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ssh472 カセットテープのお話(1) [科学と技術]

<2011>

 

 何を隠そう、私は幼少期からテープレコーダーというものに偏狭で執拗な=偏執的な興味を持っていました。

 とにかく好きだったんですよ、テープレコーダーが。

 だって、すごいじゃないですか、あの機械。

 声や音楽が録音できるんですよ。

 しかも、一旦記録したら、繰り返し何回も聴けるんですよ。

 もちろんレコードだって何回も聴けますよ。でも、レコードは買ってくるだけ。

 テープは自分でいろんなことができる。自分の好きなモノを並べておくことだって可能。

 こんなcreativeな記録メディアは、テープレコーダーの普及までなかったはずです。

 ラジオを録音してまた聞く事ももちろん可能。TV(音だけなら)OK

 昔はレコードからテープに録音すること自体が違法行為だとレコードに明記されていましたけど、これは単なる利権上の脅し。個人的利用であれば録音はOKだということはすぐに流布しました。

 

 磁気で音声を記録する仕組みそのものは19世紀にすでに考案されていたらしいですが、テープに磁気ヘッドで記録するという方法が実用的なものとなったのは1940年ころらしいです。

 テープはその気になればいくらでも長くできた。当時のテープは直径が数十センチの大きなリールに巻かれていました。これはそれまで一般的だった、円盤に針で溝を刻む方式=レコード方式に対して大きな利点でした。レコード方式では連続記録時間はせいぜい2030分でしたが、テープはもっと長く連続記録ができた。

 テープ録音は、ナチスドイツではすでに実用化していて、ヒトラーの演説など重要な録音がテープでなされたようです。一方、当時の日本ではまだレコード記録が一般的で、昭和天皇の玉音放送もレコード記録でした。

 日本でテープレコーダーが実用化されるのは戦後間もなくのこと、ソニーの前身の東京通信機工業が作った「G型」が我が国最初のテープレコーダーです。


 


 テープレコーダー、略してテレコ。

 私の幼少期、テレコと言えばオープンリールの大きなテープを使うものでした。

 で、当時はマイク録音が主流でした。マイクが拾った音を録音するのがテレコの流儀。テレコを買うというのは、マイクも一緒に買うということでした。

 で、当時、テープに音楽を録音して聞くという使い方は、あまり一般的ではありませんでした。

 なぜ?

 まずキカイが高い。電蓄(電気蓄音機、つまりレコードプレーヤー)の方がよっぽど安い。それに取り扱いが大げさ。レコードをかける方がラク。

 

 さらに。

 当時は機械も高かったけど、テープも高かった。

 30分くらい録音できるテープが、当時の値段で数百円から千円以上した。今の感覚だと5000円くらいでしょうか。そんな高いものわざわざ買ってレコードの録音なんかしません。

 

 テープが高いから、新しいテープなんか滅多に買わない。同じテープを何回も録音し直して使う。(あ、これもテープレコーダーの偉大さです。繰り返し記録し直せる。CD-RWみたい。)

 繰り返し使うから、テープが痛む。音はすぐ悪くなりました。でも当時はそれで十分なレベル。ただし、痛んだテープはよく切れました。

 切れたらどうするか?もちろんつなぎます。

 つーても、プロじゃないから、つなぎ方はヘタクソ。スプライシングテープという専用の粘着テープもあったけど、高いから買わない。使うのは接着剤かセロテープ。つなぎ目はヘンな音がしました。

 

 私の家のオープンリールのテープコーダー(ソニー製でした)は、主に兄がラジオ番組の録音に使っていました。このテープコーダーには外部入力端子があったので、兄はこれをラジオのイヤフォンジャックとつないで録音していました。若かりし頃のみのもんたが「み~のみ~の~も~ん~た~み~のも~んたっ、パッ!」とか歌いながら軽いノリでラジオ番組を担当してましたっけ。ま、彼は今でも軽薄ですけど。


 

DSCF0923.jpg

(これがその機械。録音するには赤いスイッチを押し込みながら右下のレバーをひねります。この作業が子どもにはなかなか難行でしたね。機械の現物は実家にあるのですが、さすがにオープンリールのテープはありません。)

 

 う~む、カセットテープの話を書こうと思ったのに、カセットが登場する前に記事1本分になってしまった。ごめんなさい。カセットは続編で登場しますので、ご容赦を。

 



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