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ssh554 社説の読み方〜消費増税でひとつになろうニッポン編 [社説の読み方]

<2012>

 

 中央紙(一般的には全国紙を呼ばれています)が全部同じような社説を書く時は、ロクなモンじゃない。

 5年以上にわたり社説ウォッチャーをやってきたsshの経験から導き出された結論です。

 ssh開校以来、中央5紙の社説がみんな似たかよったかの時は、本当にくだらない文章ばかりでした。

 岡田ジャパンのW杯サッカーでの活躍(ssh346)小沢一郎の秘書逮捕(ssh260)大分県の教員採用試験不正事件(ssh201)、いずれも5紙みんな同じ論旨のつまらんものばかり。

 なでしこジャパンW杯優勝の時など、どーせまたみんなでホメるだけで大したこと書きゃしねえだろと予想記事まで書いたくらいです(ssh459)。この時は産経クンがブッ飛んだ社説を書いてきて予想は外れちゃいましたが(ssh460)

 

 主要メディアが一斉に同じ方向を向くというのは、アブナいことなのですよ。

 特に政府の方針を支持する時は、本当にアブナい。

 古くはアジア太平洋戦争(日中戦争から太平洋戦争まで)期間中の大政翼賛的報道。近年では9.11テロ以降のアフガニスタン出兵とイラク戦争に対する報道。

 そして、そういうふうに全紙が同じ方向を向いている時は、その方向はことごとく破滅への道でした。アジア太平洋戦争は大多数の国民の命と多くの領土を失った上で無条件降伏という、日本の外交史上最低の結末を迎えました。アフガン侵攻とイラク戦争の泥沼状態はみなさんご存知の通りです。今となっては、イラクで拘束され、自己責任論で日本中からバッシングされたにも拘らず、今だにイラクでボランティア活動に関わっている高遠菜穂子の方がはるかに正義を持っています。(高遠菜穂子のブログ「イラク・ホープ・ダイアリー」はこちら)

 

 

 さて、そのアブナい状況が、またまた発生しております。それは消費税増税。

 この件については「決められる政治」というキャッチコピーを振りかざして、5紙が5紙ともイケイケドンドン。

 中央紙の願いである消費増税法案が可決されたということで、5紙はなでしこジャパン優勝時と同じように大変はしゃいでおります。

 

 そういう低レベルの5本ですので、せめてものエンタメとして、今回もクイズ形式でお楽しみいただきましょう。

 

 [その1][その5]の5本の社説のタイトルと掲載紙を、選択肢より選んで当てて下さい。

 「決められる解答者」目指して、ひとつになろう、ニッポン。

 

選択肢

  1. 産経クン・・・消費税法成立 残る「宿題」迅速に処理を 
  2. 毎日クン・・・増税法成立 「決める政治」を続けよう
  3. 読売クン・・・一体改革法成立 財政健全化へ歴史的な一歩だ
  4. 朝日クン・・・一体改革成立 「新しい政治」の一歩に
  5. 日経クン・・・「この増税を次の改革につなげたい

 

各紙の社説

[その1

◆◆社会保障と税の一体改革関連法が民主、自民、公明3党の協力で成立した。5%の消費税率を2014年4月に8%、1510月に10%に引き上げる。日本の財政再建に向けた重要な一歩である。

 ようやく手にしたこの成果を大切にしなければならない。日本は長い時間をかけて、財政再建と経済成長の両立に取り組む必要がある。消費増税を確実に実行し、次の改革につなげるべきだ。

<ツケ残す政治と決別を>

 日本が消費税を導入したのは1989年4月だった。97年4月に税率を3%から5%に引き上げるまでに8年間を要した。そこからさらに17年間を費やし、やっと次の税率引き上げが実現する。

 97年度と12年度の国の一般会計予算(当初ベース)を比べてみた。日本経済の低迷が響き、税収は15年間で27%減った。一方、少子高齢化で社会保障費などが膨らみ、歳出は17%増えている。

 歳入の確保と歳出の抑制が避けられないにもかかわらず、日本は必要な対応を怠ってきた。過大なツケを次の世代に残し、債務危機のリスクを高める政治とは、ここできっぱりと決別したい。

 法律が通ってもまだ安心はできない。経済情勢を見極めながら消費増税の是非を判断する弾力条項が、先送りの口実に利用される恐れがある。景気への配慮は必要だが、大幅に悪化しない限り、増税を回避すべきではない。

 円滑な消費増税の環境を整える必要もある。企業が製品の価格に税負担を転嫁できる体制づくりが欠かせない。大企業の下請けいじめをはじめとする価格転嫁の障害を取り除いてもらいたい。

