ssh667 4年前のW杯社説を復習しましょう [社説の読み方]
<2014>
負けちゃいましたね、W杯サッカーの日本代表の初戦。いや残念。
とは言え、大会は始まったばかり。予選リーグはあと2試合残ってます。頑張って欲しいものです。
にしても、マスメディアの冷たさと来たら、ずいぶんなものですな。
お定まりの監督批判に留まらず、選手に対してもかなり辛辣です。
前回(2010年)がベスト16ですから、今回はそれ以上を望むのが人情というものではあるでしょうけれど、それにしてもまーあっさりと手の平をひっくり返すもんですな。
手の平ひっくり返しですぐに思い出されたのが、4年前。
◆◆
2010ワールドカップサッカー南アフリカ大会、全日本は初戦のカメルーン戦に勝ったそうですね。6月15日朝のフジテレビ「めざましテレビ」で知りました。(中略)
しかしまあ、岡田監督を鳩山元首相と並べて揶揄して喜んでいた中央メディアのみなさま方の、手の平のひっくり返しようはどうです?まー臆面もなく恥ずかしげもなくいけしゃあしゃあと。
中央メディアってのは気楽な商売ですな。道理でみんなTVタレントや局アナ(局アナもタレントの一種か)に憧れるわけだ。
気楽っつーたら、手の平ひっくり返しよりももっとずーっとお気楽なのが、数々の勝因分析でしょう。
岡田采配が的中しただの、テストマッチの敗戦で危機感を持っただの、あげくにゃみんなで肩組んで君が代斉唱したのがどーだのと。歌で勝てりゃ誰も苦労しないわ。(ssh338 あとから理由を探すのはバカでもできる、そんなものは論考でも論評でもない)◆◆
批判から賞賛へという正反対のひっくり返しではありますが、変わり身の早さはこの頃から健在です。イソップ物語のコウモリもタジタジという感じ。
せっかくですんで「カンドウヲアリガトウ」一色に染まったこの時の中央紙の社説も紹介しておきましょうか。(ssh346 社説の読み方~みんなでホメよう岡田ジャパン編)
◆◆朝日新聞: W杯日本惜敗―人々の心に決めたゴール
2010年に自分は何をしていただろうか。ずっと後になって思い出そうとするとき、多くの人がサッカーのワールドカップ(W杯)決勝トーナメントの、29日のゲームを手がかりにするかも知れない。
「あれは、日本がパラグアイと死闘を演じた年だった」というふうに。
南アフリカ・プレトリアのスタジアムで、日本中で、いったいどれほどの人々が、延長戦にまでもつれ込んだ120分の攻防に見入っただろう。(以下略)
◆◆産経新聞: 【主張】8強ならず 世界に示した日本の誇り
勝たせてやりたい。いや、勝ち抜きたい。そう思って120分余、テレビ観戦した人が大半だったのではないか。
サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会の決勝トーナメント1回戦で日本はパラグアイと対戦し、延長戦でも0-0と勝負がつかず、PK戦の末に惜しくも敗れた。W杯初となる8強入りは果たせなかった。
しかし、日本代表選手たちのチームワーク最優先の熱い戦いぶりに拍手をおくりたい。(中略)
日本は持ち前の運動量と組織的な守備力を武器に、身の丈に合った日本流のサッカーを貫いた。パラグアイ戦では再三ゴール前で猛攻を浴びるピンチに見舞われたが、そのつど必死の守備でしのいだ。文字通り、体を張った守りを見せた中沢佑二選手のコメントが印象深い。「世界とここまで対等に戦えたことはなかった。胸を張って帰りたい」(以下略)◆◆
◆◆毎日新聞: 社説 岡田ジャパン 魂に刻んだ「青」の感動
延長を含む120分の攻防では決着せず、PK戦の末、「侍ブルー」の戦いが幕を閉じた。南アフリカで開かれているサッカー・ワールドカップ(W杯)決勝トーナメント1回戦。日本は南米代表のパラグアイ相手に互角の戦いを演じたが、惜しくもベスト8進出の夢を断たれた。(中略)
