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ssh549 社説の読み方〜がんばれ!野田佳彦編 [社説の読み方]

<2012>

 

 政治っつーものがここまで民意と乖離して、しかも政権が維持されているというのは、前代未聞じゃなければ森喜朗内閣以来じゃないかという感じの野田佳彦内閣。sshは野田を人間のクズ第2号に認定しておりますが、クズと書くと解りにくいので、いやいやながら野田と書かせて頂きます。

 

 さて、少々時間の経過した7月の社説ですが、この2本はある意味記念碑的な社説です。何せあれほど民主党政権を露骨に批判していた読売クンと産経クンが、野田ファンであることをカミングアウトしたのですから。

 

 まずは読売クン。

 

◆◆離党相次ぐ民主 首相はひるまず体制立て直せ(722日付・読売社説)

 民主党で離党者が相次ぎ、野田首相は、一段と厳しい政権党の運営を迫られている。さらなる離党を防いで政治をいかに前に進めるか。今、それが問われている。

 懸念されるのは、エネルギー政策や環太平洋経済連携協定(TPP)参加など党分裂を誘発しかねない問題で、首相が思うように決断できない事態に陥ることだ。

 民主党の離党者は、小沢一郎元代表のグループ以外からも出ている。理由は、反消費増税に限らない。女性参院議員3人は、脱原発や反TPPも訴えて離党した。

 「次の選挙で生き残れない」と見切りをつけた面もあるだろう。党に対する愛着も薄い。

 輿石幹事長が「国民の信を問う前に、政権が崩壊する」と述べたのは、危機感の表れだ。

 「政権交代」は果たしたものの、政権公約(マニフェスト)の主要政策は、ほぼ総崩れだ。

 党を立て直すには、実現不可能な公約に固執せず、新たな党の目標を設定することから始めることが必要ではないか。

 党のよって立つ基盤を築き、一体性を作り出すために、政策論議を重ねるべきだ。

 民主党には、手順を踏んで決めた政策を尊重せず、議論を蒸し返す体質もある。全議員が参加する場での議論は大切ではあるが、それだけでは収拾がつかない。離党の呼び水にもなっている。

 政策の最終決定へのプロセスをもっと工夫すべきだ。

 鳩山元首相ら一体改革関連法案の採決時に造反した議員が、反消費増税の立場から執行部を揺さぶる構えを見せている。

 鳩山氏は首相官邸前で行われた反原発再稼働デモにも参加した。大衆迎合そのものではないか。

 この先、原発政策やTPPの方針決定を巡って、党内の意見が大きく割れる可能性もある。

 前原政調会長を中心に、今から十分議論しておくことが、肝要である。次期衆院選の公約を準備することも急がねばならない。

 今度こそ、実現可能な公約となるよう精査が必要だ。

 民主党の分裂に「極めて遺憾」と不満を表明した支持団体の連合との関係改善も課題だ。

 だが、国民政党として、政策や選挙でどこまで連合に依存すべきかということも議論の対象になるのではないか。

 党執行部は、時には毅然とした態度を示し、所属議員が政府の決定や党議拘束に従う政党文化を育てていかなければならない。◆◆

 

 どーです、この「がんばれ!」のエールの送り方は。いつもの抑制の効いた上手な物言いはもはや「実現不可能」ということでしょうか。読売クン、もう完全に野田応援団です。

 ほとんど読む価値のないヨイショ社説ですが(メディアが時の権力を応援するのは危ないサインであります)、ガマンして読んで要約すれば、

 「脱原発や消費税増税据え置きやTPP反対は絵空事だ。そんなもの捨ててしまえ。」ですかね。

 マジメに反論すれば、以上3点がただの絵空事ではないということが明示されれば、この記事はゴミクズとなります。で、そういう指摘はすでにたくさんあります。いちいち挙げませんが。

 


 

 もう1本は予想通りの産経クン。こちらは常日頃から抑制ってものが効いてませんから、大変に思い切りよく応援歌を熱唱しています。

◆◆野田首相 ピンチをチャンスにせよ 2012.7.20

 民主党から離党者が相次ぎ、野田佳彦首相の政権運営は不安定さを増しているようにみえる。

 だが、ピンチはチャンスだ。首相にとっては国難を打開する千載一遇の好機到来である。

 離党の理由は、消費税増税や原発再稼働への反対だが、首相はいずれのテーマも日本の社会を成り立たせ、国民生活を守るために必要と判断した。

 これからの課題は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加問題に加え、高齢化で膨張し続ける年金、医療、介護の費用抑制などだ。首相は、党内の異論に躊躇(ちゅうちょ)することなく、懸案処理に突き進むことで活路を開くべきだ。

 消費税増税法案への造反後も党にとどまった鳩山由紀夫元首相らの勢力には、さらなる「離党予備軍」も存在するとされている。党内融和を最優先してきた輿石東幹事長は「危機的状況を共有しないと政権が崩壊する」と警戒感を強めている。

