LHR86 ホンイキ [ご挨拶&エッセイ]
<2014>
「本域」って言葉、聞いたことありますか?
9月27日に日本テレビ系列で放送された『クイズ!?正解は出さないで(サブタイトルはやたら長いので略)』なる番組の字幕で、「本域」という文字を見まして。
司会の今田耕司が、解答者の誰かをからかって、えらく甲高くて大きな声でマネして見せたんですけど、それに対するリアクションの字幕が、これ。
俺、そんな本域でやってないですよ! (下線はshiraによる)
手元の辞書を5種類調べてみたんですが、どこにも「本域」はありませんでした。「音域」の間違いじゃねえの?
しゃーない、googleにかけてみました。すると意外や意外、ヒットしました。
TVギョーカイ用語に最近「ホンイキ」という言い回しが出てきているようです。
新しい言い回しなので、ネット情報しか拾えないのですけど、リハーサルとは違う本番の意気込みでやることというような感覚で使われ始めているようで。
新しい言い回しなので、表記もまだ定まってないようで、「本域」とか「本息」とか「本意気」とか書かれているのだとか。
いずれにせよ、まだ辞書に載るレベルの言葉ではないです。
でも、「本域」と字幕に書いてオンエアしたということは、少なくとも日本テレビ社内的にはNG言葉ではないのでしょう。
そういうのはイカン。日本語の正しさ、美しさを守るべし―と意気込む方も多いことでしょう。
ご安心ください。彼らはそういうお客さまも大切にしております。
◆◆国語世論調査 誤用に気づく契機にしたい (読売新聞社説 2014年09月26日)
本来の意味とは異なることを知らずに、誤った使い方をしている言葉はないだろうか。
例えば、「煮詰まる」だ。議論が尽くされ、結論が出せるようになった状態を示す慣用表現だが、4割の人は、議論が行き詰まった状態と思い込んで使用している。
文化庁が16歳以上の男女を対象に実施した「国語に関する世論調査」の結果で明らかになった。(中略)
いずれの表現も、若い年齢層ほど誤用が多い傾向がある。調査結果を言葉の正しい意味を知るきっかけとしたい。
文化庁は、慣用表現の意味や使い方を説明する動画を作り、ホームページなどで公開している。啓発に努めてほしい。(中略)
今回の調査では初めて、名詞などに「る」「する」をつけた言葉の使用状況も調べた。
代表格が「チンする」だ。9割の人が、電子レンジで加熱する際に使っている。全ての年齢層ですっかり定着したと言える。
「サボる」「お茶する」「事故る」なども使用率が高い。
一方で、否定する意味の「ディスる」や、挙動不審な態度を示す「きょどる」などは、一部の若者がネット上などで使っているだけで、一般化はしていない。
言葉は時代とともに変化する。新しい言葉も次々と生まれる。
若者の間では広く使われている表現でも、高齢者には通じないこともあるだろう。意図を正しく伝えるため、場面に応じて用いる心配りが必要だ。◆◆
同一グループ社内で、ずいぶんと厚顔無恥な感じですけど、これこそが「場面に応じて用いる心配り」ということなんでしょうか。
日テレ的な軽さと読売的な説教臭さと、どっちが彼らの「ホンイキ」なのか、一度聞いてみたいもんです。