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ssh284 若者を見下せなくなった元若者たち〜東京都議選報道の一断面  [マスコミュニケーション論]

<2009>

 

 毎朝時計代わりにNHKニュースを見ていたウチの嫁サン&子どもたちが、最近急に宗旨替えしてフジ系列の「めざましテレビ」を時計代わりに見るようになりました。理由は最近早起きが必要になった娘の好み。確かに小学生の娘っ子にはこっちの方がウケはいいでしょう。

 ところが、意外と言っては失礼ながら、「めざまし」のニュース部分はNHKニュースよりはるかに好感が持てるのですよ。少なくとも情緒的な演出はるかに少ない。何でもバラエティ仕立てにしたがるフジTVなのに。

 私が思うに、これは時間制約の問題ですね。「めざまし」はニュース番組ではなく、朝の情報番組という企画のようで(フジのHPでも報道番組扱いになっていない)、ニュースはその情報番組のごく一部という位置づけらしく、時間がかなり短いんです。おかげであっさりと製作されているというか、あまり凝った演出を入れる余地がない。ニュースってのはあまりいじくらない方がいいものなんでしょう。

 

 さて、2週間ほど前、その「めざましテレビ」が東京都議会選挙についてちょっとした特集を組んでいました。 都議選と言えば、例の自民党ボロ負けで石原パパはキレて八つ当たりするわ伸晃坊っちゃまは泣くわと、石原家はてんやわんやの大騒ぎだったようです。考えてみれば都知事と議会与党のリーダーが実の親子というのも世襲制度みたいなすごい話で、まるで封建武家社会のようです。これぞ武士道?今回のはお家騒動?

 いや、ふざけてる場合じゃない。「めざまし」の特集は石原家の憂鬱ではなく、若者の投票について。

 すでに報道でご存じの通り、都議選の投票率はまれに見る高率でした。ったって50%ちょっと。80%くらいが普通のイナカからすればずいぶんと低いんですが、大都会ではこれでも大変な高さです。で、その高い投票率を支えたのが、20代の若者たちだったようなんです。

 

 で、TV番組らしく、東京の若者にスタッフがインタビューをします。質問は以下の2つ。

1 都議選で投票に行ったか? 

2 次の総選挙で投票に行くか?

 編集にいささかの方向性がある可能性はありますが、それにしても、ですよ。放送されたインタビュー(6人くらいだったかな)が全員同じ答えだったんです。

 1、2とも、全員がイエス。しかも、全員非常にしっかりとした受け答えをしていました。


 

 日頃<反若者キャンペーン>に叛旗を翻しているsshとしては、かなり考え込んでしまいました。

 反若者キャンペーンってちょっと大げさですけど、でも<近頃の若者は・・・>てな物言いはほとんどデマキャンペーンですからね。とにかく若者は低学力で責任感がなくてわがままでゲーム脳でどーたらこーたらと日頃メチャクチャな言われようです。街頭インタビューでも、いかにもバカでダメで自分勝手な受け答えばかりが流されていました。

 

 ところが、今回の都議選後のインタビューの若者はみんなしっかり者でした。これは一体どうしたことか?

 考え込んだ私が思い付いた仮説は、以下の3つ。

 

・その1

 若者は今でも低学力でわがままでゲーム脳だが、番組の内容上どうしても投票に行った人間を並べる必要があり、必死の編集の末このような形にまとめあげた。

・その2

 実は若者は昔から格別わがままでもゲーム脳でもなかった。これまでの報道こそが意図的にバカばっかりなように編集されていた。

・その3

 信じられないことだが、2009年を境に若者は突如バカじゃなくなった。

 

 事実がどのへんなのかは知りませんが(その3ではないでしょうな、いくら何でも)、ただ一つ言えるのは、フジテレビほどのTV局が「若者はしっかりしている」というインタビューをTVで流すようになったというのは大変なchangeだということです。そういう点では若者は状況を少し変えたと言えるでしょう。やはりchangeは元若者ではなく、若者が起こすものなんでしょう。

 

 

 ついでに。

 都議選のニュースで私が最もびっくりしたのは、自民惨敗でも民主躍進でも公明全員当選(これもかなりすごいことだけど)でも石原親子でもなく、東京都の有権者が1000万人以上いるということ。人口1200万人のうち1000万人が成人。未成年つまり子どもはわずか6分の1。東京人の6人に5人は大人。子どものいない街。ホント、東京ってチョー少子社会なんですねえ。イナカ者には異文化理解みたいです。 


 

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