
6 論理的に述べられていれば、どのような立場を取ってもOKです。イデオロギーは不問です。
7 調べるにあたっては、小学校の国語で勉強した「事実と意見を峻別する」ことをしっかり守ること。特にネットで検索する場合、この問題は意見は山ほど流通しているのに対して事実情報が非常に少ないので注意すること。
8 当たり前のことですが、小論文として書くこと。
この実戦トレーニングは、完全なる文系ネタです。想定する対象学生は、法学・政治学・国際関係学・観光学あたりの志望者。攻略法は後々紹介します。
ssh248 大麻不法所持力士問題の語り方〜実戦トレーニング攻略編 [小論実戦トレーニング]
<2009>
<実は大麻は大議論対象>
大麻はマリファナとも呼ばれています。覚醒作用があるということで、ドラッグ扱いされています。
日本では完全禁止。服用や栽培はもちろん、所持も禁止です。野生の大麻の葉っぱ1枚摘み取っただけで犯罪です。
ところが、大麻を取り巻く事情は世界では様々です。中には合法化している国もあるくらいでして。
なぜ合法化したのかというと、合法の方がきっちり管理できるというんです。
ドラッグは必ず手を出す人間がいる。禁止してもいる。禁止すれば違法行為として手を出す。
するとブラックマーケットが発生する。ヤクザやマフィアの資金源となりやすい。
ちょうどアメリカの禁酒法によってギャングたちが密造酒で莫大な資金を得たように。
そうなると、もう政治も警察も手が届かなくなってしまう。
であれば、ドラッグの中では比較的毒性の弱いものを合法として、適正価格(?)で販売する。そのかわりきっちり管理する。それによってブラックマーケットの発生を食い止め、ドラッグユーザーが地下潜航(把握できない状況となる)するのを防ぐ。
別にマリファナが無害だというんじゃなくて、要はキレイゴトではどうにもならない現状があるから、より現実的に対応するということ。
納得できるようなできないような。
でも、実は大麻については、常に論争があるんです。規制強化と規制緩和とで。
このへん、書き出すと止まらないのでやめますが、「大麻?けしからん!」と憤ってみせるのは国際標準ではありません。薬物の取締り基準が国際標準である必要があるとも思えませんが。
ssh247 実戦トレーニング〜大麻不法所持力士への処分問題 [小論実戦トレーニング]
<2009>
2月ともなれば、実戦トレーニングのシーズンです。今年もネタになりそうなことはいっぱいあります。
アメリカ大統領選挙とオバマ勝利。国際関係や政治の分野を目指す人には必須でしょう。アメリカの歴史、特に人種問題とも関連してきます。
金融危機は経済系の志望者は絶対に考えておかないといけません。
年越し派遣村のことは、社会学や経済学の志望者は避けて通れません。
教育系志望者なら、全国学力テスト結果公開や、高等学校での英語授業を英語で、の問題も要チェックです。
ただ、これらの問題は、たぶんもう練習してるんじゃないかという気がします。そこで、今年のssh実戦トレーニングは、ちょいと意外なものを提示します。
◆◆大相撲十両力士の若麒麟真一(本名・鈴川真一)容疑者(25)が大麻取締法違反容疑(共同所持)で現行犯逮捕された事件で、日本相撲協会は2日午前、両国国技館で理事会を開き、同日付で、若麒麟容疑者を解雇した。
請求があれば、相撲協会は約530万円の養老金(退職金)を支払うことになる。師匠の尾車親方(元大関琴風)は監督責任を問われ、「委員」から「年寄」へ2階級の降格処分となったが、理事長ら役員の処分はなかった。
大麻を巡る不祥事での解雇は、若ノ鵬、露鵬、白露山に次いで4人目で、日本人力士では初。時津風部屋の傷害致死事件後、解雇された協会員は8人。
相撲協会の処罰規定には、解雇、番付降下、出場停止、給料手当減額、けん責の五つがあり、解雇は理事会決議で、最も重い処分。このほか、役員、評議員、横綱、大関の4分の3以上の特別決議で「除名」することもでき、退職金支給規定では「除名処分を受けた者には退職金を支給しない」と定められている。
理事会では、「除名」を求める声も上がったが、「25歳と若く第二の人生を考えればかわいそう」などとして、今回は見送られた。退職金の支給規定については、見直しを検討していくという。
若麒麟容疑者は30日、東京都港区六本木の音楽CD販売会社事務所で、一緒にいたミュージシャン平野力容疑者(30)とともに、ティッシュに包まれた乾燥大麻約16グラム(末端価格約6万4000円相当)を所持していた疑いで、神奈川県警に逮捕されていた。 (2009年2月2日12時19分 読売新聞)◆◆
この処分について、あなたはどう思いますか。あなたの意見と理由を800字で述べてください。
ただし。
以下の資料をすべて参照にした上で(すべてです)述べてください。
ssh218 バナナ問題の語り方〜実戦トレーニング解答編 [小論実戦トレーニング]
<2008>
筆者注: 問題編は保存の際の不手際で消失。
この時期に実戦トレーニングをする人の多くは恐らく小論文トレーニングはまだあまり積んでないでしょう。
ですので、ちょいとくどくなることを承知で、初歩的なことも触れます。
<斬ってはいけない>
まず、このテーマに対して「けしからん!」とか「バッカじゃなかろうか」と思った人。
そう思っても構いませんが、それをそのまま書いてはいけません。
