ssh658 授業料有償化で事務職員増員 [教育問題]
<2014>
私、今年人事異動で転勤となりまして、4月から新しい学校に勤務しています。新任職員は新任式なるイベントでステージ上に並んで在校生に紹介されます。
ところで、今年はちょっと「ん?」という新任者が混じっていました。事務職員に、本年度上半期のみ任期という方がいたんです。
これ、新任校だけじゃありません。ヨソの都道府県のことは知りませんけど、本県ではすべての県立高校にこの任期半年の事務職員が配置されました。公務員の人件費削減が叫ばれるこのご時世に、なぜそんなにもたくさんの職員を新規で?
原因を作ったのは、晋三坊ちゃま率いる現政権です。
彼ら彼女らは、高等学校授業料無償政策が終了したために採用されたのです。
失策だらけの民主党政権の中で、数少ない善政と私が評価しているのが、高校授業料の無償化でした。
日本の教育費はとにかく高過ぎます。授業料が高くて給付制奨学金がないなんて国はOECDでも日本くらいのものです。高校授業料の無償化は、大学の教育費の負担減へとつながる可能性のある大きな一歩でした。
その大きな一歩も、晋三坊ちゃまのカムバックによってあっさりパアになってしまいました。
さすがにいきなり元に戻すのも支持率低下になると思ったのか、一定の収入を割る世帯には実質上無償とする「就学支援制度」といういかにも官僚言葉の制度にしました。どーせそのうち支援金を値切るつもりなのでしょうけど。
今年、我が県で大量に採用された事務職員の方々は、この就学支援の手続きのため(だけ)に配置されたのです。
学校現場の実情はなかなかわかってもらえないものですが、学校事務の仕事はその中でも相当わかりにくいんじゃないかと思います。
学校の先生が「なんでも屋」よろしくあれこれやっているように、学校事務の方々も実に多様な仕事を担当しています。私の目から見ても、かなり忙しくしています。構造改革とやらで人件費削減がされてからはスタッフも減らされて相当大変そうです。
高校の入学式は、新入生と保護者にとっては晴れの一日ですが、事務方に取っては「ヒエー!」の一日です。
入学式当日、新入生は10種類以上の書類を提出します。そのうちの半分はお金関係の書類。いろんな費用の引き落とし口座の書類とか、入学金納入のために収入証紙を貼付したものとか。これらはすべてその日の内に事務に提出されます。入学式の事務室は戦場さながらです。
授業料無償化になったとき、事務のみなさんはすごく喜んでいました。これで面倒な手続きの仕事が一つ減ると。
この種の書類には不備がつきものです。保護者も見慣れない書類をまとめて期限までに書かなきゃいけないので、相当気をつけていても不備はあります。不備がある場合、保護者が帰宅する前に連絡して確認します。だから保護者がいないと困ります。
入学式では、PTAの役員選出というのもあります。誰しも面倒なことはやりたくないものですから、最後はクジ引きになることが多い。ここでも、欠席の保護者がいると面倒なことになる。欠席裁判ってわけにはいきません。
どこぞの県の高校の先生が勤務先の入学式を休んで自分の子どもの入学式に行ったんだとかで、それをけしからんと怒っている御仁がいらっしゃるようですけど、高校側からすれば、入学式に保護者が来てくれないとすごく困るんですよ。
保護者に比べれば、担任の仕事は案外と少ないです。入学式はたいてい半日で終わります。生徒保護者と話す機会は1時間もありません。いなくても大して問題にはならない。
産経クンはわざわざこの件を社説で批判してましたけど、まあ浮世離れしたバーチャルリアリティ社説でした。現実をきちんと調べずに書いた意見文などただのゴミクズです。
それにしても。
ゼニを徴収するために、わざわざゼニを払って人を雇うってのは、どーなんでしょうかねえ。
無償科廃止を支持した読売クンや産経クンに、このへんのところを聞いてみたいところです。官僚文章的な答えしか返ってこないでしょうけど。