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ssh524 社説の読み方〜沖縄返還40周年編(1) [社説の読み方]

<2012>

 

 あれからもう40年ですか。

 沖縄がアメリカ領から日本へと返還されたのは1972年。私は小学生でした。

 その小学校のある先生が結婚して沖縄にハネムーンに行ったというのは覚えています。当時、沖縄はもっとも身近な「海外」でした。アメリカ領だったので、当然クルマは右側通行でした。

 

 沖縄がアメリカから日本に返還されて40周年という節目の515日ですから、本来であれば言祝ぐべきめでたい日のはずです(歴史的には沖縄はもともと日本でもアメリカでもない独立した国ですが)。しかし現実は全然そうじゃない。そういう訳で、この日の中央紙社説もあまりめでたくない言説が並びました。


 まずは朝日クン。2本立てで、リキ入ってます。

◆◆沖縄復帰40年まだそこにある不条理

 40年もともに過ごせば、お互いの気持ちや痛みをわかりあえるものだ。しかし、きょう復帰40年を迎えた沖縄と本土との関係は、そうなっていない。

 朝日新聞と沖縄タイムスの4月の共同世論調査では、米軍基地が減らないのは「本土による差別だ」との回答が、沖縄で50%に上った。こんな答えを生む状況を、放っておいていいはずがない。

 日本が主権を回復した1952年、国内の米軍基地の9割は本土にあった。その後、沖縄への移転、本土内での集約が進み、復帰時には59%が沖縄にあった。いまは74%で、「基地の中に沖縄がある」と言われる。

 この間、政府は沖縄の人たちの神経を逆なでしてきた。

 見通しが立たない米海兵隊の普天間飛行場の名護市への移設を「唯一の有効な解決策」と言い続けるのは、その典型だ。

 そもそも、なぜ沖縄に海兵隊が必要なのか。

 朝鮮半島や台湾海峡に近い戦略的要衝にある沖縄に存在することが「抑止力」になる――。政府はこう説明するが、戦略的位置づけには専門家の間でも議論が分かれる。近年は米議会からも「沖縄には必要ない」との声も上がっている。

 米軍の存在意義は、この40年で変化している。共産主義の防波堤から、冷戦後のテロとの戦い、朝鮮半島の有事対応、そして中国の脅威への備えと重点を移してきた。

 沖縄からすれば、基地存続ありきの理屈づけに見える。

 復帰40年の節目にあたって、原発と基地問題を対比する考え方が増えてきた。

 原発事故は、電力の受益者である多くの国民の目を、エネルギー政策に向けさせる契機になった。

 米軍の沖縄駐留による安全保障の受益者は、主に本土の人々である。だが、全人口の1%の沖縄県民がいくら訴えても、残る99%の間で、基地をめぐる議論は広がらない。

 猛烈な騒音被害も、事故への日常的な恐怖感も、本土の人々が共有しようとしないからだ。

 一方で、同じ沖縄の無人島の尖閣諸島をめぐる動きには、一部の人々が敏感に反応する。

 この落差は、安全保障をめぐる国民世論のいびつさを象徴しているように見える。

 経済的な支援策では埋めきれない不条理なまでの重荷を、沖縄は負っている。負わせているのは、本土の人々だ。

 この現実から目をそらすような安全保障政策を、いつまでも続けていくわけにはいかない。◆◆


 

◆◆沖縄復帰40年めざせ、環境先進地

 米軍基地の存在は、沖縄の経済的な自立を阻んできた。

 だが、県民総所得に占める軍用地料など基地関連収入の割合は年々、相対的に減っている。復帰時には16%あったが、いまや5%ほどだ。

 こんな実情を反映して、10年ごとの沖縄振興計画を、今回初めて県が主体的につくり、きょう正式決定する。

 これまでの国まかせから脱却し、県が具体策を練る。それこそが真の自立に向けた出発点になるはずだ。

 沖縄県の1人あたりの県民所得は全国最少の部類で、東京都民の半分ほどだ。

 完全失業率は最も高い。

 経済の疲弊ぶりを示す数字に読めるが、沖縄を「一番元気を失っていない都道府県」(「デフレの正体」、藻谷浩介氏)とみる見解もある。

 それは就業者の絶対数が増える傾向が沖縄に顕著なためだ。バブル経済崩壊の90年を起点に、直近のデータと比べれば、個人所得は1.4倍、小売販売額が1.2倍を超えている。