今回の日本代表は、大会前の期待値が低かった分、日本のファンの驚きと感動は大きかったようだ。
開幕前の強化試合で4連敗。その間には岡田武史監督が進退を口にする一幕もあった。だが本番のW杯に入ると岡田監督の思いきった選手起用がズバリ的中した。FWに起用した本田圭佑選手が世界レベルの技を披露。若いGK・川島永嗣選手も再三の好守でチームの危機を救い、海外でのW杯では初めての決勝トーナメント進出を果たした。
日本代表の戦いぶりで特徴的だったのは、ひたむきにボールを追いかける選手の姿だった。控えメンバーも含め「全員で戦う」姿勢も見て取れた。そのことが見る者の魂を揺さぶり、「ベスト16」の結果以上に多くの感動を心に刻み込んだ。(以下略)◆◆
◆◆読売新聞: W杯日本敗退 選手の奮闘に元気をもらった
日本のサッカー史上、初めてとなるベスト8には、またしても手が届かなかった。しかし、日本代表の選手たちは、最高峰の舞台で、力を存分に発揮した。健闘をたたえたい。
サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会の決勝トーナメント1回戦で、日本はPK戦の末、パラグアイに敗れた。2002年の日韓大会と同じ成績で、日本のW杯挑戦は終わった。
堅守速攻が身上のパラグアイに対し、日本は、中沢佑二選手、駒野友一選手ら守備陣の体を張った守りでわたりあった。
延長戦を含め120分を戦った末の紙一重の敗戦だ。PKを外した駒野選手は悔しいだろうが、胸を張って帰国してほしい。
W杯の計4戦、日本代表は1戦ごとに自信を得て、強くなった。チーム一丸となって強豪国に挑む姿には、頼もしさを感じた。選手の持ち味を引き出した岡田武史監督の采配(さいはい)も奏功した。
日本の存在感を、世界に向かって十分に示したといえる。(以下略)◆◆
どうですか?この見事なまでの横並びっぷり。
あんまり似てるものだから、ssh346では4紙の社説の一部を抜き出してマッチングクイズ形式にしてみました。これは大変な難問で、今あらためて自分でやってみても全然正解がわからないくらいでした。
さてさて。2014年W杯はまだ始まったばかり。ここからの頑張りで2010年以上のカンドウヲアリガトウだって夢じゃありません。当時の中央紙によると、2010年岡田ジャパンの勝因は、
- 危機感(大会前の試合で4連敗したこと)
- 団結力(チーム一丸となって戦う姿勢。組織力。ついでにみんなで肩組んで君が代斉唱したこと)
- 岡田采配
- 身体を張った守り
では、ザックジャパンの前途は?、
1.については大丈夫です。大会前の敗戦どころか大会初戦での敗戦です。危機感は相当なものでしょう。
2.についても問題ないでしょう。少なくとも君が代はみなさん元気に歌ってます。
3.は現在ヤリダマにあげられている部分です。とは言え、まさかここで岡田サンにカムバックしてもらうわけにゃいかんでしょう。
4.については、私にゃどういうディフェンスを「身体を張った」守りというのかよくわかりませんが、コートジボワール戦ではイエローカードもけっこう出てましたし、日本のディフェンスは遠慮はしてなかったんじゃないですかね。それにあの試合、日本はずーっと劣勢でした。攻撃されている時間の長さからしたら、ディフェンスはよく頑張ったんじゃないですか。
してみると、ザックジャパンの前途を握るのは3番。
一にも二にも、ザッケローニ監督の采配が「当たる」ことにあるということになりそうです。
でも、采配なんてのは当たるもハッケ当たらぬも八卦みたいなもんですからねえ。まあ運でしょう。
予選リーグ突破は運次第、というのが4年前の中央紙の分析から導き出される仮説です。
中央紙には、お祈りでもしていただきましょうかね。