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ssh722 翁長知事の発言時間が急遽カットされた件 [社会]

<2015>

 

◆◆知事発言が突然非公開に 官邸が3分で打ち切る(沖縄タイムス 2015.4.18.)

 【東京】翁長雄志知事と安倍晋三首相の初会談で、官邸側は沖縄県側と約束した知事の冒頭5分の発言時間を打ち切る形で切り上げ、知事の発言途中で報道陣を退室させた。県側は事前に5分ずつと約束しており「あれはルール違反」(県幹部)と不満の声も出ている。

 報道陣に公開された会談冒頭は約6分。首相が「辺野古移転が唯一の解決策」を強調して2分50秒発言した。続いて知事が発言メモ4枚のうち2枚目を読み上げたところで、官邸スタッフが「報道、退室」と指示。公開された知事の発言時間は3分13秒だった。

 県幹部によると、会談の事前調整で県は会談を全部公開するよう求めたが、調整の上、会談は30分で冒頭5分ずつの発言を公開すると約束。発言順は知事が先だったが、17日朝に官邸側が「総理から」と変更を申し入れ、発言時間は「5分ですよ」と念押しがあったという。

 一方、菅義偉官房長官は会談後の会見で発言時間が事前の調整と異なると記者団に問われ「(約束が)何分であったかは分からない。お互いに話をして時間がきたので切らせていただいた。官邸ではそういう形で行っている」と説明、県と異なる見解を示した。

 発言を事実上阻まれた格好になった知事は会談後、非公開になった発言内容を記者団に紹介、発言メモも報道各社に配るよう県職員へ指示した。辺野古新基地反対の知事メッセージを警戒し、メディアに「画」を撮られないよう官邸側が意識したのではないかとの指摘も上がっている。(太字はshira。以下もすべて)◆◆

 

 

 姑息ですな。

 「辺野古が唯一」という主張に自信があるのなら、どんな反論もどんどんさせておけばいいでしょうに。やっぱ自信がないんでしょう。ま、あるわけないか。そもそも普天間にいるアメリカ海兵隊は上陸攻撃の部隊であって、彼らが沖縄にいたところで中国やら北朝鮮やらから飛んでくるミサイルに対して抑止力になるワケないんですから。

 

 次の琉球新報の社説を読むと、中央紙がいかに情報伝達をサボっているかわかります。

 

 

◆◆ナイ氏発言 沖縄に犠牲強いるのは誰か(2015.4.7.) 

 近代国家である限り、公権力の暴虐を戒めるのはまっとうな感覚であろう。民主主義の国に生きているなら当然の見解ともいえる。

 ジョセフ・ナイ元米国防次官補(現ハーバード大教授)が2日、琉球新報の取材に対し、普天間飛行場の名護市辺野古移設について「沖縄の人々の支持が得られないなら、われわれ、米政府はおそらく再検討しなければならないだろう」と述べた。沖縄の民意に逆行して工事が進むことへの懸念を明快に示した形だ。

 ナイ氏は米外交政策に最も影響力を持つ国際政治学者だ。米国務長官に助言する外交政策委員会のメンバーでもある。いわば米外交の主流中の主流だ。

 これに対し日本の外交当局、政治の主流派は辺野古強行の大合唱である。沖縄の民意を正当に受け止める発言が、沖縄が属する日本からでなく、米国から出てくるばかりなのが残念でならない。

 安倍晋三首相や菅義偉官房長官は「辺野古が唯一の選択肢」と繰り返す。だが、当の米国が別の案を考えないといけないと言うのだから、「唯一」がむなしく響く。

 ナイ氏は昨年夏にも論文を発表し、基地負担に対する沖縄の怒りと中国のミサイル技術発達に照らして「沖縄の米軍基地は脆弱(ぜいじゃく)になった」と主張、「同盟の構造の再考」を促していた。「再考」が辺野古見直しを意味するのは明らかだ。

 2011年に発表した論文ではもっと直裁に、「普天間の県内移設が沖縄の人々に受け入れられる余地はほとんどない」と分析、豪州への海兵隊移転を提言していた。

 米国は、沖縄の本土復帰の際にも1995年にも、2005年の現行案決定の時にも、再三再四、在沖米海兵隊の米本国撤退や県外移設を提案していた。公文書などで既に明らかになった事実だ。それを沖縄に置くよう懇願したのが日本政府だったことも分かっている。沖縄に犠牲を強いているのは、他の誰でもなく日本政府なのだ。

 辺野古移設に関し、日本政府は「決めたことは何が何でも進める」という姿勢だ。それが「日米同盟の強化」になると言いはやすが、当の米国はそう思っていないのだから、政府の弁はおよそ合理性を欠いている。