 このほか、平均年齢40.5歳は最も若く、15歳未満の人口割合の多さや、女性の平均寿命の長さも日本一だ。

 人口千人あたりの出生率は、12.2あり、全国で唯一、2けた台に乗っている。

 こんな元気な沖縄でいま、環境に優しいエネルギーの試みが注目されている。

 そのひとつが、県レンタカー協会などによる「EV(電気自動車)普及プロジェクト」だ。

 昨年2月、約200台のEVをレンタカーに導入した。県別では全国トップの多さだ。充電設備会社も設立して、沖縄本島全域に27基の高速充電施設を備えた。

 沖縄本島は南北120キロある。1回の充電での走行距離が160キロ程度のEVの普及実験場としては最適な規模なのだ。10年目には県内のレンタカーの約1割に当たる2500台のEV化をめざすという。

 実績を重ねて、将来は海外の島しょ国に沖縄発のEV普及戦略を広げていくのが県レンタカー協会の描く構想だ。

 県や市町村も公共施設に充電施設を整えたり、EVを公用車にしたりして、構想に協力したらどうだろう。

 沖縄電力は全国10電力会社でただひとつ、原子力発電所を持っていない。そんな事情もいまでは、環境先進地をめざす推進力になる。

 環境先進地への挑戦を「脱基地経済」への足がかりにすることを期待する。◆◆

 

 まず1本目ですが、これは中央紙としてはかなり努力していると評価していいと思います。さすがに次号紹介予定の琉球新報社説と並べると見劣りしますけど、それでもとにかく沖縄のことを勉強し直して、それを伝えようという姿勢ははっきりとあります。

 一方の2本目ですが、これは少々強引な感じ。それでも他紙が「経済」の一言で片付けていることに社説1本割いていることは評価していいでしょう。

 というわけで、朝日クンは及第点です。


 お次は読売クン。こちらはかなりトーンが異なります。

◆◆沖縄復帰40年 経済と安保を両立させたい

 沖縄県はきょう、本土復帰40周年を迎える。

 宜野湾市で、野田首相ら三権の長や仲井真弘多知事などが出席して記念式典が行われる。

 日本全体の米軍施設用地の74%が集中する過重な負担が続く中、政府はいかに経済振興と安全保障を両立させるかが問われる。

 政府は先週、今後10年間の第5次沖縄振興計画の基本方針を決定した。那覇空港の第2滑走路整備による国際物流拠点化が柱で、沖縄の自立的な経済発展を目指す内容だ。この方針に基づき、沖縄県がきょう振興計画を決定する。

 計画の策定主体を政府から沖縄県に変更したのは、妥当である。アジアに近接する地理的特性や国際性を生かした計画を着実に実行に移してもらいたい。

 過去の振興計画は「本土との格差是正」を掲げてきたが、県民1人当たりの所得は全国平均の7割前後にとどまる。製造業が育たず、県内総生産に占める割合は40年前の11%から4%に低下した。

 基地、公共事業、観光に頼る「3K経済」の構造が続き、政府予算への依存度も高い。

 民主党政権は、米軍普天間飛行場移設問題を迷走させた負い目もあり、今年度の沖縄振興予算を2937億円へ大幅に増やした。

 これを有効に使うためには、沖縄県と各市町村が、中長期的展望に立った振興策を企画し、自助努力を続けることが大切だ。

 自由度の高い一括交付金を活用し、社会資本や箱物の整備などハード中心だった予算の使途を、環境、福祉などソフト重視に見直すことも求められよう。

 最近は、中国の軍艦や政府船による尖閣諸島周辺などでの活動が恒常化している。中国海空軍の急速な増強と近代化を踏まえれば、今後、沖縄の安全保障面の地政学的重要性は一層大きくなる。

