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ssh564 事務手続きはなるべく自分でやろう [志望理由・進路選択]

<2012>

 

 センター試験出願シーズンです。

 センターの願書って、案外とあっさりした書式ですね。記入部分がわりと少ない。

 説明をよく読んで、下書きを先生にチェックしてもらって、わからないことを聞けば、たいてい誰でも記入はできます。

 

 ただ、センターに限らず、試験ってのはタダでは受けさせてもらえません。受験料の納付が必要。

 ネットやカードや電子マネーが一般化した21世紀の日本でも、さすがにセンター試験の受験料は窓口での振込が必須です。

 

 高校生のみなさん、銀行や郵便局の窓口で振込をしたことありますか?

 ない人が大半じゃないですかね。

 それどころか、窓口ってものに行った経験がない人も多いんじゃないでしょうか。

 いや、それが普通だと思いますよ。フツーの中高生は金融機関や官公庁には用はないもんです。

 

 

 3生のみなさん、先生方から「振込は自分でやりなさい」と言われませんでしたか?


 

 都市部の、自宅から通える範囲に大学や山ほどある恵まれた方々は除外しまして、日本の受験生の大半は、大学進学とともに自宅を離れて寮やアパートで暮らすことになります。

 すると、それまで親兄弟がやってくれていたことが、一気に自分の肩にのしかかってきます。

 最大のものは三度の食事。

 自分で用意しないとただの一度のメシも食えない。この時ほど親の恩を感じることも少ないでしょう。

 

 でもね。それだけじゃないのですよ。

 公共料金を払う。住民票やら何やらで市役所へ行く。買い物の手配をする。料金を払い込む。業者に何かを頼む。奨学金や実習やその他のことを大学に申請する。

 中高生が一度もやったことのないような「手続き」が、やたらと多いのですよ。

 

 

 進路というのは、受験とイコールじゃありません。

 受験は合格すればそれで The End

 進路は、合格してからが重要です。大学でいろんなことを学ばないといけない。

 学ぶには、生活がきちんとしていなきゃダメです。大学には受かりました、大学生活は壊れましたって言うんじゃ困るんですよ。

 

 

 少々乱暴な言い方ですが、現代においては三度のメシを食うことはそんなに艱難辛苦(かんなんしんく、人生の困難苦労のこと)じゃありません。

 いざとなればコンビニ弁当もカップ麺も学生食堂もあります。そもそも面倒だからメシを食わないという人間はいません。腹が減れば、誰でも何とかします。仮に食事を抜いたとしても、本人の健康状態に少々の影響が出るだけです。

 

 対して、手続きは、ちゃんとやらないと大きなトラブルにつながります。ところがこっちは、ついついサボりがちです。面倒くさいし、やらなくても腹が減るわけじゃない。ずるずる後回しにしているうちに大切な手続きをやり損なうなんてことをやらかしてしまうことがある。

 教育実習の手続きをやり損なって1年パアにしたという学生の話も聞いたことがあります。

 

 

 私も含めて、高校(と予備校)の先生たちが、なぜ「手続きは自分でやりなさい」と力むのかと言うと、手続きそのものがものすごく重要な勉強だからです。

 

 受験を終えた高3生は、高2生とは比較にならないほど大人になっています。

 高校の卒業式のあとで、クラブの後輩が卒業する先輩によく花束や寄せ書きを送る機会を持つのですけど、そこで対面する3年生と2年生は、ホントに大人と子どもくらい印象が違います。もう全然違う。

 

 

 たかが手続きと思うなかれ。

 自分にとって面倒なこと、つらいこと、できればやりたくないこと。それをやってみることを「経験」と言うのですよ。

 そして、それらがそれほど面倒でもつらくもないなと思えるようになることを「成長」と言うのですよ。

 銀行に行って、窓口で行員と話して、必要事項をペンで記入して、ゼニを払って・・・。

 こんなことでも、大事な成長体験なんですよ。

 

 手続きくらい、自分でやりましょう。

 

 もしこの記事を読んだ保護者の方がいらしたら、そのお手元の振込用紙はお金といっしょにお子さんに持たせて、金融機関に行かせましょう。


 

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