 消費増税の負担が相対的に重くなる低所得者への対応策も、これから詰めなければならない。単なるばらまきを排し、本当に困っている人を支援できるよう、適正な制度を設計すべきだ。

 問題は年金や医療の抜本改革を先送りした点である。持続可能な社会保障と健全な財政をともに目指すのでなければ、真の意味での一体改革とは呼べないはずだ。社会保障費の膨張を抑え、余裕のある高齢者にも応分の負担を求める努力が決定的に足りない。

 3党合意を踏まえて新設するはずの社会保障制度改革国民会議で、抜本改革の検討を急ぐべきだ。7074歳の医療費の窓口負担引き上げや外来受診時の定額負担上乗せなどはもちろん、いずれは年金支給開始年齢の引き上げにも踏み込まざるを得まい。

 こうした改革を怠れば、将来に必ず禍根を残す。今回の消費増税だけで、基礎的な財政収支を20年度に黒字化する目標を達成することはできない。社会保障費を中心とする歳出の抑制とさらなる消費増税を組み合わせ、財政再建の努力を継続するしかない。

 消費増税に対する不満や景気への影響に配慮して、余裕のできた財源を公共投資に回そうという動きが3党にはある。自民党は10年間で200兆円、公明党は100兆円を防災・減災事業などに投じる計画も提唱している。

 本当に必要な事業ならいい。だが安易なばらまきに走るのでは、何のための消費増税なのかがわからなくなる。国民に負担を強いる以上、厳しい規律を求めたい。

<成長力強化も忘れるな>

 忘れてはならないのが日本経済の活性化である。財政再建を軌道に乗せるためにも、成長力の強化が必要だ。消費増税の道を開いた野田政権の功績は大きいが、成長戦略の貧しさは隠せない。

 環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加を早く決断すべきだ。メキシコとカナダの参加が固まり、日本の意思表明を促す圧力も高まっている。消費増税のめどをつけた今、民主党内の調整を急ぐ余裕ができたはずである。この機会を逃してはならない。

 約35%の法人実効税率(復興増税を除く)を主要国並みの2530%に引き下げる議論も始めてほしい。民間の活力や創意工夫を生む成長戦略がどうしても要る。

 日本の政治は財政再建と経済成長の両立に必要な改革を継続できるのか。自民党は「協力は消費増税までだ」と明言し、社会保障と税の共通番号法案を除く懸案には対決姿勢で臨む方針である。

 議院内閣制は衆院で多数を得た政党に政権を託す仕組みだ。衆参のねじれに乗じ、野党が民意を超えて動くのは好ましくない。

 赤字国債発行法案など積み残しの懸案は多い。いずれ選挙で戦うにしても、3党は国としてやらなければならない政策にはともに取り組んでほしい。今回の「決める政治」を守り続けるべきだ。◆◆

 

 

 

[その2]

