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ssh248 大麻不法所持力士問題の語り方〜実戦トレーニング攻略編 [小論実戦トレーニング]

<2009>

 

<実は大麻は大議論対象>

 大麻はマリファナとも呼ばれています。覚醒作用があるということで、ドラッグ扱いされています。

 日本では完全禁止。服用や栽培はもちろん、所持も禁止です。野生の大麻の葉っぱ1枚摘み取っただけで犯罪です。

 

 ところが、大麻を取り巻く事情は世界では様々です。中には合法化している国もあるくらいでして。

 

 なぜ合法化したのかというと、合法の方がきっちり管理できるというんです。

 ドラッグは必ず手を出す人間がいる。禁止してもいる。禁止すれば違法行為として手を出す。

 するとブラックマーケットが発生する。ヤクザやマフィアの資金源となりやすい。

 ちょうどアメリカの禁酒法によってギャングたちが密造酒で莫大な資金を得たように。

 そうなると、もう政治も警察も手が届かなくなってしまう。

 

 であれば、ドラッグの中では比較的毒性の弱いものを合法として、適正価格(?)で販売する。そのかわりきっちり管理する。それによってブラックマーケットの発生を食い止め、ドラッグユーザーが地下潜航(把握できない状況となる)するのを防ぐ。

 別にマリファナが無害だというんじゃなくて、要はキレイゴトではどうにもならない現状があるから、より現実的に対応するということ。

 納得できるようなできないような。

 

 でも、実は大麻については、常に論争があるんです。規制強化と規制緩和とで。

 このへん、書き出すと止まらないのでやめますが、「大麻?けしからん!」と憤ってみせるのは国際標準ではありません。薬物の取締り基準が国際標準である必要があるとも思えませんが。


 

<資料は意図があって選ばれている>

 さて、今回の実戦トレーニングには、3つの資料がついています。で、3つすべてを読んだ上で意見を述べなさいという注文がついています。

 

 資料を軽く見てはいけません。なぜわざわざ資料がついているのか?

 それはもちろん、読んで欲しいからです。

 出題者(今回はもちろん私)が、解答者(みなさん)にぜひ読んで欲しいと思ったものを、資料としてつけてあるんです。

 なぜ、この資料を読んで欲しいというのか?その意図を読み取ることが重要です。


<資料1 25歳はオトナか若者か>

 まず資料1。

 やく氏は解雇という処分に不服です。除名にすべきだったという意見です。

 短いコメントではありますが、彼はここで、25歳という年齢は、前途ある若者として扱うべき年齢ではなく、十分な責任能力のあるオトナとして扱うべきだと考えているようです。

 これは、この問題を考える上での1つのヒントとなります。この発言から、この問題を若者論や世代論として扱うことが可能になります。

 

<資料2 一部の外国人の問題として片付けたかった人たち>

 資料2は、1年前のニュースです。ロシア出身の力士2名が大麻不法所持で処分されました。

 資料2を読んでもらうと、この記事全体が外国人はアブナイというトーンで貫かれているのがわかるはずです。

 実はこの時は、こういう意見はかなり多かったのです。マスメディアだけでなく、相撲協会にもそういう感覚はありました。外国人はアブナイ、言い換えれば、日本人は大丈夫だと。これは一部外国人だけの問題だ。自分達日本人には罪はない。

 

 若麒麟の逮捕は、この意見を完全にブチ壊してくれました。で、実は正直なところ、相撲関係者には大変失礼ですが、私はこれは非常にいいことだと思いましたね。

 大麻問題は一部外国人の問題として逃げようとしていたものの、今回の件で、もはやトカゲの尻尾切りではどうにもならなくなった。自分の責任ってものを考えざるを得なくなりましたから。

 

 これ、相撲協会だけの問題じゃないですよ。何かというと外国人のせいにしたがる人が世の中にはいっぱいいますが(都知事とか)、はっきり言ってそれは差別です。法治国家のやるべきことじゃありません。

 

 資料2を使うと、この問題から外国人差別という話にもっていくことができます。


<資料3 そもそも相撲に品格は必要なのか?>

 最後の資料3。1965年といえば昭和40年です。

 我が国でもっとも犯罪の多かったのが昭和30年代。とにかく昭和30年代は、青少年が年400人も殺人で捕まるような時代でした(現在は年数十人)。世の中がそれだけ荒れていれば、有名タレントや名横綱が拳銃くらい持ってても不思議はないです。

 芸能界も相撲界も、昔っから品格なんかないんですな。

 

 資料3は、私がもっとも重視した資料です。私は3つの資料をすべて読んで意見を述べるように指定しています。従って、資料3も必ず読まねばなりません。この資料を読んでしまうと、大相撲の伝統とか品格とかいう言葉は、もはや使い物になりません。

 今回の実戦トレーニングで、大相撲の伝統を守るとか、力士には品格が求められるとか、そういう文言を使うと、その時点で0点となります。

 伝統とか品格とかいう響きのいい言葉は、実態も理解せずつい使いたくなります。しかし、そこに思考停止の危険があります。 

 伝統ってなに?品格って、どういうこと?そういう「問い」がなければ、小論文にはなりません。

 

 伝統だの品格だのといった言葉で片付けるような答案はいらない。私が資料3をつけたのは、ここが狙いです。


 つまり。

 相撲の話題を扱うフリをしながら、実は私がみなさんに問いたかったのは、若者論であり、世代論であり、外国人問題(国際論)であり、差別問題であり、伝統とか品格とかいう言葉でごまかされているものをしっかり見直すことだったんです。


 一見軽ネタでも、軽視すべからず。


 

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