ssh1019 天才子役に幸あれ [社会]
<ssh590再録>
*初出は2013年ころです。
子どもばっかりですなあ。最近のTV。
大人の男女はみんな脇役。主役はオトコのコとオンナのコばっかり。ドラマの主役はアイドル、歌番組の主役はアイドル、バラエティはもちろんアイドル、ニュースですらガキっぽい女子アナばっかり。
と思っていたら、もはやアイドルすら高年齢グループに入ってるじゃないですか。
現在、ドラマ・バラエティ・コマーシャルで最も脚光を浴びているのは、10歳以下の「天才子役」の皆様。
今や日本は一大「天才子役」ブームです。
ま、子役ブームってのは、昔からありました。
今も昔も、大人は「早熟な子ども」が大好きです。子どもなのに子どもらしからぬ大人っぽさを見せる子どもに、大人はえも言われぬ好感を持つものです。
戦後日本でそういう好感を最初に独占的に引き受けたのは美空ひばりでしょう。子ども時代の彼女は確かにとんでもなく大人びた歌を歌っています。
その後もいろんな「天才少年」「天才少女」が芸能界で一世(だけ)を風靡しました。私の記憶にあるのは「黒猫のタンゴ」をヒットさせた皆川おさむあたりからで、以下、NHKの朝の連続ドラマ『鳩子の海』で主人公の子ども時代を演じた斉藤こず恵、フジテレビのドラマ・バラエティで重用された間下このみ、あたりでしょうか。もうちょっと新しいところだと、幼少期の高橋かおりと安達祐実あたりですかね。
ただ、上記の天才少年少女たちは、その時代にかなり独占的な人気を博していました。同時に活躍する同年代のライバルはあまりいなかった。
現在は市場には天才子役がいっぱいあふれています。ここはかつての天才くんたちとは様子が違います。
天才がブームになるほどたくさんあふれているということ自体、論理矛盾ですけど。
天才子役の皆様方は、なかなかお仕事が達者です。芝居も上手だし、バラエティでも気の効いたセリフを言ってみせます。セリフ覚えなんか相当いいんでしょうね。
彼ら彼女らは、たぶん学校の成績もいいんでしょう。あれだけ物覚えが速いんですから、小学校の勉強なんざ楽勝じゃないですかね。
まあでも、彼ら彼女らは全然「天才」じゃないですよ。あのくらいの脳ミソと才気の持ち主は、日本中の小学校のどの学年にも1人や2人います。
彼ら彼女らが今の地位をゲットできたのは、本人にその気があったことと、芸能活動にいそしむチャンスをモノにする様々な幸福な環境があったからです。特に大きいのは東京に住めることと、バックアップしてくれる親がいることでしょうね。イナカのフツーの家庭にいたら、あんな風にはとてもできません。
ところで。
子役ブームのはしりとして、美空ひばり・皆川おさむ・斉藤こず恵・間下このみ・高橋かおり・安達祐実の名前を挙げましたけど、この中で成長してからも子ども時代と同等の活躍を続けられたのは美空ただ一人です。高橋かおりと安達祐実に子役時代ほどの名声はありません。あとの3人は芸能界から完全に消えました。
天才少年少女に、真の天才なし。
天才少年少女は、生涯一天才少年少女である。
天才少年少女が本当に天才であったためしは、皆無じゃないけど相当のレアケースです。
こと芸能の世界で、天才少年少女が真の天才であったというレアケースとして、私の貧相な知識で思い当たるのは、美空ひばりとスティーヴィー・ワンダーとマイケル・ジャクソンくらいしか思いつきません。他にいたら誰か教えて。
大人ってのは、子どもがちょっと立派なことをすると、つい「この子天才かも」と思っちゃうものです。
でも、その立派なことの多くは「年齢の割に早く」何かをやってみせただけです。小学校入学前に漢字の読み書きをしてみせるとか、小学生のうちに英検3級に合格しちゃうとか。
大人ってのは、「早熟」を「天才」と早とちりしがちなものなんです。
あるスキルを早く身に付けたからといって、それが先々、高いレベルのスキルになるという保証はありません。ただ早かっただけで終わることも、ままある。というか、たいていはそうです。
以前、同僚の先生が「早く到達するのと、高く到達するのは別」と言っていました。言い得て妙です。
子どもが見せる早熟なあれこれは、加齢なるオヤジやオバちゃんにはとても微笑ましいものであります。私だってそう思いますから。
にしても、「天才」の看板は重過ぎますわな。
妙に重たいものを背負わされた子役のみなさん方は、ある意味気の毒です。
願わくば、そーゆー大人社会のドロリとした欲望はサラリとかわして、軽やかに自由に生きていって欲しいものであります。とことん芸に生きるもよし、天才を卒業して凡人の人生を歩むもよし。
何せ、彼ら彼女らの人生は、まだまだ長〜いですからね。
