ssh153 社説の読み方〜PISA2006編(4) [社説の読み方]
<2007>
さて、ようやく後半戦。
いろは順だと、4番手は朝日クンになります。
<国際学力調査―考える力を育てるには>
◆◆最初の00年、前回の03年と比べると、順位はいずれも下がっている。参加国が増えており、単純には比較できないとはいえ、学力低下に歯止めがかかっていないことはまちがいない。 ◆◆>
まちがいない、ですかねえ。
これ、他紙にもぜんぶ言えるんですが、順位低下=学力低下と断言できるんでしょうか?
まずは、あらゆる可能性を考えないと。他国が上昇した可能性、世界全体が下降した可能性、などなど。
ここいらへん、朝日クンの数学的リテラシーは、少々心もとないです。
◆◆今回の結果からは、日本の子どもの特徴について二つのことがいえる。
まず、フィンランドなどの上位の国と比べると、学力の低い層の割合がかなり大きいことだ。この層が全体を引き下げている。これまでも様々な調査で、勉強のできる子とできない子の二極化が深刻な問題と指摘されていたが、底上げの大切さが改めて示されたわけだ。
もうひとつは、科学では、公式をそのままあてはめるような設問には強いが、身の回りのことに疑問を持ち、それを論理的に説明するような力が弱い、ということだ。◆◆
この読み取りはなかなか秀逸です。
特に1点目の指摘は、他紙にはありませんが、文科省発表データを見れば一目瞭然です。
実はこれ、PISA2003でも同じ傾向だったんです。
ようやくここをきちんと読み取る人が出てきてくれましたか。
これは好評価です。
◆◆学力の底上げと応用力。二つの課題を克服するには、どうすればいいのか。
一人一人の学習の進み具合をつかみ、授業についてこられなくなったら、そのつど手助けする。落ちこぼれをつくらないためには、きめ細かな後押しが要る。
応用力を育てるには、公式の当てはめ方などを機械的に教えるのではなく、その論理を子どもたちに自ら考えさせる。そんな授業が求められる。
いずれも、十分な教員の数とともに、その質を上げることが必要だろう。◆◆
ほうほう、なるほどねえ。
ssh139では、教員を増やせ、という指摘がかえって余計で減点対象だったんですが、
今回のは実にスジが通ってますわ。
朝日クン、今回は割といいんじゃないですかね。