ssh448 掃除できる子は勉強もできる(3) [教科学習]
掃除できる子は勉強もできる。
こういう記事をsshではすでに2本書いています。書いたのは2010年の夏。
ssh363 掃除できる子は勉強もできる(1)
ssh364 掃除できる子は勉強もできる(2)
この中では、掃除と勉強は似ているということを書きました。具体的には、
1 どんなに一生懸命やっても、放っておくと元の木阿弥になる
2 やればやるほど、課題に気がつく
3 「指示待ち」では効果が上がらない
4 「これだけやれば十分」というものがない
5 時間を気にしているうちはいい結果が出ない
さて、最近になって、さらに気づいたことがあります。
それは、掃除できる子は、問題発見能力と問題解決能力が高いということ。
この2つの能力は、学業だけでなく、仕事や日常生活でも不可欠なものです。
掃除の時間を見れば、問題発見能力と問題解決能力の有無がすぐにわかります。
では、どんな子が、2つの能力が高いのか?
例えば、教卓のあたりを掃き掃除している時に、教卓を動かして下のホコリを掃ける子。
例えば、掃き掃除が終りそうになった時に、ちりとりを取りに行く子。
例えば、誰も手をつけていない場所を見つけて、そこの掃除に取りかかれる子。
例えば、2人で雑巾やモップをかけていて、2人の間に微妙な隙間ができたとき、その隙間を自分から拭ける子。
例えば、他人の机であっても、机の上に載せっぱなしになっているイスを降ろす子。
こういう子どもは、もちろん実に感心な子どもたちです。
気配りができている。よく働く。自分から動ける。他人に優しい。
ただ、私は、こういう行為は、単に気持ちや生活態度の問題というものではないと最近感じています。
教卓を動かす子は、まず教卓の下の汚れが見えています。ただのノルマとして掃除している子には机の下の汚れは見えません(比喩ではなくて、本当に目に入っていない)。
ちりとりを取りに行く子は、掃き掃除が終りそうだという状況が見えています。
あとの例もしかり。こういう子どもたちには「このまま放っておくと、好ましくない状況」が見えています。
これが問題発見能力です。
さらに、上述の例の子どもたちは、「このまま放っておくと、好ましくない状況」に対して、自らアクションを起こしています。
彼ら彼女らがアクションを起こすことで、これらの状況は「放っておかれる」ことはなく、従って「好ましくない」状況は未然に防がれます。
これが問題解決能力です。
たかが掃除で大げさな、とお思いですか?とんでもない。
勉強のできない子というのは、「このまま放っておくと、好ましくない状況」に気がつきません。
授業でわからないところがあっても、小テストができなくても、それを「このまま放っておくとヤバい」ときちんと認識できません。少しは思うかも知れませんが、すぐ忘れちゃいます。
また、仮に「このままだとヤバい」と認識できたとしても、それに対するアクションが起こせません。
あれこれ言い訳を考えたりして、結局動かない。状況はヤバいまま放っておかれます。あとはご想像の通り。
「まったく、ウチの子ときたら、何べん言ってもわからないんだから。」
こういう子どもは、塾やら家庭教師やらに無理矢理絞ってもらわないと勉強しないです。
で、絞りが終れば、やっぱり勉強しません。
自分にとっての問題が認識できていないし、その問題を解決するためのアクションが起こせないのですから。
つまるところ、勉強は自分から動くようにならないとダメです。
自分から動ける子というのは、自分にとっての「このまま放っておくとヤバい」という問題が自分で発見できて、それを自らアクションを起こして解決していけるんです。
自ら動ける子どものことを、ふつう世間では「やる気」がある、と言いますね。
もしかしたら、「やる気」の正体は、問題発見能力と問題解決能力なのかもしれません。
最近、私は清掃の時間がとても楽しみです。
一体、この子たちの中で、誰が問題解決能力と問題発見能力があるのか?
それがモロに見えてくるものですから。