 安保の負担を沖縄だけに負わせるのはもう限界だ。ナイ氏の発言はそれを明快に示す。日本政府も「決めたから進める」という思考停止をいい加減脱するべきだ。◆◆

 

 

 太字にした部分は、沖縄基地問題に多少でも自覚的な人にとってはほぼ常識です。

 だからこそ、県外移設や撤退を現実的な選択として主張しているのです。

 でもこれ、中央メディアは断固として(?)流しません。それで撤退など夢のまた夢だと思い込んでいて、それで普天間から辺野古という移動(それも日本人の血税で)しかないと信じ込んでるのですね。

 

 

 ついでに、今回の翁長安倍会談の社説も紹介しておきましょう。中央紙を読み慣れた方にはショックが大きいかも。

 

◆◆知事首相会談 「圧倒的な民意」は明白 辺野古断念こそ現実的だ(2015.4.18.) 

 知事の言葉一つ一つに県民の思いが込もっていた。歴史的な会談と評価していい。

 翁長雄志知事が安倍晋三首相と会談した。何より最後の一言が大きい。知事は、米軍普天間飛行場の辺野古移設について「知事をはじめ沖縄県民が明確に反対していることをオバマ大統領に伝えてほしい」とくぎを刺したのだ。

 この会談を首相は「移設へ向けた進展」と米国へ説明する材料に使うと目されていた。知事はそれを警戒したのだろう。この発言でそんな偽装は不可能になった。

 首相は会談を新基地建設の免罪符に使ってはならない。知事の言う通り移設作業を中止すべきだ。

 

「固定観念」

 

 首相はこの日も「辺野古(移設)が唯一の解決策」と繰り返した。知事選、市長選、衆院選で反対派が全勝した昨年の選挙は、まさに知事が述べた通り「圧倒的な民意」である。その県民の度重なる意思表示を経てもなお、「辺野古が唯一」と繰り返すのは、知事の評した通り「かたくな」だ。民主国家にあるまじき姿勢である。

 知事は「(辺野古が唯一という)固定観念に縛られず、移設作業を中止してほしい」と求めた。民意に照らし当然の要求だろう。

 現防衛相の中谷元氏は昨年、「沖縄の基地を分散しようと思えば九州へも分散できるが、反対が大きくてできない」と述べていた。他県は反対があるから移設しないが、沖縄はいくら反対しても移設を強行するというわけである。これがダブルスタンダードでなくて何であろうか。

 元防衛相の森本敏氏も同じ趣旨のことを在任中に述べている。最近も「海兵隊が沖縄にいなければ抑止にならないというのは軍事的には間違いだ」と明言した。県外移設でも何ら支障がないことを担当大臣の発言は証明している。首相らの言う「辺野古が唯一」論はとうに破綻しているのである。

 菅義偉官房長官が繰り返す「16年前に沖縄も同意した」という主張のウソを知事が指摘したのも痛快だった。

 1999年に閣議決定した計画は、政府が2006年に破棄し現計画に変更した。政府自ら破棄しておいて「16年前に同意」とは詐称に等しい。

 しかも16年前は、軍民共用でかつ15年後には基地として使用してはならないというのが絶対条件だった。使用期限が受け入れられなければ容認は撤回すると当時の市長も明言していた。

 だが現計画になり、軍民共用も使用期限も雲散霧消した。これで「地元も受け入れていた」と称するのは虚言以外の何物でもない。

 

倒錯の論理

 

 16年前の計画も、使用期限は米側が同意する見込みがなかったから、いずれ計画が破綻するのは明らかだった。政府が閣議決定を破棄したのはそんな行き詰まりも背景にある。沖縄側が容認を撤回するのは時間の問題だったのだ。

 会談で首相は現計画が普天間の危険性除去になると強調した。

 だが辺野古移設では、県民の頭上を危険な物体が飛び、爆音をまき散らし、軍による犯罪が日常的に発生する事態は何ら変わらない。これが「危険性の除去」にならないのは、子どもでも分かる。

 普天間移設は沖縄の基地負担軽減がそもそもの出発点だったはずだ。基地を沖縄から沖縄へ移すのが解決策と主張するのは、どう見ても倒錯した論理である。

 政府は沖縄の反対が極論であるかのように言うが、普天間飛行場をなくしたところで、国内の米軍専用基地の沖縄への集中度は73・8%から73・4%へ、わずか0・4ポイント下がるにすぎない。これが過大な要求だろうか。

 世論調査では県民の6割から8割は常に県外・国外移転を求める。辺野古でいいとするのはせいぜい十数%だ。20年間もそうなのだから、今後も賛成が上回るなどあり得ない。辺野古新基地を断念することこそ現実的である。政府はその現実を直視すべきだ。◆◆


 

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