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ssh191 社説の読み方番外編 [社説の読み方]

<2008>

 

 天木直人氏のブログは気骨があって面白いです。

 天木氏と言えば『さらば外務省!』の著者で、退職後も精力的に活動していますから、ご存じの方は多いでしょう。もちろん、氏の意見に嫌悪感を覚える人もいるでしょう。それは別に構いません。世の中はいろんな意見があるのが健全です。

 

 さて、その天木氏のブログの最新記事がこれです。「新聞の社説を批判的に読む事の勧め」(記事本文リンク切れ)


 ssh主催者たる私は、社説ウォッチャーを自負しております。

 と言っても、本業の傍ら故、三大紙+全国紙2紙の5紙しかウォッチングしておりませんが、まあそれでも、ごく一般的な人or一般的な教職員よりは社説ウォッチングをしている方に入るはずです。

 

 かつて、新聞の社説は「よい文章」のお手本とされていました。特に高校生レベルで小論文を書く時にはそうでした。私にしても、中学の国語の先生が「社説は新聞で一番いい文章だから読みなさい」と言っておりました。

 

 しかし、これはsshで以前述べたことですが、小論文指導の立場になって、各紙の社説を読むと、思いのほかハズレが多いんですよ。

 

 


 

 これは別にイデオロギー的な問題じゃありません。

 

 事実誤認に基づくもの、論理が破綻しているもの、一貫性のないもの、意見に対する根拠のないもの、データが正しく読み取れていないもの、データを恣意的に引用しているもの、などなど。

 はっきり言って、かなりお粗末なレベルのものが、けっこうな打率で出てくるんです。

 

 天木氏はブログ記事でこう述べています。

 

 ◆◆◆ ところが社説には一つの大きな制約がある。それはその新聞社の政治的スタンスを色濃く反映するものであるという事だ。論説委員、編集委員の意見が社の方針と異なれば、変えさせられるのだ。 ◆◆◆ 

 

 ハズレ社説が出てくる原因の一つは、これの可能性大ですね。

 書き手は別の主張をしようと思って書いたのに、新聞社のスタンスで書き換えを余儀なくされる。

 本人が書き換えを命じられたら、そりゃ面白くないでしょうに。自分の意見と相反する主張を誠心誠意書くなんて、まあできっこないです。私だったらヤケクソになってわざとひどい文章書いちゃうかも。

 それはあまりだということで、急遽別の人に書かせるというテもあるにはあるでしょうが、これはこれで締め切りもあって大変でしょうね。

 どっちにしても、出来上がった文章のレベルはほとんど期待できません。

 

 今や、社説はお手本どころか、ツッコミどころを探すための反面教師として活用されたりしています。

 

 さて、これまでsshでやってきた「社説の読み方」シリーズで、平均点が一番高いのは毎日新聞です。

 これについて、天木氏の指摘は裏付けるものを持ってます。

 

 ◆◆◆ 毎日新聞は社の方針を一つにまとめて社説を書くという方針をはやばやと放棄してしまっている。記者の意見を尊重し、それをそのまま掲載することによって、読者の判断に任せるという方針を採ってしまった。◆◆◆

 

 毎日の場合、書き手重視なんですね。記者自身が考える意見を表明した文面を基本的にそのまま出す。

 

 私はssh138で「意見はホンネであるべきである」と述べました。その方が、間違いなく、いい小論文が書けます。

 毎日の社説にハズレが少ないのは、書き手のホンネに従った意見文であるからなんでしょう。

 やっぱり、ホンネは強いです。


 

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