ssh259 問題とは何かという問題 [リテラシー・思考力]
<2009>
小論文で扱われるテーマ=問題は、正解ってものがありません。<正解のない問題に答えるテスト>などと呼ぶ人もいるくらいでして。
これが、各教科のテストだったら、あらかじめ予定されている正解にたどり着くのが目的です。
これが小論の厄介さでもあり、楽しさでもあるわけです。
まあもちろん、現実の社会で私たちが生きて行くには、正解のない問題に答え続けることが必要になります。
最近小論入試がますます増えている理由の一つはこのへんにあるのでしょう。
さてさて、今回のネタは、かなり哲学っぽくなりそうです。
テーマは、<問題とは何か?>
問題って、受験問題のことじゃありません。社会問題とか、国際問題とか、環境問題とか、少子化問題とか、そっちの方です。question じゃなくて problem。正解のない問題の方です。
私たちは日常的に「う~ん、これは問題だ。」とか思うわけですが、果たして、人はどんなものに対して「問題だ。」と思うんでしょうか?—という問題であります。
そりゃもちろん、困るものを問題だと思うんですけど、じゃあ「困る」って何でしょうか?
と、禅問答のように話は展開していきます。
でも禅問答はイライラしますから、あらかじめゴールは明示しておきましょう。
自然界に、問題は1つもない。
問題は、人間によって発見されたものである。
問題の本質は「矛盾」である。
自然界に問題は1つもない。ずいぶんと極端なことを言いますね、私も。
だとすれば、台風も大地震も津波もすべて問題ではないことになります。
今、オーストラリア南東部で大規模な山火事が発生していますが、(私ゃ来月オーストラリアに行かにゃならんのですがねえ。ヤだなあ)この原因は天候のようです。特に気温の極端な上昇。つまり自然の森林に自然発生した火事です。私の意見からすれば、この火事も問題ではないということになります。
あの大災害すら問題ではないなんて、そんなこと、あるんでしょうか?
はい、台風も大地震も津波も山火事も、それ自体は問題ではありません。
それが私の意見です。
これらすべては、単なる現象であり、出来事であるだけです。自然界にとって、困ることではありません。
もちろん、人間は困ります。
困りますが、しかし人間は自然界の生き物ではありません。
人間は、人間界を作っています。人間界は、不完全ながら自然界から独立した世界です。
災害が起きると、人間以外の生き物にも被害は出ます。多数の動植物が死にます。生態系にも影響が出ます。
しかし、それは問題ではありません。
すべての生き物は必ず死にます。だから、生き物が死ぬこと自体は問題ではありません。
災害の規模によっては、絶滅する種も出て来るでしょう。しかし、それも問題とはなりません。もし種の絶滅が問題だとしたら、今この地上に恐竜がいないのは大問題です。
自然界では種の絶滅は、進化や発生と同様によくあることです。ある種が絶滅してくれたおかげで別の種が繁栄できる、ということもあります。
従って、生態系が崩れることも、自然界ではままあることで、それ自体は問題とは言えません。
極端な話、地球上からすべての生命が消えうせたとしても、それは問題とはなりません。
地球に限らず、あらゆる天体にも寿命があります。
一つの星が生まれ、やがて消える。地球も将来的には膨張して爆発して消える運命にあります。それが自然の摂理です。
誕生も滅亡も、自然の摂理の中では、よくある出来事に過ぎません。
自然界に、問題は1つもありません。
だけど、そう言われて、「はい、そうですね、じゃあこれからは何も問題と考えずに明るく生きます」って人は、まさかいないですよね。
そりゃそうです。台風も地震も津波も山火事も、みんな困りますもの。人間にとっちゃ、どれも大問題です。
台風どころか、ごくちょっとした気候の変化だって大問題です。農業やら健康管理やらに影響します。工場の品質管理すら影響を受けます。メッキ工場なんて大気の温度湿度変化で簡単に歩留まりが変わっちゃうんだそうですから。
つまり、そういうことです。
自然界には、問題はない。
しかし、自然界の出来事は、人間にとって問題になりうる。
問題とは、人間の都合によって初めて発生するものです。
このテーマ、続きます。
何回かかるかわかりませんが、とにかく結論まで続きます。