 政府は、この現実を直視し、自衛隊と米軍の防衛協力を基盤とする日米同盟の抑止力と実効性を堅持しなければならない。

 同時に、在沖縄海兵隊の海外移転に伴う米軍施設の返還や日米地位協定の運用改善など、地元負担の軽減に全力を挙げる必要がある。普天間飛行場の辺野古移設にも粘り強く取り組むべきだ。

 重要なのは、米軍施設跡地の有効利用を図ることだ。

 政府は、キャンプ瑞慶覧の住宅地区に最先端のがん治療施設を整備することを検討している。こうした事業を通じて、在日米軍再編への地元の理解を地道に広げることが欠かせない。◆◆

 

 読売クンはときどき実にいいタイトルを付けるのですけど、今回のも相当に素晴らしいタイトルです。もうタイトルだけで本文がいらないくらい。

 「経済と安保を両立」。

 すごいですねえ。だって、経済と安保の相反(だけ)が沖縄返還40周年の主題だと言っちゃってるんですから。いや、実におめでたい。

 ここには、米軍基地があることの危険という視点は、微塵もありません。

 あのね、地元の人々にとっては、いつウチの娘を強姦するかもしれん米兵や、大学のキャンパスに落っこってくる米軍ヘリこそが「安全保障」して欲しい相手なのですよ。

 国はカネを出している。それをもっと有効に使え。沖縄の米軍基地は必要だ。辺野古移設は断固やれ。読売クンの社説を要約すると、まあこれだけ。

 沖縄問題をカネと基地だけの問題だとあっさり片付けてしまえるような感覚こそが「沖縄差別」と非難されているのですよ。読売クン、東京目線丸出し。やっぱ東京読売巨人軍の親会社ってことですかね。同じ本土の人間として恥ずかしいです。

 というわけで、これは評価できません。


 3紙目は毎日クン。タイトルに「差別」の文言が使われているのが目を引きます。

◆◆沖縄本土復帰40年 「差別」の声に向き合う

 戦後、長年にわたり米国の統治下にあった沖縄の施政権が日本に返還されて、15日で40年を迎えた。

 政府と沖縄県は共催で記念式典を開く。会場は、移設が難航する米軍普天間飛行場から約1キロ。政府と沖縄の間に横たわる基地問題の最大の懸案を眼前にしての催しとなる。

 式典には野田佳彦首相が出席し式辞を述べる。しかし、政府に向ける沖縄の視線は厳しさを増している。

 仲井真弘多沖縄県知事が、過重な米軍基地の負担を「差別」と表現したのは2年前だった。そして、今、同じ意識が県民に広がっている。本土復帰から節目となる年に、その言葉の重みを改めてかみしめたい。

 ◇変わらぬ基地集中

 沖縄は、「本土による差別」を、過去4回経験したといわれる。

 1872年の琉球王国強制廃止・琉球藩設置に始まり、7年後の沖縄県設置で琉球を近代日本に組み入れた「琉球処分」、本土決戦に向けた「時間稼ぎ」作戦で住民9万4000人を含む18万8000人が犠牲となった1945年の地上戦、沖縄などを本土から切り離し、米国統治下に置くことを認めた52年のサンフランシスコ講和条約発効。そして、72年の施政権返還・本土復帰である。

 本土復帰は、他の3件と違って、米国統治下の沖縄の悲願だった。それが「差別」とされる理由は、復帰後も続く過重な基地負担にある。

「核抜き・本土並み」の返還。当時の佐藤栄作首相はこう公約し、学者を密使として派遣するなど政治主導で米側と交渉を重ねた。領土返還という最も難しい外交課題を、粘り強い交渉によって成し遂げたことは正当に評価されるべきだろう。

 しかし、返還後の現実は、沖縄が願っていた姿とはほど遠かった。

 本土と同じく、米軍への基地提供を定めた日米安保条約を沖縄に適用する--これが、政府にとっての「本土並み」の意味だった。

 返還後、本土の米軍基地削減と表裏をなして、沖縄の基地の比重が高まった。今、国土面積比0.6%の沖縄に、全国の米軍基地施設面積の74%が集中する。沖縄本島の18.4%を米軍基地が占めている。復帰前と変わらず、住民は、米軍機墜落の危険、騒音などの生活被害に耐えることを強いられた。米兵による事件・事故が繰り返され、その対応には日米地位協定が立ちはだかった。