 衆院でさらに離党者が15人規模に上れば、民主党は過半数を割り込み、参院でも、あと3人の離党で第1会派から転落する。離党者の増加で政権運営が極めて困難になることは間違いない。

 だからといって、増税反対派から自民、公明両党とまとめた3党合意の見直しを要求され、首相がそれに応じるようなことがあれば、3党の枠組みは壊れ、関連法案の成立は望めなくなる。

 首相が参院一体改革特別委員会で「一体改革法案が通れば閣議決定の効力は消える」と答弁し、民主党マニフェスト(政権公約)に掲げた後期高齢者医療制度廃止法案の提出などを断念する意向を示したのは当然だ。ばらまき政策の撤回など、政策の誤りを認めて転換を急がなければならない。

 自民党は民主党分裂を批判し、首相に謝罪を求めることに多くの時間を割いているが、そうした姿勢が国民の理解を得られているとは思えない。

 首相が検討している集団的自衛権行使容認の憲法解釈変更は、自民党政権からの宿題だ。その決断を自民党も後押しする必要があるだろう。

 国連平和維持活動(PKO)で、自衛隊が宿営地外で襲われた国際機関職員らを助けに行く「駆けつけ警護」を行えるようにするPKO協力法改正でも、協力すべきである。◆◆

 

 タイトルからして「フレー、フレー、野田首相、ソレッ!」てな感じです。すごいな。いいのかよ、ここまで現政権を応援しちゃって。

 つーか、産経クン、ついに民主党政権支持に舵を切ったんですね。まさにカミングアウト。今まで自公政権を熱烈応援してきた手前、現政権が自分好みの方向を打ち出しても素直に支持できす、さぞやつらい思いをしてきたことでしょう。ようやく自分に正直になれたようですね。産経クン、やっと「自分探し」ができたようです。これできっと癒されたことでしょう。

 

 

 ところで、この産経クンの社説、すごいデジャヴ(既視感)で。

 気になったので調べてみたら、ありましたありました。小沢一郎センセイの秘書がいきなり逮捕された20093(政権交代が実現した衆議院選挙の数ヶ月前)のアレですよ。

 

 ssh260社説の読み方~小沢一郎秘書逮捕編

 

◆◆ 準大手ゼネコン「西松建設」の裏金事件は、小沢一郎・民主党代表の公設第1秘書らが政治資金規正法違反容疑で東京地検特捜部に逮捕されるという衝撃的な事件に発展した。小沢氏自身の政治責任はきわめて重いと言わざるを得ない。自ら出処進退を明らかにすべきだろう。政権交代を目指す政党の責任者として、政治とカネの問題で国民の信頼を失いつつあることを重く受けとめるべきだ。***

 とくに小沢氏は最近、北朝鮮による拉致事件に対し、金銭的な解決しかないとの趣旨の発言を行ったとされる。政治家の資質を疑いたくなる発言といえる。***

 麻生太郎首相にとってもここは踏ん張り時である。民主党の混乱に乗じて解散・総選挙を求める声が自民党内から出るだろう。だが、首相が全力を挙げるべき課題は内政外交の懸案を一つでも二つでも解決することだ。

 株価下落などを受け、追加経済対策策定や補正予算の編成作業などの景気対策も待ったなしだ。

 さらにアフリカ・ソマリア沖の海賊対策のため、海上警備行動として海自艦船を派遣するほか、海賊行為対処法案(海賊新法)の早期成立を図るべきだ。北朝鮮のミサイル発射問題もある。

 首相は指導力を発揮する絶好の好機ととらえるべきだ。◆◆

 

 ね?時の首相に「今こそチャンスだ!」とオリンピック応援団のようにエールを送るこのやり方。

 産経クンって、持ちネタが少ない芸人さんみたいですな。だから特定のコアなファンしか付かないでしょうな。

 

 

 こうなると、野田政権の行方が大変に危うく思えてきます。

 というのは、この2009年の産経クンの熱烈エールにも拘らず、麻生自民党は選挙に大敗し政権を失いました。

 実は産経クン、この2年前(2007)の参議院選挙の時にも、社説で安倍晋三坊ちゃまに熱烈エールを送りました。(ssh121社説の読み方~参院選投票日) で、その選挙で、自民党は大敗しました。

 

 産経クンがエールを送ると、縁起が悪いんですよ。

 

 

 今日も官邸前では脱原発の集会が行われています。

 脱原発集会主催者との会合に参加した菅直人によると、野田のクズは、脱原発集会の参加者が野田辞めろと言っていることすら認識していないようです。ことほど左様に、この日本においても、権力を持った人間は容易に裸の王様になれちゃうんでしょうな。フツーならあのデモが「オマエは裸だ!」と言っていることが認識できそうなもんですけど、読売クンや産経クンみたいな下僕たちが「いえ、王様はちゃんと服をきてらっしゃいますよ」といけしゃあしゃあと言い続けると、裸でクシャミしながら王様がやれちゃうんでしょうな。

 

 どこが民主主義国家なんだか。


 

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