ssh218 バナナ問題の語り方〜実戦トレーニング解答編 [小論実戦トレーニング]
<2008>
筆者注: 問題編は保存の際の不手際で消失。
この時期に実戦トレーニングをする人の多くは恐らく小論文トレーニングはまだあまり積んでないでしょう。
ですので、ちょいとくどくなることを承知で、初歩的なことも触れます。
<斬ってはいけない>
まず、このテーマに対して「けしからん!」とか「バッカじゃなかろうか」と思った人。
そう思っても構いませんが、それをそのまま書いてはいけません。
テレビなどでウケのいい「○○を斬る!」のような視点は、小論文には使えません。低評価です。
大所高所から相手を見下ろしたような意見に、人は説得されません。
もしあなたか「けしからん!」と思うのなら、その「けしからん」理由をきちんと論じないといけません。
常識とか良識とか当たり前とかいう言葉で逃げてはいけません。
小論文は、常識を疑う世界です。
TVにすぐ反応するのは愚かだというのは当たり前かもしれませんが、ラクして痩せたいというのも当たり前の欲求です。
ただ「当たり前」というだけでは説得力はありません。
<ポイントを絞る>
詳しいことは「箇条書きHow to小論文」シリーズを読んでもらいたいと思いますが、800字で何かを論じようとすると、結局、論点は1つしかあげられません。
もし2つ以上の論点で書いてしまったとしたら、あなたの小論文は掘り下げ不足です。
たった1つの論点を深く掘り下げて論ずる。これが小論文です。
というか、小論文の字数では、それしかできません。
では、ここからは、具体的な攻略法。
<視点その1 生産する側から論ずる>
経済学部志望の人なら、経済という面から攻める方法があります。
これについては、ssh217のコメント欄のRU2FTABさんのコメントが参考になります(注:コメント消失)。
ここに「場合によっては生産構造の破壊を伴う」とありますよね。
これは「指摘3」をまとめたものです。
ブームに涌くのはまあ自由だとしても、生産する方はブームにいちいち答え切れません。
バナナを増産するには、バナナ畑を拡大しないといけない。
ということは、今なにか他の用途になっている土地(他の農作物の畑とか)をバナナ畑に変えねばなりません。
これは、他の何かにしわ寄せをするということです。
しかも、バナナブームはいつまで続くかわからない。
ヘタに需要に応えると、大変な状況になり得る。
そういう視点から「ブーム」の弊害を論ずる、という方法ですね。
<視点その2 ダイエットそのものを論ずる>
これは割とやりやすいでしょう。
減量するには、摂取カロリーを減らすか、消費カロリーを増やすか、その両方をやるか、とにかく、他に手はないわけです。
バナナダイエットに効果が出るには、バナナによって他の食事量が減る必要があります。
バナナを食べても、他に食べるものが減らなければ、バナナの分だけカロリーは増えます。
現にhmさんは増量のためにバナナを食べていると言っています。
<視点その3 貿易問題として捉える>
まあしかし、もしバナナの輸入が簡単に増やせるのなら、別に苦労はないわけです。
しかし、指摘2によると、どうも買い付けで日本は負けているようです。
すると、ここにも論ずるカギが転がっています。
資源小国の日本にとって、貿易は死活問題です。
輸入量が国内の需要を賄えないというのは、実はかなり困ったことです。
バナナはまあいいとして、これが石油とか穀物だったら、冗談じゃなくマジに死活問題です。
となると、「ブームとはいえ、この日本が買い付けで負けるというのは問題ではないか?」という論点はあり得ます。
<視点その4 社会論として論じる>
ssh217のコメント欄は、これが一番多いです。つまり、「ブーム」というものへの疑念。
ブームというものを論じるのなら、この際バナナやダイエットというのは置いておきましょう。
もうひたすら、ブームを論じる。
なぜブームは起きるのか?
ブームは意図的に起こされるものなんか?
ブームのいい面と悪い面は何か?
私たちはブームというものとどう付き合うべきなのか?
ま、私自身も、このへんが一番論じたい部分です。
一つ補足。
sshはこれまでも実戦トレーニング問題を提示してきました。
たらい回し問題・学力問題・小学校での英語必修化・小児科医不足問題・ゼロトレランスなど。
これらに比べると、バナナ問題は、まあわりと小ネタです。
眉を釣り上げて賛成とか反対とか言いにくいテーマです。
でも、たかがバナナダイエットでも、ちょっと深く考えると、世界を巻き込んだ問題になるんです。
小論文のテーマは、どこにでもあるんです。
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