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ssh96 ssh的リモコン誤作動問題考 [科学と技術]

 外国製のハロゲンヒーターがリモコン誤作動を起こす。てなニュースがありました。  ウチにはハロゲンヒーターはないんですが、面白がって家の中のリモコンを集めてみました。 DVC00180 (1).jpg 

オーディオ、DVD、ビデオカメラ、Wii、空気清浄器、シーリングライトなどなど。他にもTV、ビデオ、扇風機と、他に大物が1つあるんですが、それでも、思ったより少ないな、というのが感想。もっとたくさん、それこそ山のように集まるかと思ったんですけど。    で、本題のリモコン誤作動問題。 (Wiiリモコンもニュースになりましたけど、アレは誤作動じゃなくて物理的破損ですから、話が別。)


 実はリモコンの誤作動問題は、30年以上前にもありました。  1970年ころ、サンヨーから初のリモコンつきTVが発売されました。商品名は「サンヨー・ズバコン」。真似した、じゃなくて松下電器もすぐに似たようなTVを発売しました。

 で、フツーならここから各メーカーが次々に参入して、熾烈な競争&一気に普及といくところなんですが、このリモコンTV、わずか1年ほどで市場から消えます。

 その理由こそが、リモコンの誤作動問題だったんです。

 現在のリモコンは赤外線で電子的にコントロールする方式が主流です。しかし当時はまだそういう技術はありませんでした。  ズバコンは超音波を使いました。送信機から超音波を発して、TV側がそれを受信する。さらに当時は電子スイッチや電子チューナーもなかったため、コントロールは機械的に行っていました。

 と書くと小難しいですが、要するに、リモコンから超音波を受け取ると、TV内のモーターや電磁石でスイッチやチャンネルを動かしていたわけです。モーターでチャンネルつまみがガチャガチャと回るさまは、なかなか面白いもんでした。


 まあしかし、当時の技術ではあまり高度な信号のやりとりは難しかったんですね。超音波ったって、つまりはうんと周波数の高い、ただの音です。人の耳にはよく聞こえないというだけのことで、自然界にはいっぱい流れてるものです。

 実は、私の生家のお向かいさんとこにナショナルのリモコンTVがあったんです。そこの子どもと私は大の仲良しでして、ほとんど毎日いっしょに遊んでました。リモコンTVなんてかなり高価なものでしたし、私は根っからキカイ好きですんで、ご購入以来毎日遊びに行ってはリモコンをいじらしてもらってました。  で、ある日、彼が面白いものを見せてくれたんです。

 彼が目覚まし時計のベルを鳴らすと、突然チャンネルがガチャガチャと回り出すんですよ。

 ベルの音の中に、ちょうどリモコンの超音波の周波数に合ってる成分が混じってたんでしょう。


 ほどなく、この件は結構なニュースとなります。サンヨーもナショナルも同様の誤作動を起こしました。特にまずかったのは、当時の電話機はみんなベルを使ってましたんで、電話が鳴るとTVが勝手に写ったりチャンネル変えたりしちゃったんです。TVってのは今も昔もかなり発熱するキカイですから、誤作動は火災すら引き起こしかねなかったわけです。  


 てなわけで、初のリモコンTVは短命に終わります。TVのリモコン普及は、赤外線方式の開発までおあずけとなりました。  ただ、リモコンの理屈そのものは、今も昔も変わっちゃいません。

 現代のリモコンのデキがいいのは、より複雑な(つまり似たものがない)信号がやりとりできるからであって、信号をやりとりして受信側が作動を引受けるのは同じです。

 ということは、たまたま識別できないほど似た信号があれば、今回のようなトラブルは簡単に起こりうるわけです。別に技術的な問題ではないんです。

 私たちが普段使っているリモコンが滅多に誤作動しないのは、技術というよりマネージメントと言いますか、つまり管理の力です。おびただしい数のリモコンのおびただしい数のボタンに相当する、気が遠くなるほど数多い種類の信号。それらが偶然にもカブらないように、慎重に厳重に管理する。快適なリモコンライフを支えているのは、しごく人間的な営みなんです。


 ついでに、ウチの一番の大物リモコンをご紹介。

DVC00182.jpg

 ゴールドのアルミパネルを上面に張った上に、ボタンも全部ゴールドのリモコン。

 仰々しいと言うべきか、オオゲサと言うべきか、こんなゴージャスなリモコン見たことないでしょ。ウチの嫁サン、見た瞬間に大笑いしましたよ。やたらと重たいんですよ。  これ、ステレオのプリメインアンプに付属のリモコンなんですけどね。  ちなみにこのアンプ、電子ボリウムではなく、普通のボリウムつまみをモーターで回して音量コントロールします。電子ボリウムは音質的に弱点があるという理由なんですが、やってることはチャンネルつまみをモーターで回していた「ズバコン」とまるっきり同じです。技術は日進月歩だってよく言われますが、案外こんなこともあるんですよ。


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