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ssh494 テレビを見ない子ども〜テレビの見過ぎですの余白 [マスコミュニケーション論]

<2011>

 

◆◆テレビ「ほとんど見ない」子ども、6.6%に急増

 テレビやDVDを「ほとんど見ない」と答えた子どもの割合が2009年は6.6%に上り、2.6%だった前回04年調査の2倍超に増えたことが22日、厚生労働省の「全国家庭児童調査」で分かった。高校生に限ると10.5%で、04年より6.6ポイント増えた。  見ている場合でも、1日の視聴時間は全体的に減少。「2時間以上3時間未満」は3.7ポイント減の26.0%、「3時間以上」は3.4ポイント減の25.8%だった。 

 一方、携帯電話の利用時間は増え、「1時間以上2時間未満」が3.3ポイント増の9.8%で、「2時間以上」が2.8ポイント増の16.7%だった。  調査は全国の小学5年から18歳未満の子どもを対象に5年ごとに実施。今回の調査には1098人が答えた。(サンケイスポーツ 1223)◆◆ 

 

 Good for you! 

 結構なことじゃないですか。

 196070年代には「テレビっ子」とか「テレビ中毒」とかいう言葉がやたらと使われました。 青少年が何かヘンなことをすると、その原因は「テレビの見過ぎ」と論評されました。 

 テレビを見ない子どもが急増なんて、奉祝すべきことです。

 

 ただ、この報道が、テレビ視聴時間の減少をケータイ利用時間と対比しているのはどーかなと思いますね。これだとテレビからケータイに移行したように読み取れる。っつーか、たぶんこれ書いた記者はそう受け止めたんでしょう。 

 でも、増減のポイントを見ると、テレビを見ない層の増加は、ケータイ利用時間を増やした層より明確に多いんです。

 私が通勤中に聴くラジオでも、この記事と同じようなことを言っていました。けど、これはテレビからケータイにメディア乗り換えが行われたというより、単純に「子どものテレビ離れが進んだ」と捉えるべきなんじゃないでしょうかね。

 テレビというメディアからお客さんが離れたとき、じゃあ彼ら彼女らはどの別のメディアに逃げたのだ?としか考えれられないってのは、ちょいと思考が浅いですね。メディアそのものから退避した可能性も考えないと。


 

  ssh487から続く「テレビの見過ぎです」シリーズは、実は子どもはターゲットにしていません。

  私が意識していたのは、あくまで元若者。より明確には、45歳以上の人たち。

  この人たちは、本当にテレビが大好きです。

  どのくらい好きかって、好きという意識が消えるほど好きです。もはや水か空気のような存在。必要不可欠過ぎて意識すらしていない。

 

  テレビをあまり見ない子どもたちが成長してくれば、この国の状況も変わってくるかも知れませんね。ちょっと期待。 

 

 実はウチの長男も次男も(ともに高校生)テレビはほとんど見ません。我が家でテレビをよーく見ているのは、長女と嫁サンのみ。最近の彼女らを見ていると「こうやって母親と娘の絆ってのが深まっていくのかな」と少々シニカルな感想を持ってます。

 

 さて、ではなぜ、子どもたちはテレビから去っていくのか?

 ここから先はまったくの個人的感想ですけど、私が思うに、それはテレビが悪い意味でオンナコドモ的になり過ぎたから。

 

 「テレビの見過ぎです」シリーズで、私はこんなことを書きました。

 テレビは言葉よりも音や映像を重用する。テレビは論理を嫌い、感情に訴える短いフレーズを多用する。テレビは長い話を嫌い、話を短くまとめて次のコーナーに進まねばならない。テレビは答えを示したがり、視聴者自身に考えることを求めない。テレビは焦点にズームアップしたがる、等々。

 これらはつまり、テレビは成熟した市民の姿勢とほぼ正反対の方向性を持っているということです。

 

 成熟した市民=「オトナ」の正反対にあるのが、古くさい言い回しの「オンナコドモ」です。

 

 実際、今のTVに出てくるタレントって、オンナコドモばっかりじゃないですか。

 AKBとか子どもタレントたちは文字通りのオンナコドモだけど、成人してるタレントだって、やってることはほとんど子どもノリ。アラサーやアラフォーの女優や女子アナが平気で「40代女子(じょし!)」とか「女子会」とか言ってる。

 そーゆーオンナコドモノリに、食あたりを起こしているんじゃないでしょうかね、6.6%の子どもたちは。

 

 

 ちょっとキツいことを言うと、TV(と新聞)は真実を伝えない、ということを、すでに多くの未成年は学習しています。

 私も生徒にはっきりと言っています。「テレビの言うことを信じているようじゃ小論は書けない」と。

 小論が書けなけりゃ、生徒たちの進路実現はパアになりますからね。こちとら真剣です。

 よくわかってないのが、当事者たちでしょう。テレビ屋さんたちは、今もって自分たちは社会的に重い価値のある仕事をしている(と社会から認められている)と信じている。

 だから、こういうニュースがあるとビビるんでしょう。で、客を奪った相手を探してしまう。

 そうこうしているうちに、テレビ全体がずぶずぶと沈没していくんでしょうね。 


 

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