 沖縄が期待した基地のない「本土並み」の暮らしと現実の落差は、あまりに大きかった。

 「核抜き」はどうだろう。沖縄に配備されていた戦術核ミサイルは撤去されたが、返還後の沖縄には、核再持ち込みの「密約」疑惑がつきまとった。一連の密約問題を検証した外務省の有識者委員会は一昨年、核再持ち込みについて「必ずしも密約とは言えない」としたが、佐藤首相とニクソン米大統領が署名した、再持ち込みに関する極秘扱いの文書の存在は否定しようがない。委員会の結論には強い違和感が残る。

 また、返還の見返りに、本来、米国が支払うべき土地の復元費用を日本政府が肩代わりする約束をしていたことも明らかになった。こちらは有識者委員会も密約と認定した。

 これら「沖縄密約」は、国民と沖縄を裏切る外交史の暗部である。

 ◇本土も負担の覚悟を

 毎日新聞と琉球新報の共同世論調査では、沖縄への米軍基地集中について沖縄の69%が「不平等だ」と回答、全国では33%だった。普天間移設は、「県外」「国外」「撤去」の合計が沖縄89%、全国63%だった。

 本土も沖縄も安全保障上の利益を等しく享受しながら沖縄に基地が集中していることに、県民は強い不満を抱いている。数字は、本土と沖縄の意識の隔たりも示している。

 厳しさを増す東アジアの安全保障環境を考えれば、在日米軍をただちに大幅削減することは難しい。選択肢は限られている。解決には、本土が負担を引き受ける以外にない。

 日米両政府は、在沖縄米海兵隊のグアム移転を普天間移設から切り離し、米空軍嘉手納基地以南の5施設・区域を先行返還することで合意した。実現すれば沖縄の負担軽減と経済振興に結びつく。早急に返還時期を確定し、着実に実施すべきだ。さらに、他の米軍施設についても返還の可能性を探るよう求めたい。

 同時に必要なのが、沖縄の基地や訓練場の本土移転である。本土側が沖縄の意識を共有することが第一歩であり、政府の努力が不可欠だ。

 米議会の有力議員が主張する普天間を嘉手納基地に統合する案は、現在の嘉手納基地機能の一部移転が前提になる。それなしには沖縄の理解は得られない。移転先は本土が想定される。また、普天間移設実現まで普天間の機能を分散移転する場合も本土の協力が欠かせない。

 沖縄の地理的条件から本土への移転は抑止力低下になるとの見方があるが、装備品の近代化・技術革新で米兵力の即時対応能力は向上している。米軍に代わって自衛隊が役割を分担することも一つの方策だろう。

 沖縄で米軍基地拒否がうねりになれば、基地の円滑な運営、安全保障政策の効果的推進は不可能となる。

 政府も、本土も、沖縄の「叫び」に正面から向き合うべきである。◆◆

 

 毎日クンのトーンは朝日クンと似ています。主眼は沖縄の不当に重い負担。毎日クンはテーマをそこに絞って攻めて来ました。しかも2本分の長さです。

 この絞り込みはちょっと危険なギャンブルです。というのは、「そんなこと言ったって安保とか経済とかどーすんのさ?」という反論が当然予想されるからです。

 毎日クンは恐らく、沖縄差別とまで言われる現状をまず本土側がしっかり理解することがすべてに優先すると判断したのでしょう。このギャンブルに勝つには、安保とか経済とかを気楽に口に出来ないような強力な説得力が必要です。2本分の分量を用いたのはそのためでしょう。

 こちらも朝日クン同様、琉球新報には到底かないませんが、意欲は理解できます。評価していいんじゃないですかね。


 4番手は日経クン。珍しく3大紙と同じ515日の社説展開です。

◆◆復帰40年の沖縄は自立へ向かえるか 

 沖縄が日本に復帰して40年を迎えた。ハイビスカスやデイゴが咲く亜熱帯の気候、赤瓦の街並み、ゴーヤチャンプルー、ドミファソシ5音階の琉球民謡。本土と異なる文化・習俗は私たちの日常風景にすっかり溶け込んだ。

