ssh171 「たらい回し」問題の語り方〜実戦トレーニング2008攻略法 [小論実戦トレーニング]
<2008>
実戦トレーニング ssh168の攻略法です。
試しに「救急車 たらい回し」でgoogle検索してみましたが、
・救急車たらい回し事件をめぐり 医師のブログが炎上
・救急5か所たらい回し 事故の男性死亡
・救急車たらい回しで婦人科学会など厚労相に陳情
・たらい回しではなく受け入れ不要
などを筆頭に、70000件あまりヒット。まーえらい騒ぎです。
ある程度の知識は必要です、とssh168に書きましたが、ちょっとググってはいOK、ってわけにはいきません。これだけ情報がバラまかれていると、調べる側も狙いを定める必要があります。
もちろん、「たらい回し」というキャッチコピーに惑わされてはいけません。
これはssh167と同じこと。
今回は、狙いを定めるためにどうすればいいかを考えてみましょう。
<診ないのか、診られないのか>
たらい回しというキャッチコピーの最大の問題点は、診られるのに診てくれなかった、という含みを持つからです。
実際のところはどうだったのか?
病院は、受け入れられる患者を受け入れなかったのか?
それとも、受け入れることが不可能だったのか?
まず、最低でも、この問を立てることは不可欠です。
<個人か組織か社会か>
で、診なかったにしても、診られなかったにしても、「なぜ?」という疑問は当然あります。(というか、この「なぜ?」は絶対にサボっちゃいけません。)
さて、このような問に威力を発揮するのが、ssh式思考法の一つ、「分けてみる」です。
医療や教育など、現場と呼ばれる分野での問題を考える時に大変に有用な分け方、それがこれ。
①個人の問題
②組織の問題
③社会の問題
仮に、病院側が「診られなかった」という立場に立つとしましょう。
なぜ診られなかったのか?それを上記①~③に分けて、可能性を考えてみます。
①、つまり医師個人の問題であれば、
・担当者に診察能力がなかった。
・診るべき人間が何か個人的な都合で診られなかった。
などが可能性として考えられます。
(あくまで可能性です。可能性を考える時は、極端なことまで考えた方がいいのです。)
②だと、病院そのものの問題ですから、
・病院の体制に不十分な面があった。
・病院の組織に何かまずい部分(上司と部下のトラブル的なもの)があった。
・病院に経営難などの問題があり、受け入れができなかった。
などが考えられます。
③の場合、行政の問題と、患者側の問題が出てきます。
・病院のベッド数や医師数の国の基準が不十分である。
・都道府県や国の救急医療体制が不備である。
・患者側に問題があった。
などが考えられます。
断っておきますが、ここではわざと雑に例を挙げています。
なぜなら、本当に重要なことは、みなさん自身が気が付く必要があるからです。
この分け方、いろいろと応用が効きます。
医療ミスの問題、小児科医不足の問題、安楽死の問題、ターミナルケアの問題・・・
例えば医療ミスの防止というトピックであれば、①~③にわけて考えると、
①医療人個人の努力で防げる部分(研修など)
②病院の組織的な努力で防げる部分(チェック体制の強化など)
③政治的な努力で防げる部分(医療従事者基準や予算の強化など)
と整理できます。
その上で、自分が特に重要だと思うことに焦点を絞って
そのことを論じていけばいいのです。
医療の世界は、毎日が難しい判断の連続です。
愛情や誠意だけでこなせるような世界じゃありません。
だからこそ、医療系の入試はシビアです。
医療人に「逃げ」は許されません。
医療人を目指すみなさん、逃げずに頑張って下さい。