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ssh552 きちんと勉強すれば学習時間は必ず伸びる [教科学習]

<2012>

 

 「1日に何時間くらい勉強すればいいですか?」

 

 家庭学習ってのは、最初は誰しもイヤなものです。人によっては最後までイヤなもの。

 だから先生も親も「◯◯時間勉強しなさい」って言います。

 

 大学進学を考える高校生の場合、学年の数プラス1時間なんて言い方がよくされます。

 1年生なら1+1=2時間。2年生は3時間。3年生は4時間。

 学習時間を長くすることこそ、学力向上に必要、という感じがしてきます。

 

 ところが。

 受験を成功裡に終えた学生に聞くと、学習時間のことは「よく覚えていない」と答えます。

 彼ら彼女らは、何時間やればいいかということは全然考えていない。

 彼ら彼女らは、必要と思われることをやっている。気にしているのは勉強の中身であって、学習時間は結果に過ぎません。

 

 

 「何時間勉強すればいいですか?」

 この質問、実はすごい落とし穴を持っています。

 この質問をする人は下限ではなく上限を知りたいのです。

 もし「12時間だね」と答えれば、この人はどんなにヒマでも2時間以上は勉強しません。

 

 「何時間勉強すればいいですか?」という質問は、努力を値切るために発せられているんです。

 

 勉強なんてものは、やればやるほど不備に気付くものです。

 とことんやろうと思ったら、時間なんかいくらあっても足りない。

 受験を成功させた人たちにとって、勉強時間なんてのは目標でもノルマでもない。1日何時間勉強しようが、結果がでなければ意味がない。結果がでるまでやるのが受験勉強です。18時間勉強しても結果が出ないのなら、それは学習不足、もっとやるしかありません。

 受験は結果がすべてです。学習時間が長かったかどうかなんて、慰めにもなりません。

 だから、彼ら彼女らは、どのくらい勉強したのかと聞かれても「よく覚えてない」んです。意識してないんですから。


 

 かく言う私も30年ちょい前は大学受験生で、一応成功裡にそれを終えたわけですが、学習時間については覚えている部分と思い出せない部分があります。

 平日については明確に覚えています。高3の夏まではクラブをやっていたので20:00~22:002時間が学習タイムでした。クラブを引退してからは夕食前に2時間、夕食後に3時間でした。

 ところが、休日については思い出せない。

 日曜日(当時土曜日は授業日)・冬休み・共通一次終了後の時期(平常授業なし)について、どのくらい勉強したのかよく覚えてないんです。

 

 平日は限られた時間を有効活用するためにタイムテーブルをきちんと作っていたんです。

 一方、休日にガリガリ勉強するようになったころには、もう時間とかそういうことを意識していられるような時期じゃなかったのでしょう。もし夏休みに勉強一筋にシフトチェンジしていたら1日何時間くらい勉強したのか印象が強かったのかも知れませんが、何せ私は8月の文化祭に向けてまだクラブをやっていましたから。

 

 想像するに(自分の経験なのに想像とは情けないですな)、休日の私はただ「必要なだけ勉強をしていた」んじゃないかと思います。だから時間のことは覚えていないんじゃないかと。

 以前の勤務校から東大に進んだ生徒が「使える時間は全部勉強してたかな」と合格体験記に書いていました。彼も学習時間は数値としては覚えていなかった。

 

 まあ、そんなもんでしょう。ベストを尽くしている時に、時間なんか考えていませんよ。

 最初の方に書いたように「◯◯時間勉強する」というのは「◯◯時間以上は勉強しなくていい」という意味でもあります。それは学習努力を値切るためのもの。

 努力を値切るつもりの全くない、ベストを尽くそうとしている受験生には、そんなものは無縁です。

 

 

 時間が重要なんじゃないんです。

 本当に必要な勉強をきちんとやれば、時間はどうしても増えるんです。

 学習時間を意識しているうちは、学力は伸びません。

 

 先生たちが学習時間を求めるのは、「そんな短い時間で必要な学習が終わるはずがない」ということを指摘したいからです。時間を伸ばす事が重要なんじゃありません。

 

 

 繰り返します。

 長時間勉強するから偉いんじゃありません。

 本当に必要な学習をするから、学習時間が長くなるんです。

 長い学習時間は結果であって、目的ではありません。

 

 夏の受験生は(特に現役生は)、まだまだこういうことは実感できないでしょうね。

 まあでも、使える時間をとことん学習に充てて、やれそうなことを探してみて下さい。

 いざ始めてみれば、不備・不安な部分がいっぱいあるはずです。それを補うにはけっこう時間がかかるはずです。

 「勉強する時間が欲しいなあ」と思えたら、ホンモノの受験生の第一歩です。


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