天才少年少女に幸あれ。
子どもばっかりですなあ。最近のTV。
大人の男女はみんな脇役。主役はオトコのコとオンナのコばっかり。ドラマの主役はアイドル、歌番組の主役はアイドル、バラエティはもちろんアイドル、ニュースですらガキっぽい女子アナばっかり。
と思っていたら、もはやアイドルすら高年齢グループに入ってるじゃないですか。
現在、ドラマ・バラエティ・コマーシャルで最も脚光を浴びているのは、10歳以下の「天才子役」の皆様。
今や日本は一大「天才子役」ブームです。
ま、子役ブームってのは、昔からありました。
今も昔も、大人は「早熟な子ども」が大好きです。子どもなのに子どもらしからぬ大人っぽさを見せる子どもに、大人はえも言われぬ好感を持つものです。
戦後日本でそういう好感を最初に独占的に引き受けたのは美空ひばりでしょう。子ども時代の彼女は確かにとんでもなく大人びた歌を歌っています。
その後もいろんな「天才少年」「天才少女」が芸能界で一世(だけ)を風靡しました。私の記憶にあるのは「黒猫のタンゴ」をヒットさせた皆川おさむあたりからで、以下、NHKの朝の連続ドラマ『鳩子の海』で主人公の子ども時代を演じた斉藤こず恵、フジテレビのドラマ・バラエティで重用された間下このみ、あたりでしょうか。もうちょっと新しいところだと、幼少期の高橋かおりと安達祐実あたりですかね。
ただ、上記の天才少年少女たちは、その時代にかなり独占的な人気を博していました。同時に活躍する同年代のライバルはあまりいなかった。
現在は市場には天才子役がいっぱいあふれています。ここはかつての天才くんたちとは様子が違います。
天才がブームになるほどたくさんあふれているということ自体、論理矛盾ですけど。
天才子役の皆様方は、なかなかお仕事が達者です。芝居も上手だし、バラエティでも気の効いたセリフを言ってみせます。セリフ覚えなんか相当いいんでしょうね。
彼ら彼女らは、たぶん学校の成績もいいんでしょう。あれだけ物覚えが速いんですから、小学校の勉強なんざ楽勝じゃないですかね。
まあでも、彼ら彼女らは全然「天才」じゃないですよ。あのくらいの脳ミソと才気の持ち主は、日本中の小学校のどの学年にも1人や2人います。
彼ら彼女らが今の地位をゲットできたのは、本人にその気があったことと、芸能活動にいそしむチャンスをモノにする様々な幸福な環境があったからです。特に大きいのは東京に住めることと、バックアップしてくれる親がいることでしょうね。イナカのフツーの家庭にいたら、あんな風にはとてもできません。
ところで。
子役ブームのはしりとして、美空ひばり・皆川おさむ・斉藤こず恵・間下このみ・高橋かおり・安達祐実の名前を挙げましたけど、この中で成長してからも子ども時代と同等の活躍を続けられたのは美空ただ一人です。高橋かおりと安達祐実に子役時代ほどの名声はありません。あとの3人は芸能界から完全に消えました。
天才少年少女に、真の天才なし。
天才少年少女は、生涯一天才少年少女である。
天才少年少女が本当に天才であったためしは、皆無じゃないけど相当のレアケースです。
こと芸能の世界で、天才少年少女が真の天才であったというレアケースとして、私の貧相な知識で思い当たるのは、美空ひばりとスティーヴィー・ワンダーとマイケル・ジャクソンくらいしか思いつきません。他にいたら誰か教えて。
大人ってのは、子どもがちょっと立派なことをすると、つい「この子天才かも」と思っちゃうものです。
でも、その立派なことの多くは「年齢の割に早く」何かをやってみせただけです。小学校入学前に漢字の読み書きをしてみせるとか、小学生のうちに英検3級に合格しちゃうとか。
大人ってのは、「早熟」を「天才」と早とちりしがちなものなんです。
あるスキルを早く身に付けたからといって、それが先々、高いレベルのスキルになるという保証はありません。ただ早かっただけで終わることも、ままある。というか、たいていはそうです。
以前、同僚の先生が「早く到達するのと、高く到達するのは別」と言っていました。言い得て妙です。
子どもが見せる早熟なあれこれは、加齢なるオヤジやオバちゃんにはとても微笑ましいものであります。私だってそう思いますから。
にしても、「天才」の看板は重過ぎますわな。
妙に重たいものを背負わされた子役のみなさん方は、ある意味気の毒です。
願わくば、そーゆー大人社会のドロリとした欲望はサラリとかわして、軽やかに自由に生きていって欲しいものであります。とことん芸に生きるもよし、天才を卒業して凡人の人生を歩むもよし。
何せ、彼ら彼女らの人生は、まだまだ長〜いですからね。
天才少年少女に幸あれ。
2016-10-10 18:39
nice!(2)
トラックバック(0)