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ssh662 鼻血と君が代斉唱と英語学習の重要性(1) [三題噺]

<2014>

 

 『美味しんぼ 福島の真実編』がちょっとした物議を醸しています。

 私はオリジナルを全く見ていないのであまり大したことは言えないのですけど、ネットレベルのお話だと、福島を訪問した主人公の山岡が鼻血を出す一コマが特にやり玉に上がっているみたいです。どーせネットレベルの批判者も例によってオリジナルは読んでないでしょうけど。


 『美味しんぼ』は割とよく読んでいます。

 ただし、家には一冊もありません。ビッグコミックスピリッツに連載されたのが私が20歳くらいのときで、当時私はスピリッツを購読していたので自動的に読んでいました。

 数年前に腰を痛めて整形外科通いをしていた時、待合室に『美味しんぼ』単行本がズラリと揃えられていて、待ち時間にあらかた読んでしまいました。一緒に置いてあった『ゴルゴ13』とともに。

 

 あのマンガは割と珍妙なマンガです。物語とドキュメンタリーとアジテーションが入り交じっている。原作者の雁屋哲が取材した実在の人物のインタビューがほとんどそのまま使われていると思われるような部分がちょくちょく登場します。

 で、くだんのエピソードでも井戸川前双葉町町長への取材があったようで、劇中で福島には住まない方がいいという旨の発言がなされているらしく、これがまた物議のネタになっている。

 井戸川前町長は本当にひどい鼻血に悩まされているようですけど、もちろん放射線を浴びた人がみんながみんな鼻血を苛むわけでもありません。

 ただ、先日次男が観ていたDVDのハリウッド映画に、鼻血で被曝者であることがバレるというシーンがありました。してみると被曝=鼻血というのは、少なくともエンタメ界では「よくある話」として扱われているもののようです。安倍政権が読売新聞ともどもハリウッドに抗議したという話も聞きませんし。


 

 さて、今回の一件を知ったとき、私の頭に真っ先に思い浮かんだのは、ずいぶんと前のサッカー日本代表のことです。

 時期も個人名も挙げませんけど、とあるサッカー国際試合で、試合前の国歌演奏のセレモニーの際、日本代表チームの一部がちゃんと斉唱してなかったということで、一部から問題視されたことがあったんです。私はTVで見ていたような気がします。

 同時期に、別の競技(偏執的なネトウヨ君がいるといけないので競技名は伏せます)の国際試合をTVで見る機会がありました。こちらも試合前のセレモニーで国歌演奏がありました。

 日本代表選手は誰も斉唱していませんでした。なのに、こちらの件はまったく話題にも騒ぎにもならなかったのです。

 この時、私の頭に浮かんだこと。それは、自称愛国者はミーハーであるということ。

 

 愛国者を自負する人々は、マスメディア的に目立つものしか見ていない。

 サッカーほど目立つものでなければ、「みんなが騒いでいるもの」でなければ、たとえTV中継されるようなスポーツであっても、まるで眼中にない。


 鼻血に話に戻りますと、放射線汚染の強い地区ではいろいろな健康被害が出ていて、その中の一つに鼻血があるということは、私は以前から知っていました。こんな情報はあちこちでいっぱい流れていました。

 同時に、選べるものなら福島には住まない方がいい、特に子どもはなるべく避難させるべきだという意見を多くの人が述べているのも知っていました。そう主張する人はたくさんいます。別に井戸川前町長が特殊なわけじゃありません。

 『美味しんぼ』で書かれたことは、すでにいろんな人が何度も言ってきたことです。私にすれば「何を今さら」という内容。

 なのに。『美味しんぼ』というマンガで扱われた途端に、わっと批判が起きた。


 今回『美味しんぼ』に噛み付いている人たちは、くだんのサッカー日本代表に噛み付いた人と、同じようなタイプの人たちなのでしょう。

 目立つことにしか反応できない。みんなが騒ぐとヤジ馬よろしくやってきて「そーだそーだ!」と騒ぐ。

 

 私は『美味しんぼ』は、どーもお説教臭くってあんまり好きじゃありません。時々思い込みの激しい主張もするし。まあでも、それはそれです。自由市場原理に従って、売れるなり売れないなりすればいいだけの話です。

 

 困ったことに、あのマンガを批判することは、現政権や中央メディアや財界の利益にかなっています。

 晋三坊ちゃまは原発再可動大賛成。読売新聞や産経新聞も同じく。読売クンは他紙に先駆けて社説で『美味しんぼ』批判を行っています。

 今回の一件で、本来なら普通に述べられたはずの意見が、風評被害を助長するとか何とかの理由をつけられて放送禁止用語的なダメ出しを喰らう可能性は多いにあります。これは大変に迷惑な話です。


 だから。

 みなさん、英語を勉強しましょう。(この項つづく)


 

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