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ssh3 医学部の面接試験 その2 [面接]

<2006>

 「北京五輪で日本はメダルを取れると思いますか?」 という、某国立大学医学部医学科の面接での質問。
 この質問の狙いは「説明能力」です。今日、医療の世界では、患者や家族にさまざまなことを説明し、正しく理解してもらうことが必要となっています。特に治療方法にいくつかの選択肢がある場合、病気の状況・現在取り得る治療法の選択肢・そのそれぞれの選択肢がはらむメリットと危険性を正しく理解してもらった上で、患者側の同意や選択を得る必要があります。いわゆるインフォームドコンセントというやつです。

 しかし、当然のことながら、フツーの人は医学のシロウトですから、医師にとってはよく分かっていることでも、シロウト相手にわかりやすく丁寧に説明せねばなりません。
 さて、くだんの面接の質問ですが、別にメダル獲得ができるかできないかはどっちでもいいんです。要は「これこれこういう理由で、私はメダルは取れるor取れないと思います」ときちんと説明できるかどうか、それで相手が「なるほど」と思うかどうか、それだけが問われているわけです。例えば以下のような答えでいいわけです。

 例:「私はアテネ五輪のようなメダルラッシュは無理だと思います。なぜなら、開催国の中国の選手強化が順調に進むと思われるからです。日本が長野五輪で成果を上げたように、開催国はやはり力が入ります。ましてや中国は初の五輪ですから、相当力を入れてくるでしょう。日本の得意分野といえる体操でも中国選手団は力をつけています。だから、メダル獲得数はかなり減るのではないかと思われます。」

 別の大学の医学部では、サッカー部員だった受験生に「ジーコジャパンとトルシエジャパン、どっちが日本のサッカーにとっていいと思いますか?』という質問がされています。これも狙いは全く同じで、自分にとってよくわかっていることをきちんとした根拠をもとにシロウト相手に上手に説明できるかが聞きたかったわけで、その学生がたまたまサッカー部員だったからサッカーの話を聞いただけのことです。

 それにしても、医師というのは教育職よろしく「人にものを教える」能力も必要なんですね。いやー大変な仕事だ。
 
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