◆◆難産の末に、一体改革関連法が成立した。

 国会が消費増税を決めたのはじつに18年ぶりだ。民主、自民の2大政党が、与野党の枠を超え、難題処理にこぎつけたことをまずは評価したい。

 一方で、政策より政争に走る政治の弱点もあらわになった。

 衆院解散の時期をめぐる駆け引きのなかで、一時は関連法の成立が危ぶまれた。そうなれば国際社会や市場の信頼を損ね、国民に多大なリスクをもたらすところだった。

 足を引っ張り合うばかりの政治はもう終わりにしよう。政治が答えを迫られている課題は、なにも一体改革だけではない。

 だが、さっそく気になる動きが出ている。

 野田首相が「近いうちに国民に信を問う」と自民党の谷垣総裁に約束した。この表現について、両党の解釈がずれている。

 自民党が今国会での解散を要求しているのに対し、民主党では輿石幹事長が「『近いうち』にこだわる必要はない」と語るなど先送り論が大勢だ。

 これをきっかけに、対立の再燃が懸念される。

 そうなれば、角突き合わせる政治が繰り返されるだけだ。過去5年の「動かない政治」の教訓を、民主、自民両党とも改めてかみしめるべきだ。

 07年参院選で与党だった自民党が敗れ、衆参両院の「ねじれ」が生まれた。それをテコに民主党は徹底的に自民党政権を揺さぶった。

 10年参院選で今度は民主党政権が負け、その逆になった。

 やられたら、やりかえす。

 そんな子どものケンカのような政治は、もう願い下げだ。

 いまの参院の議席配分からみて、総選挙後も単独で両院の過半数を握る政党はない。「ねじれ」国会は今後も続く。

 国民に負担を求める政策の実行がいかに困難か。一体改革をめぐる協議で、両党は身をもって学んだだろう。

 ここはチャンスである。

 政党同士、建設的な批判は大いにしあうのは当然だ。ただし、不毛な政争はやめ、協力すべきは協力する。

 一体改革関連法の成立を、そんな新しい政治文化をつくる一歩ととらえたい。

 懸案は山積している。解散までの間、各党は協力してその処理を急がねばならない。

 とりわけ、最高裁に違憲状態と指弾された衆院の「一票の格差」の是正は急務である。

 一票の価値の平等は、代議制への信任の根幹だ。政治はそのことにあまりに鈍感すぎる。◆◆

 

 

[その3]

◆◆<首相の「国益優先」を支持する>

 借金体質の国家財政を健全化するという長年の懸案の解決に向けて、歴史的な一歩である。

 消費税率引き上げを柱とする社会保障・税一体改革関連法が参院本会議で、民主、自民、公明3党などの賛成多数で可決、成立した。

 審議に200時間以上をかけ、圧倒的多数の賛成で成立させた。高く評価したい。先送りを続けてきた政治に転機をもたらすことを期待する。

<消費増税に共同の責任>

 野田首相は法成立後の記者会見の冒頭、民主党政権公約(マニフェスト)に言及し、「消費税引き上げを記載していなかったことを深くおわびしたい」と述べた。

 国民に負担を求める改革は緒に就いたばかりだ。真摯な姿勢で国民の理解を広げる必要がある。

 消費税率引き上げ法の成立によって、現行5%の税率は2014年4月に8%、15年10月に10%へと段階的に引き上げられる。

 それまでに衆院選と参院選が確実に行われる。

 消費増税の是非が争点になるだろう。選挙の結果、政権が代わり、反増税の勢力が台頭しようとも、民自公3党は「消費税10%」の実現まで責任を共有するべきである。

 自民党の谷垣総裁は、3党合意には、消費税引き上げの環境を整えるための経済対策も含まれるとの見解を示している。

 世界経済が不安定さを増す中、日本の国債が暴落する事態は回避しなければならない。財政再建へ確かな道筋をつけ、国債の信認を高めていくことが肝要である。

 増税に伴う低所得者対策については、年末の13年度税制改正に向けた議論で詰めることになる。

 食料品などの消費税を低くする軽減税率は8%への引き上げ時に導入すべきだ。活字文化と民主主義を守るため、新聞や書籍への適用も検討しなければならない。

 社会保障制度改革は、着実に前進する。総合的な子育て支援策は、高齢者向けに偏っている社会保障政策と財源を全世代型に再構築するものだ。年金制度も、パート労働者への厚生年金適用拡大など、懸案がかなり改善に向かう。

 「増税先行」の批判は当たらない。3党は社会保障制度改革国民会議を速やかに発足させ、中長期的な制度改革の議論を始めるべきだ。今回見送った給付減などによる効率化も欠かせない。

<党首会談合意を大事に>

 極めて困難と見られた一体改革関連法が成立したのは、まず、野田首相が「政治生命を懸ける」覚悟で取り組んだからだ。最後は、「近いうちに」という曖昧な表現ながら、谷垣氏と事実上の「話し合い解散」でも合意した。

 この間、民主党マニフェストの破綻が露わになり、法案の衆院通過時に党は分裂した。「野田降ろし」も表面化している。

 首相は、大きな犠牲を払いながら、ぶれずに国益優先の判断を重ねた。その姿勢は評価できる。

 参院での法案採決時には民主党の6議員が反対票を投じた。速やかに処分すべきだ。党首としての指導力を強めることになろう。

 衆参ねじれ国会の下、自民、公明両党の役割は大きかった。

 谷垣氏は野党第1党党首として政府・与党に協力するという重い決断を下した。野田、谷垣両氏のコンビでなければ今回の合意は実現しなかっただろう。

 民自公3党は、日本の政治をさらに前に動かすために連携を維持し、与野党の垣根を超えて課題解決に取り組んでもらいたい。

<格差是正が解散の前提>

 問題なのは、野田首相が自公両党に「近いうちに国民に信を問う」と、早期解散を約束したことに関し、輿石幹事長がこだわる必要はないと発言したことである。

 輿石氏は、首相や谷垣氏が9月に迎える党首選で再選されない場合には、3党合意は無効になるとの見方も示した。

 谷垣氏が、この発言に「政党政治が何たるかを心得ていない。厳しく糾弾しなければならない」と激怒し、民主党との対決姿勢を強めたのも無理はない。

 首相の意に沿わず、自公両党との合意を軽んじるかのような輿石氏の言動は目に余る。

 衆院解散・総選挙の環境を整えるには選挙制度改革が不可欠だ。最高裁は現在の「1票の格差」を「違憲状態」と判断している。

 国会の怠慢で、格差是正措置を講じずに衆院選に踏み切れば、憲法違反として選挙無効の判決が出る可能性も否めない。

 民自公3党は、小選挙区の「0増5減」を先行実施し、格差を是正することが急務である。◆◆

 

