ssh97 「やりたくないこと」を見つけよう

　やりたいことを、見つけよう。
　ムズカシイですよねえ。やりたいことを見つけるのは。
　
　新学期が始まりました。
　中学生も、高校生も、浪人生も、大学生も、もちろん小学生も、新学期です。
　で、恐らくたくさんの人が、「進路」の選択を要求されていると思います。
　入学試験や入社試験のスタートは、思いのほか早いです。自分の志望する方向がまるで見えていないと、出遅れてしまいます。
　みなさんの先生方や親御さんは、冒頭の言葉をよく口にしませんか？
　「君のやりたいことは何？」「おまえには、何かやりたいことはないのか？」
　即答できる人は、この先は読む必要はありません。が、即答できますか？

　自分の中学高校大学時代を思い出してみるに、私や即答できませんでしたよ。

　やりたいことって、ムズカシイですよ。
　そりゃあ、やりたいことはいっぱいありましたよ。彼女が欲しいとか（これ多分一番重要だった）、クルマが欲しいとか、有名になりたいとか、その他いろいろと。でも、そんなもん、「進路」じゃないですからね、そんな答え方したら殴り倒されますわ。

　その程度の分別はあるし、かといって何かテキトーにデッチ上げるほどの脳ミソもないんで、仕方なく黙ってるわけです。
　だから、即答できない。
　「やりたいこと」と質問する側は、真面目な答えを期待してます。それはつまり、将来の職業。
　質問される側には、それほどの知識はありません。特に中学生や高校生なんか、そもそも世の中の職業をよく知らない。工業デザイナーとか、編集とか、税理士とか、弁理士とか、そんな仕事はまず知らない。
　でも、「やりたいこと」は答えられる方がいいに決まってます。答えられるヤツはカッコイイ。答えられない自分は、結構コンプレックス。
　かくして、ますます深刻に悩んでしまって、いよいよ答えられない。

　ここでsshならではの秘伝を伝授しましょう。
　開校以来しばしば使っている「あえて正反対の立場を取る」というヤツです。

　つまり、これ。
　「やりたくないこと」を見つけよう。

　いえ、別にふざけてるんじゃないです。
　もし、世の中にあるあらゆる仕事の中から、あなたが「やりたくないこと」がすべて挙げられるとしたら、あとの残りは、やってもいいことのはずです。
　
　ま、そこまでオオゲサに考えなくてもいいんです。
　「やりたくないこと」をいくつか挙げていくと、自分の好き嫌いが少しずつ見えてきます。
　例えば、自分のやりたくないことが、事務職、研究職、市役所などの職員、工場勤務であったとしましょう。
　この４つに共通するのは、あまり外を回らない仕事という部分です。
　すると、「自分は一か所にじっとしているような仕事はイヤだ」という可能性がかなり見えてきます。
　となれば、例えば営業や配送のような仕事は、もしかしたら性に合っているかもしれません。

　キライなものがはっきりしてくると、好きなものも見えやすい。
　今「やりたいこと」探しを求められて四苦八苦している人がいたら、逆転の発想でちょっと考えてみませんか？
　あなたの「やりたくないこと」は、何ですか？　と。