テレビなどでウケのいい「○○を斬る!」のような視点は、小論文には使えません。低評価です。
大所高所から相手を見下ろしたような意見に、人は説得されません。
もしあなたか「けしからん!」と思うのなら、その「けしからん」理由をきちんと論じないといけません。
常識とか良識とか当たり前とかいう言葉で逃げてはいけません。
小論文は、常識を疑う世界です。
TVにすぐ反応するのは愚かだというのは当たり前かもしれませんが、ラクして痩せたいというのも当たり前の欲求です。
ただ「当たり前」というだけでは説得力はありません。
<ポイントを絞る>
詳しいことは「箇条書きHow to小論文」シリーズを読んでもらいたいと思いますが、800字で何かを論じようとすると、結局、論点は1つしかあげられません。
もし2つ以上の論点で書いてしまったとしたら、あなたの小論文は掘り下げ不足です。
たった1つの論点を深く掘り下げて論ずる。これが小論文です。
というか、小論文の字数では、それしかできません。
ssh171 「たらい回し」問題の語り方〜実戦トレーニング2008攻略法 [小論実戦トレーニング]
<2008>
実戦トレーニング ssh168の攻略法です。
試しに「救急車 たらい回し」でgoogle検索してみましたが、
・救急車たらい回し事件をめぐり 医師のブログが炎上
・救急5か所たらい回し 事故の男性死亡
・救急車たらい回しで婦人科学会など厚労相に陳情
・たらい回しではなく受け入れ不要
などを筆頭に、70000件あまりヒット。まーえらい騒ぎです。
ある程度の知識は必要です、とssh168に書きましたが、ちょっとググってはいOK、ってわけにはいきません。これだけ情報がバラまかれていると、調べる側も狙いを定める必要があります。
もちろん、「たらい回し」というキャッチコピーに惑わされてはいけません。
これはssh167と同じこと。
今回は、狙いを定めるためにどうすればいいかを考えてみましょう。
ssh170 学力問題の語り方(2)〜実戦トレーニング2008攻略法 [小論実戦トレーニング]
<2008>
キャッチコピーを警戒せよ。ssh169はこれだけで終わっちゃいました。
しかしまあ、これじゃ攻略法としてはあまりに不親切。
というわけで、学力問題を考えるためのネタになりそうな記事を紹介しましょう。
・ssh150~154 社説の読み方~PISA2006編シリーズ
*特にssh153の朝日新聞社説はおすすめです。(上記リンクもssh153)
・ssh114 学力は本当に低下しているのか
*「学力低下」という言葉からして、キャッチコピーなのですね。
・ssh98 ssh的競争原理教育考
*学力向上には競争が有効と考えている人は、少なくともこの記事に反論できるくらいの論拠を用意しないと合格答案にはなりません。さらには、競争原理教育を早くに導入したイギリスとアメリカはPISAテストで日本よりかなり下位にいるという事実も知っているといいでしょう。
・ssh139 社説の読み方~全国学力テスト結果編
*基礎力は43年前よりも実は向上していた、という事実をおさえましょう。
・ssh144 全国学力テスト社説の余白
*典型的な「悪い見本」です。特に事実の恣意的使用は絶対ダメです。
・ssh145~6 PISAの読解力テストシリーズ
*PISAテストの問題を見たことのない人へ。ただしこれは2003年の問題と解答解説。
ssh169 学力問題の語り方〜実戦トレーニング2008攻略法 [小論実戦トレーニング]
<2008>
では、ssh167の攻略法を。
<キャッチコピー人間は不要>
「近年はゆとり教育のせいで、学力低下が起きている。」
こういう書き出しを考えた方。残念。あなたは100%不合格です。
そもそも「ゆとり教育」って、何ですか?
きちんと説明できます?
それに「学力低下」って、ホントですか?
何を根拠に、学力が低下していると言うんですか?
この国でごくフツーに生活していると耳から入ってくるのは、短くて当たりのいいフレーズばかりです。
例えば、CMなどの広告。例えば、いろんな人のコメント。例えば、新聞の見出し。あるいは、ネットの見出し。
短いフレーズで、多くの人々の注意関心を引く−これは今の世の中では、すごく重要です。
特に商売をする人にとっては、まさに死活問題。一発で商品や会社に好印象を持ってもらわないと、競争に負けちゃいます。
だから世の中には、そういうフレーズが洪水のように溢れています。
そういう、短くて人の関心を引くような言葉のことを惹句(じゃっく)と申します。
ssh168 実戦トレーニング2008〜医療系編 [小論実戦トレーニング]
<2008>
ssh167の解説=攻略法に行く前に、医療系向けの実戦トレーニング問題を出しちゃいます。
医療系のテーマはそれこそ山のようにあるんですが、sshは直球ど真ん中で行きます。
今年度、いくつかの地区で、救急患者が複数の病院で受け入れられず死亡する事件がありました。いわゆる「たらい回し」問題です。
救急患者の「たらい回し」をなくすには、どうすれば良いと思いますか。あなたの意見を理由をつけて述べて下さい。
1つだけアドバイスを。
ある程度の知識は必要です。
もちろん本番ならテーマをもらってから知識を得ることなど不可能ですが、
ま、これはAO入試か何かの出願時提出課題レポートとでも考えて、
必要なことは調べて下さい。