 

[その4]

◆◆紆余曲折の末ではあるが、税と社会保障の一体改革法が10日、参院で可決、成立した。

 まずは、二つの意味で政治史上画期的なことだと評価したい。第一に、その中身が国民に負担を求める純粋増税法だからである。過去の増税は、消費税3%の導入時(1989年)、消費税率5%への引き上げ時(97年)いずれも減税とセットで行われた。経済全体のパイが伸び悩み、従来のバラマキではない負の配分能力が政治に求められる時代、その第一歩を刻んだ、といえる。

 なお国民への説明不足だ 第二に、その不人気政策を与野党で合意したという政治方式の新しさである。2大政党制の下、ともすれば相手をたたくことに走りがちだった政治が、この重要政策の一点では国益に立ち、党分裂や一部議員の造反というコストを払いながら妥協することができた。山積する困難な政治課題を解決するための貴重な前例を作ったととらえたい。

 もちろん、すべてを是とするわけではない。何よりも国民の理解を得る努力がまだ不足している。7月末の毎日新聞世論調査では61%が依然として「今国会での消費増税法案成立を望まない」と答えている。何のために増税するのか。社会保障がどう変わるのか。増税分が社会保障以外にあてられるような解釈はとても容認できない。法を成立させた民主、自民、公明3党は、根気よく丁寧に説明し続ける責任もまた共有すべきだ。手をこまねくと次の選挙で反発を受け元も子もなくなる可能性があることを胸に刻んでほしい。

 財政と社会保障制度もこれで持続可能になったとはいえない。どんな課題にせよそれぞれの政党が歩み寄ることによって「決める政治」をしたたかに継続させることが必要だ。

 特に、財政改革の道はなお険しい。政府の目標は、20年度までに基礎的財政収支を黒字化する、つまり、国債の元利払いを除いた歳出を税収の範囲内に収めるようにすることだが、内閣府推計によると、法通り消費税率が10%になってもその時点でなお約17兆円の赤字が出ることになっている。これは経済の名目成長率が毎年平均1.5%程度で推移することを前提としており、実際の赤字額はもっと膨らむ可能性がある。

 これまで借金財政を許容してきた環境が急変していることも指摘したい。労働人口の減少や経常黒字の縮小などである。日本に猶予の時間は乏しいということだ。

 欧州で起きた債務危機の教訓を忘れてはならない。何年もドイツと変わらぬ低金利で市場から借金できていたスペインやイタリアがあっという間に信用を失い、危機的状況に陥った。日本の財政状況は両国よりはるかに深刻だ。市場が反応してからでは手遅れになりかねない。

 増税のみに頼るわけにはいかないのは当然だ。これを機に歳出構造の抜本的見直しに取り組むべきだ。その進捗(しんちょく)度をにらんだ上で、消費税率のさらなる引き上げも課題になろう。このように財政はなお火の車である。にもかかわらず、早くも「国土強靱(きょうじん)化」や「防災・減災」を口実にバラマキ財政に転じる動きがあるのは看過できない。国民に増税を強いながら、同時にかつてのような公共事業や特定業界の支援など借金を増やす政策を導入するのは筋が通らない。

 消費税の制度設計は、業者がいかに円滑に価格転嫁できるか、が重要だ。食料品など基本的生活物資や書籍・新聞などの知識課税では軽減税率導入議論を本格化させてほしい。

 今回の一体改革には年間7000億円の新たな子育て支援策が盛り込まれた。高齢者向け中心だった社会保障関連経費が現役世代に振り向けられる一歩と評価したい。ただ、社会保障制度の改革はまさにこれからが勝負となる。

 「秋解散」、民主は覚悟を 今後、政治の焦点は衆院解散の時期や、来月の民主、自民両党首選びの動向に移る。

 民自公3党首が「近いうちに解散」で合意したことから与野党には今秋にも衆院解散、総選挙が行われるのではないか、との見方が広がっている。必ずしも時期を特定できる表現ではなく、民主党内には依然として早期衆院選に慎重論が強いが、いたずらに民意の審判を引き延ばすべきではない。民主党は今秋の解散も辞さないとの覚悟を固めるべきだ。

