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ssh517 春休みも難しい [教育問題]

<2012>

 

 3月のどんづまりに年度内の宿題が何とか片付きまして、今日は春休みを取りました。

 1日だけですが、平日に休みが取れると気分的にはちょっとリフレッシュできます。

 

 学校職員の勤務システムをよく知らない方のために一応説明しておきますと、夏休みとか冬休みとか春休みとかの長期休業は授業がない期間であって、我々職員は通常勤務です。ただ、仕事の面で融通が効きますから、代休や年次休暇(略して年休。会社員の有給休暇とほぼ同義)が取りやすい。

 20年くらい前までは長期休業中にかなりのんびり休んでいた先生もいました。昔は事務仕事の要求が割と少なかったですし、週休2日制の代休(公務員は制度上週休2日だが教育職は土曜日が授業日のためその代休措置が必要)を長期休業中にまとめて取るパターンがあったからです。まあ、もっとも、年間20日分くらいある土曜勤務の代休をりましたが全部消化することなんか不可能でしたけど。


 ところで。職員のことはさておいても、学校では長期休業の設定が年々難しくなってます。

 ssh496春休みが難しいで、冬休みの設定がすごく難しくなっているという話を書きました。天皇誕生日と成人の日が実に厄介な場所にあると。

 実は、高校の場合、春休みもかなり難しいんです。


 

 かつて、3月というのはかなり優雅な時期でした。少なくとも私の地元では。

 最後の定期テストが大体3月の17日あたり。卒業式が358日ころ。これが終わると、在校生はずーっと授業がなく、あとは323日ころに終業式にやってくるだけ。

 かくいう私は、20年前の315日に結婚式をやって、その足で1週間のハネムーンに出かけました。1週間も学校を空けても何とかなる時期というのは、当時は3月くらいしかなかったんです。

 

 そんな時代もあったよね。今はそうはいきません。12年生は3月中もかなり授業やら補習やらを行います。

 これが実に悩ましい。

 悩ましい理由は、入学者選抜と単位認定。


 入学者選抜、つまり高校入試ですけど、これはさすがに神経を使います。

 県から配布される要項は、全員できっちり読み合わせをします。教室は入念にクリーニングします。在校生のヘンテコな落書きが試験に影響を与えては一大事です。放送設備は全部チェックします。在校生に聞こえてはマズいので、全員帰宅した時間帯に行います。採点は慎重にやらねばなりません。かつて合格者の指名が公表されていたころは、合格者名簿のコピーを新聞社やテレビ局に差し上げるというお仕事もありました。今はそういうことはやりませんが、その代わり開示請求のための準備があります(本県は答案そのものが開示請求対象)

 

 当然のことながら、選抜業務のあいだ、授業なんかできません。準備から何からひっくるめると5日は授業ができません。

 資料を作る担当の職員はもっと大変です。在校生が授業に来ている傍らで、選抜の秘密業務をしないといけない。そんなの分業すればいいじゃないかというのは、公務員の人件費削減を一度も口にしたことの無い人だけが言えること。今日日の現場は人員的にカツカツなのです。


 一方の単位認定ですが、これは入試以上に厄介です。

 年度末に、単位認定の基準に達していない生徒が出ます。これは必ず出ます。

 こういう生徒に対して、はいさようならというわけにはいきません。

 

 認定基準に達しなかった生徒の事情は十人十色の千差万別です。だから指導は時間がかかる。心身の不調やら家族内やクラス内のトラブルやらその他もろもろの事情やらを抱えている生徒はもちろんですけど、ただの怠惰で成績が足りない生徒に対しても、いきなりダメとは言えません。本当にどうにもならないのか、学校も本人も保護者も見極めるための時間が必要です。

 「義務教育でも落第させろ」とホザいている首長がいるみたいですけど、まー現場を知らないガキの言うことには付き合いきれませんな。そんなんで済めば教員なんて極楽商売ですわ。

 

 かつての高校であれば、3月は日程に余裕がありましたから、諸事情あって不認定候補となった生徒に対して、丁寧に指導することができました。

 1ヶ月近く指導を繰り返してきたのになかなか付いてきてくれなくて、こっちは怒るし親は困るしで、いよいよ3月も末日になって、自分は本当は高校に進みたくはなかったけれど親や中学の先生にほだされてここまで来てしまった、でもやっぱりもう耐えられないと吐き出した・・・なんてケースもあります(実話)

 表に出てくる数字や態度や情報だけじゃわからないことが、山ほどあるんですよ。にんげんだもの(@相田みつを)

 ところが、昨今は3月もいっぱいいっぱい授業やら補習やらを入れますんで、そういう時間があまり取れないんです。結局、担当者が骨身を削ることによってだけ何とかなっているというのが実情です。


 昨今めっきり夏休みの短くなった大学でも、春休みはさすがに割と長いようです。たぶん選抜業務と単位認定指導のお仕事のせいでしょう。特に選抜業務はチョー複雑ですからね。授業どころじゃないでしょう。

 

 

 さてさて。そんな難しくて短い春休みも終了。私の仕事始めは43日です。始業式は44日。

 リフレッシュも中くらいなりおらが春休み、ではありますが、生徒は待ってくれません。

 さ、無理矢理気持ちを入れ直して頑張りましょう。


 

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