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LHR101 スーパースワンのユニット変更 [DIY記]

<2015>

 

 書斎のオーディオシステムのメインスピーカーであるD-101Sスーパースワンのユニットを変更しました。

 突然、実に突然の変更であります。


 

 スーパースワンは長岡鉄男が1992年に発表。長岡スピーカーでもっとも多く工作されたモデルだそうです。

 ユニットはフォステクスの限定生産品FE108スーパー(FE108S)。私は発売と同時に予約購入し、翌年自作しました。齢23年のベテランです。

 

 自作スピーカーはユニット交換の自由度が高いので、ユニット交換で長く使うことができる。

 しかし、スーパースワンは108スーパーに最適化設計されているので、ユニット交換は悩ましい問題です。限定生産ゆえ入手が難しい。通常生産されていたFE108Σ(のちFE108EΣ)は能率が少し低い。

 フォステクスはFE108Sを限定再生産したり、さらに強化したモデルを作ったりしましたが、価格は高く、何よりこちらが交換したいと思った時に販売されてなきゃ買えない。

 10年前にユニット交換を考えた時、108スーパーと同等のユニットは生産されていませんでした。やむなくFE108EΣにキャンセルマグネットを追加して交換しました。これはこれで悪くない音でしたが、力感が少し弱く、低音も少々締まりのないものになりました。バックロードホーンはエンクロージャーに対してユニットが非力だと緩い低音が大きく出るようになってしまうのです。

 

 ところがこの11月、フォステクスが突如、FE108-Solなるモデルを限定生産することを発表しました。スペックを見るとスーパーに非常に近いモデルです。FE108EΣ10年を経過しています。これを逃すと最適ユニットが手に入らなくなるかもと、思い切って購入・交換することにしました。

 
DSCN1958.jpg

 左から、今回購入したFE108-SolFE108EΣFE108スーパー。真ん中のはキャンセルマグネットを貼付けてあるため全高が高くなっています。

 スーパーは購入当時10000円。対するSol19000円とちょっとしたオネダン。限定生産品ゆえ値引きはありませんでした。は買った時は10000円ほどでしたが、現在は4割ほど値上がりしています。

 
DSCN1960.jpg

 3つのユニットを正面から見たところ。

 右のスーパーは黒いエッジがコーン紙の前から貼付けられているためコーン紙が一回り小さく見えますが同口径です。寄る年波でコーン紙が変色していますが、これでも程度はかなりいい方。ヤフオクではかなり痛んだスーパーがけっこう取引されています。私はステレオを聴かない時はスーパースワンにカバーをかぶせていて、たぶんそのせいでユニットの痛みが少ないのでしょう。

 真ん中のは凝った形状のコーン紙とエッジを使っています。フレームもだけが8穴。これだけ見るとが一番高級そうに見えます。

 左の今回購入したSolは見た目は一番特徴がありませんが、センターキャップがボイスコイル直結で高音再生能力が高くなっているとのことです。こういう構造はメカニカル2ウェイと呼ばれています。


 

DSCN1961.jpg


 横からみたユニット。

 のマグネットは直径90mm、あとの2種は100mm。コーン紙よりもでっかいこのマグネットによる強力磁気回路がスーパーとSolの持ち味です。

 

 強力磁気回路と言えばカッコいいですが、扱いは実に面倒。特に面倒なのが取り付け。

 直径100mmのマグネット付きのユニットを取り付けるためには100mm以上の穴を開ける必要がある。しかし10cmフルレンジユニットであるFE108シリーズにあまり大きな穴を開けると「ゆるゆる」になってしまい、ネジ留めもできない。開口径は1023mmが限界。

 その1023mmの穴ではスーパーもSolもまだダメなんです。接続コードや端子が穴に当たってしまう。

 
DSCN1957.jpg

 

 ユニットを取り外したスーパースワン。下部に切り込みがあるのがおわかりでしょうか。これがコードを通すスベース。木工ではこういう切り込みのことをザグリ(座繰り)などと言っています。

 不幸なことにFE108Solは端子の作りがスーパーと少し異なっています。ザグリもやり直しです。

 

DSCN1971.jpg

 ザグリ終了後、FE108Solを取り付けたスーパースワン。見た目はオリジナルのころに近づきました。

 当初、なぜSolのネジ穴が4穴なのか不思議に思ったのですが、ザグリ加工をしているうちにわかりました。8穴だとザグった場所の近くにネジ穴が必要になってしまうんですね。


 さて、何とか切り込み加工も済んで交換の終わったスーパースワンの視聴結果。

 音は大きく改善されました。は馬力不足から低音出過ぎて締まりもなかったのですが、これがぐっと引き締まり、バランスもよくなりました。

 一方、中高音についてはまだこなれていません。現時点でもかなりいい音で鳴っているとは思うのですが、音の荒れのようなものは感じられます。ま、新品の音はいつもこんなもの。鳴らし込んでいくうちに角がとれてきれいになってくるものです。オーディオ道楽をする者にとっては鳴らし込みも楽しみのうちです。

 

 先日、NHKFMで山下達郎の特番を耳にしました。

 彼は音質に非常にこだわるタイプの人で、番組でも録音機材や自身のオーディオシステムのことなどハードウェアのことについても話をしていました。

 で、その中で山下が言っていたことの一つが、最近は入門用のいいコンポがないということ。

 若いスタッフにアドバイスを求められたときも、いいCDプレーヤーがなくて困ったと。山下自身のシステムは20年以上前の機材で、しかし最新もものよりも間違いなく音はいいのだそうです。

 

 ん~。わかりますねえ。

 長くオーディオと付き合うのなら、一体型じゃなくてバラのコンポーネントを買った方が絶対いい。バラコンポならアンプだけ換えるとかスピーカーだけグレードアップするとかいうのも簡単にできる。音の好みに合わせていろんなコンポを組み合わせることもできる。

 もし単体で3万~7万円くらいのコンポがあれば、アンプ+CD+スピーカーで10~20万円くらいでオーディオ道楽がスタートできる。

 ところが最近は、単体で3万~7万くらいのいいコンポがなかなか見つかりません。

 安い一体型はあります。音も悪くない。でもそれは道具として十分というレベルであって、趣味のレベルじゃない。グレードアップも難しい。丸ごと交換するくらいしかできない。

 一方、高級機もあります。単体で10万円を超えるものは今でもかなり豊富です。私が贔屓にしているオーディオショップが毎年フェアをやっているのですが、そのフェアでは単体50万とか200万とかいうコンポが出品されている。音は確かに素晴らしいんですが、いかんせん高い。アンプとCDとスピーカーで40~50万円もするのではとても「はじめの一歩」にはなりません。

 今、オーディオに足を踏み入れるのであれば、むしろ狙いは中古でしょうね。信頼できる店で程度のいい機材を探すと、かなりいいものが手に入ると思います。うちの近所のハードオフはオーディオ機器のコーナーがけっこう広いのですが、けっこういいものが並んでます。眺めているのは私と同年代のオッサンばかりですが。

 

 私のスーパースワンも寄る年波で表面が痛んできました。ぼちぼち再塗装をせねばなりません。

 この宿題は来年の夏以降でしょうかね。

 今の日本の状況だと夏まで平和に過ぎてくれそうな気がしませんが、そういう後ろ向きな気持ちはいけませんね。やりたいことはやりたいこととしてちゃんと持ち続けねば。


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