 そのうえで、今国会の残り会期で違憲状態にある衆院の1票の格差是正措置と、予算執行に必要な赤字国債を発行するための特例公債法案の成立を期すことが不可欠である。原子力規制委員会の人事案も是非も含めて与野党が早急に調整し、9月の発足に向け決着を図るべきである。

 今国会中の解散がない限り2大政党の党首選びは次期衆院選に向けた重点政策が試される場となる。増税法成立後の消費税の制度設計や社会保障政策の全体像が問われる。

 民主、自民両党は原発再稼働を中心とするエネルギー政策、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)などで党内に幅広い意見を抱える。2030年の原発比率などエネルギーに関しては有権者の判断に資する明確な方針を示すことが求められる。◆◆

 

 

[その5]

◆◆民主、自民、公明の3党などの賛成多数で成立した社会保障と税の一体改革関連法について、野田佳彦首相は、与野党の協力による「決めきる政治」だと強調したが、中身について残された「宿題」は少なくない。

 協力の枠組みについても、首相が衆院解散時期について「近いうち」と述べたことに対し、輿石東民主党幹事長が「党首が代われば終わりだ」と語るなど、与党内でも不協和音が表面化している。

 衆院小選挙区の一票の格差を是正する「0増5減」などの公職選挙法改正案や今年度予算執行に必要な特例公債法案なども、党利党略では成立にこぎつけられないだろう。与野党の歩み寄りで決着させるしか方策はあるまい。

 一体改革関連法の最大のハードルは、増税の前提となる経済成長を確実に軌道に乗せることだ。

 関連法は、消費税率の引き上げは経済状況を勘案して判断するとし、経済成長率を名目3%、実質2%とする目標を掲げている。名目成長率が実質を下回るデフレからの脱却を目指したものだ。日本再生戦略に盛り込んだ規制改革などをいかに具体化するかだ。

 だが、増税によって財政にゆとりが生じる分は大型公共事業に回そうという考え方が、3党合意を経て生じた点は見過ごせない。

 「成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分する」と付け加えられたためだが、効果が疑問な公共事業拡大につながるのでは、何のための増税か分からない。安易な歳出拡大が、国債発行の膨張を招いてきた愚を忘れてはならない。

 新たに設置される社会保障制度改革国民会議では、実効性ある社会保障費の抑制策を議論していく必要がある。

 消費税増税に伴う低所得者対策の全体像を早期に示すことも重要だ。平成26年4月の8%への増税時に低所得者向けに現金給付するというが、対象や額は決まっていない。ばらまきにならない工夫が問われる。

 27年10月の10%への増税時に向けて、現金給付と減税を実施する「給付付き税額控除」の検討も盛り込んだ。それには共通番号制度(マイナンバー)の関連法案の早期成立が必要だ。

 増税分を製品価格に円滑に転嫁する政策も中小企業対策として不可欠である。◆◆

 

 

 いかがでしたか?みなさんは決められましたか?

 もし内容で決められたという方がいたら、恐らく野田佳彦並みに無鉄砲です。だってこの5本、内容は全部同じですから。誰か社外のライターに書いてもらったものをアレンジして使い回してるんじゃないかってくらい。

 

 

 この消費増税はイラク戦争支持並みの失政となるでしょう。経験則からその可能性が高いです。

 

 

 sshは消費増税にはきっぱり反対です。消費税は税金の徴収システムとしては欠陥が多過ぎます。特に富裕層と大企業に甘く、貧困層と中小企業につらいというのが決定的にまずい。

 法人税増税には断固反対するゼニ勘定に異常に執着する大企業が、納税者であるにもかかわらず(消費税の納税者は消費者ではなく事業主ですので)右も左も消費増税大賛成というのはなぜか?それはつまり、ゼニ勘定が有利だからですよ。特に輸出業には戻し税というヘンテコなルールがあって、消費税が高いほど国から企業に多くの還付金が入ってくるんですな。

 

 なお、日本新聞協会は新聞への消費税率を軽減措置するよう求めています。

 このくらい厚顔無恥でないとブン屋さんは務まらないということなんでしょうか。いっそ新聞の消費税だけ2050%くらいでもいいんじゃないですかね。増税応援団なんですから、そのくらいの痛みを受け入れることを「決められる」といいと思いますよ。

 

 

<クイズの答え>

 その1:日経クン  その2:朝日クン  その3:読売クン  その4:毎日クン  その5:産経クン


 

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