 復帰時に95万人だった県民人口は昨年、140万人を超えた。出生率は全国一。近年は本土から毎年2万人前後が移り住む。毎年500万人超の観光客が訪れ、中国などから来る外国人も昨年度は30万人を突破した。

 もちろん40年前に掲げた「本土並み」という目標にはまだ遠い。1人あたり県民所得はようやく高知県や宮崎県に追いつくところまで来たが、これまでに投入した10兆円超の振興予算に見合った成果とはとても言い難い。

 建設業が主力のいびつな経済構造はなかなか改善されない。本土ではもはや考えられない公共事業の大盤振る舞いが続くのはなぜか。国は表向きは関連を否定するが、米軍基地を負担することへの見返りなのは明らかだ。

 米軍がじかにかかわる「基地経済」は40年間で半減した。しかし広い意味での基地依存はむしろ深まっているとみることもできる。

 どうすれば沖縄経済は自立できるのか。政府は使途を県が判断する一括交付金を創設した。次期振興計画の主体も国から県に移す。

 計画には国際物流拠点の整備や企業のデータセンターの誘致などの構想が並ぶ。政府には今度こそ本腰で取り組んでほしい。

 沖縄側にも国任せにしない主体的な努力が求められる。稲嶺恵一前知事は「必要なのは釣った魚のお裾分けではなく、自力で獲物を捕れるようになるための釣りざおだ」と語る。

 中国の海洋進出などで尖閣をはじめ琉球列島の戦略的な価値は一段と高まりつつある。安易に米軍基地を減らせば沖縄県ひいては日本の安全保障を損ないかねない。

 日米同盟の安定には暗礁に乗り上げた普天間基地の移設問題の解決も重要だ。

 とはいえ在日米軍の施設の多くが沖縄に集中する現状を放置してよいわけではない。

 40年前の復帰記念式典。当時の屋良朝苗知事に笑顔はなかった。「復帰の内容を見ますと、私どもの切なる願望がいれられたとはいえない」と嘆いた。この苦渋の声に日本全体がもう一度耳を傾けるときだ。◆◆

 

 実にムカつく文面ですね。私としては、これが一番気に入りません。

 まず、冒頭の「ハイビスカスや・・・」からして好かんです。

 実は今日、たまたま某中央民放局が、私の在住県についてちょっとした特集をやったのですよ。何でもわが県は平均寿命が長いらしく、その秘密はどこにあるのか、と。で、出てきたのが実にくだらない。食と祭りと温泉。これだけ。

 1970年代に「素晴らしい世界旅行」という人気番組がありました。まだ海外旅行など高嶺の花だったころ、南米やアフリカの未開の土地の様子を取材していました。

 

 最近わかってきたんですけど、東京およびその周辺の人々にとって、「地方」というのはそういう存在なんじゃないかと。つまり、中央(=東京)の文化による開発がいまだ行き届いていない「未開」の地の珍しさに価値があると。

 ゆえに、東京的価値観の人が「え~!?」と(主に女子アナの声で)驚嘆の声を上げるようなものこそが価値がある。すんなり理解できるようなことだとつまらないから取り上げない。

 わが県の人間だって、沖縄の人間だって、東京人と同じようなモノも食って、同じような仕事もしているんですけどね。それは異文化ネタとしてゼニにならないからスルー。

 もうね、この日経クンの社説には「異物としての沖縄」という差別意識が徹頭徹尾あるのですよ。

 異物だから、異質な状況=米軍基地の偏在も「とはいえ・・・放置してよいわけではない」という程度のお話にしかならんのですな。

 日経クンのクールなスタンスは、政治的に面倒な問題に対しては結構面白い視点を示してくれることが多いのですけど、今回は完全に東京目線のダメ社説です。

 515日時点では(sshとしてはたぶん初めて)日経クンに最低の評価をしたいと思います。


 この話題はこれでおしまいのつもりだったのですが、産経クンが1日遅れの516日に社説展開してきました。ある意味期待通りの産経クンの社説は、圧倒的説得力の琉球新報社説とともに、次号で扱います。


 

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