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ssh80 主述は接近させる〜作文技術(2) [作文技術]

<2007>

 正確な文章を書く技術の小ネタ。
 ssh79で指摘した文章、一番まずいのは修飾語句の不正確さなんですが、その前に、簡単に片付く主述(主語と述語)の関係から。

 くだんの「私たちは、子どもたち一人ひとりが・・・」の文ですが、冒頭の「私たちは」という主語を受ける述語が、この文の一番最後まで出てきません。
 こういう文は、読んでいてイライラします。

 話が飛びますが、次の英文、訳してみて下さい。
 I think that James knows that my brother went to the United States last year.

 これ、主述が3組ある英文です。学生がよくやるのが以下のような訳。
 「私はジェームズが私の兄が去年アメリカに行ったのを知っていると思います。」

 わからないこともないけど、わかりにくい。なぜか?
 「、」がないからではありません。仮に「、」を打っても、「私は、ジェームズが、私の兄が、去年アメリカに行ったのを、知っている、と思います。」やっぱりよくわからない。
 では、なぜか。もうおわかりですね。
 例の教育再生会議の文と同じ理由です。(「、」をたくさん打ったら、ますます教育再生会議の報告文に似ちゃいました・・・。)

 主語と述語が、離れ過ぎ。
 主語と述語というのは、1つの文に込められた情報の中の一番の根幹です。
 まさに基本の「基」。
 しかも、主語と述語は、常にセット。
 セットであることがわからないと、つまり主述が明確でない文は、すごく読みにくい。

 ではどうするのか?
 セットなんだから、まとめておくのが一番いいんです。
 先の英文の訳は、こうするとうーんとすっきりします。

 「私の兄が去年アメリカに行ったことを、ジェームズは知っていると私は思います。」

 何と言うことはありません。
 単に、主語と述語をくっつけただけのことです。
 しかし、これなら、主述の誤解は絶対にありません。

 前号の第一次報告にしても、
 「子どもたち一人ひとりが・・・と私たちは思っています。」とか、「私たちは、こう思います。子どもたち一人ひとりが・・・と。」とでも書けば、この問題はやすやすとクリアできたんですけどねえ。
 
 てなわけで、今回のネタはこれ。

 「主語と述語は、なるべく接近させて書く。」

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