ssh339 「進路だより」で紹介したネタ [小論文]
<2010>
高校生なれば、ましてや受験生なれば、単なる教科学習のスキルだけでなく、時事問題や社会問題にもある程度の知識がないと困る。
いや、知識以前に、関心がないと困る。
いやいや、さらにその前に、世の中にはこれまで自分が触れたこともないような現実があり、聞いたこともないような意見主張があり、簡単には理解できないような思考や論理がある。そういうものをアレルギーのように拒絶してはいかん。
少しずつでも、筆者の言いたいことを読み取れるようにならないといかん。
というようなことを、結構マジメに考えていたりするのですね、私は。
それで生徒向けの「進路だより」には、そういうネタをほぼ毎回紹介してきました。
ネタとはつまり、新聞や雑誌やネットで拾ったいろんな記事の紹介。ただ紹介してもあまり読んでもらえないから、ところどころに「問い」を混ぜておきます。
ただし、読むことを強要はしませんでした。強要するとアレルギー起こしますから。自分から読むようにそそのかしただけ。
私の「進路だより」はB4のワラ半紙の両面刷り。表が進路関係の連絡など、裏はオマケのネタ。
世間はA4全盛ですが、私は断固B4を使いました。
理由は単純で、A4だと小さすぎて記事の切り抜きが入らないことがあるから。B4だとかなり大きな記事でも入るんです。
ワラ半紙を使ったのは中質紙じゃもったいないから。3年間で刷ったたよりが5万枚ですから。
では、3年間生徒たちにどんなネタを紹介したのか、進路だよりの裏面ネタをご紹介。
<1年>
・霊長類のメスが閉経後も生き続けることの利得(おばあちゃん仮説)と、その誤読(ババア発言)
・落ちている鳥のヒナを拾うことの害
・女性科学者を顕彰する猿橋賞を受賞した高藪縁インタビュー
・性教育(遠見才希子)
・「メディアと青少年凶悪化幻想」(広田照幸)
・韓国の受験事情(アン・ヨンヒ)
・「AでなければBでないか」(藤原正彦)
・醜形恐怖症(かづきれいこ)
・科学とニセ科学(菊池誠)
・エリカ様報道の是非(池上彰)
・鳩山邦夫の死刑自動執行発言について(坂本敏夫)
・小学生の英語必修化の是非(中嶋嶺雄・鳥飼久美子)
・いじめ自殺の報道が自殺連鎖を引き起こす(高橋祥友)
・地域医療の担い手の育成を(色平哲郎)
・フレームアップの手法~前田雅英『少年犯罪』批判(吉岡友治)
・「命軽き時代」(玄侑宋久)
・視覚障害者のための拡大教科書の充実を(西田真弓)
・ゴキブリ退治の歴史
・倖田来未の「羊水が腐る」発言は性教育不備の現れではないのか(松田良一)
・ネットで他者の言説を「燃や」してはならない(高橋源一郎)
<2年>
・チベット騒乱(池上彰)
・「敗者の痛みに優しさを」(松島トモ子)
・「ダーリンは外国人」のトニー・ラズロインタビュー
・左巻きのカタツムリを研究する
・江崎グリコのアイスクリーム開発者・八木章インタビュー
・音楽不況はCDコピーのせいではない(津田大介)
・ギャンブル依存症(箒木蓬生)
・小宮山悟と古田敦也の対談
・秋葉原殺傷事件(池上彰)
・「論文…最も深い淵にこそ飛び込め」(影山和子)
・夏休み短縮の動きについて
・ペシャワール会・中村哲インタビュー
・東京ディズニーランド開園25周年(堀井憲一郎・能登路雅子・橋爪紳也)
・「本気と覚悟を持って」(西江雅之)
・「そのうち役に立つかも」(内田樹)
・クイズ番組はなぜウケるか(坂本衛)
・「人生は一本道ではない」(サトウタツヤ)
・Customer Satisfactionと教育(内田樹)
・タイムマシンは可能か(二間瀬敏史)
・「信じる心とだまされる心」(菊池聡)
・桐野夏生インタビュー
・ノーベル賞受賞者・下村脩インタビュー
・派遣村(千葉茂)
・大相撲大麻問題
・「箱根駅伝は経済戦争だ」(生島淳)
<3年>
・北朝鮮ミサイル発射問題
・カルデロンのり子問題
・サブプライムローン問題(町田智浩)
・空気の読み過ぎ=同調圧力(萱野稔人)
・「ちょいウザのすすめ」(パオロ・マッツァリーノ)
・「さらわれる力」(山田ズ―二―)
・ののちゃん
・テレビ視聴率は指標として有効か(赤羽紀久生)
・新型インフルエンザへの過剰反応「マスクとニッポンジン」(白川由紀)
・弱音を「吐」かず夢を「叶」えよう(三四六)
・いわゆる国営マンガ博物館構想への批判(浦沢直樹)
・「1万時間のハードワーク」(柏木仁)
・読解力トレーニング(吉岡友治)
・「インフルエンザと人類」(織井優佳)
・『遺品整理屋は見た!』吉田太一インタビュー
・校内の落書き指導で該当生徒が飛び降り~指導は適切だったか
・スーダンから日本を見れば新型インフルエンザの危ない国(池上彰)
・「貧困問題を生み出す構造と果たすべき責任」(湯浅誠)
・宝石のフェアトレード・エシカルジュエリー白木夏子インタビュー
・長野県原爆被害者の会会長前座良明氏の訃報
・『超・クルマはかくして作られる』あとがき~開発することの怖さ(福野礼一郎)
・教員養成6年生化に異議あり(丹羽健夫)
・エッセイ「入試センター試験」(藤原正彦)
・スピードスケートトリノ五輪代表・高木美保に関して(西村欣也)
・2人乗り電気ミニカー開発の羽田隆志インタビュー
・「いま、若い人たちへ」(本田由紀)
どのくらいの生徒がどの程度まで読んだのかは知りません。何せ読むことを強要しませんでしたから、読んだかどうかも確認してませんので。
でも、これだけのものを見せて、すべてがムダだったということはないでしょう。
もしまた担任を持つことになったら、またやりますよ。
その前に、今の3年生にも何か読ませようかな。