ssh579 大学のネームバリューに警戒せよ [志望理由・進路選択]
<2012>
12月です。センター試験まで1ヶ月少々。一般入試を受験する大半の受験生にとっては落ち着かない年の瀬です。
12月ともなると、ぼちぼち願書を取り寄せておく時期です。願書は余裕を持って、多めに用意しておくのが原則です(ssh162参照)。
ところで、出願となると、けっこう気になるのが大学のネームバリュー。誰しも見栄とか意地とかいったものはありますんで、できることなら無名の大学よりも名の売れている大学に行きたいところ。気持ちはわかります。
でも、名の売れている大学ってなぜ名が売れているのか、よく考えたことはありますか？
名が売れているというのは、つまり、その大学の名前がよく耳に入ってくるということです。
その大学名をみなさんの耳に入れてくるのは、誰ですか？
高校生であれば、学校の先生。家族や親類縁者。友人や先輩。進学情報誌や書籍もそうでしょう。
ここにプラスして、マスメディアからの情報があります。つまりTVや新聞や雑誌。
この記事では、後の部分であるマスメディアから入ってくる部分についてのお話を。
メディア経由の大学ネームバリューには、くれぐれも警戒してください。
マスメディアはどんな時に大学の名前を流すのでしょうか？
事件や事故があった時はもちろん流れますが、これはマイナス情報だから無視します。
学術的に重要な発見や表彰があった時には、大学名が流れます。「◯◯大学の研究グループが××を発見しました」など。これは大学の功績を伝えるプラス情報です。ノーベル賞なんてのは最高のプラス情報でしょう。
ただ、こういうのは、そう頻繁にはありません。
一番多いのは、スポーツでしょう。
と言っても、スポーツが強けりゃなんでもいいってわけじゃない。バレーやバスケや水泳なんかは全然情報が流れません。
人気があるのは、例えば野球とラグビー。
昨今、特に華々しいのは箱根駅伝でしょう。
正月のTVで、何時間にも渡って「◯◯大学、先頭に立ちました！」とかやってるんですから、そのPR効果は大変なものです。実際、箱根の成績はその年度の受験出願者数に如実に影響が出るようです。正月と言えば出願締切間近ですからね。
箱根って、関東の男子だけの大会なんですけど、全国大学駅伝よりずっと人気あるみたいですね。今や日本テレビにとって斜陽の巨人人気よりこっちの方が大切なドル箱なんじゃないでしょうか。
あとは、タレントの出身校ですか。
昨今のTVでは、にわかにタレントの出身大学が紹介されるようになっています。TV界では学歴がタレントの仕事を左右する要因になってきたのですね。あるいは学歴は装身具になったというべきか。
以上のことからして、マスメディアに名前が出やすい大学というのは、大体次のような大学だというふうに考えられます。
- ノーベル賞級の研究が行われている大学。具体的には東大・京大を筆頭とする旧帝国大学など。
- スポーツの強い大学。具体的には野球とラグビーの強い大学。特に駅伝に強い関東の大学。
- タレントになるような人材を排出できるような大学。具体的には、規模の大きな大学(数が多いほどタレントも出やすい)。さらに言うと、首都圏の大きな私立大学(メディアは東京中心だし、有名人の子女は有名私大の付属小中高に通っていることが多い)。
あえて乱暴にまとめると、旧帝大や老舗の超有名大学と、関東の大規模な男女共学でスポーツの強い大学が有利ということになります。
従って、次のような大学は、マスメディア的にはかなり不利だと言えます。
- 旧帝大のような潤沢な研究予算をもらっていない大学。
- 国公立大学の大半(スポーツが弱い、有名人の子女をもらう付属校はない)。
- 関東以外の大学(箱根に出られない)。
- 女子大(規模も小さいし、野球もラグビーも箱根も出られない)。
- 地方の大学(有利な条件は一つもない)。
- 小規模な大学。
- 理科大学とか工業大学とか医療系とか、理系の大学(そもそも小規模だし、仮に東京にあっても、スポーツ弱いし付属校ないし理系はタレントにならないし)
こうして考えてみると、メディア的に「有名」な大学というのは、本来の大学の価値とはあまり関係ない部分で「有名」だというふうに思えてきます。
ネームバリューそのものを否定するつもりは毛頭ありません。でも、ことメディア的なネームバリューで自分の進学する大学を決めるのは、かなりつまらないことだと思います。
自分の行き先です。メディアに振り回されることなく、自分で調べて自分にとっての価値を確認しましょう。
それにしても、何とかなりませんかねえ、箱根駅伝。あれ、進学指導的にはかなり有害ですよ。
2017-10-17 19:06
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