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LHR91 冬の一大事業〜カセットデッキ2台ベルト交換プロジェクト [DIY記]

<2015>

 

 1月下旬以来イスラム国邦人人質事件に関する記事をやたらとアップしてきたssh。とは言え、この間ずーっとPCの前でクサクサしていたわけではありません。

 世の中には来る日も来る日もネットやSNSにデキの悪い罵りを書き募るばかりのネトウヨくんやネトサポくん(自民党ネットサポーターズクラブ。問題の多い会員がかなりいるらしいです)のような淋しい(でも困った)人たちもたくさんいます。けど、人はネットのみに生きるにあらず。私にゃ他にやりたいこと・やらなきゃいけないことがいーっぱいあるのです。


 1月末からこのかた、けっこうデカい挑戦をしておりました。古いヘッドフォンの改造(LHR89)古いチューナーの調整(LHR90)は、まあオマケ。

 ご本山はカセットデッキ。古くなって動作がおかしくなった2台のカセットデッキ、ソニーTC-FX66TC-K222ESGのベルト交換に挑んだのであります。

 

 両機とも寄る年波で動作不良。FX66は回転ムラがひどい。K222ESGに至っては再生ボタンを押しても動かない。もちろんメーカーはこんな古い機種の修理は打ち切っています。古いオーディオを直してくれる業者もあるにはあるのですが、やっぱり高い。

 ネットであれこれ調べてみると、どちらも原因はゴムベルト劣化の可能性大。このまま放っておいてもジャンク品になるだけ。いっちょやったるかと、DIYでのベルト交換を決意しました。


 

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 粗大ゴミではありません。作業に入ったTC-K222ESGの図。

 機械の分解組み立ては正解のあるパズル。特にベルトのような消耗品は必ず交換できるように設計されています。慌てずじっくり構造を見て考えば正解は見えてきます。

 
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 今回のターゲット、メカデッキ部。コードの取り外しが難しそうだったので、筐体の上に木板を渡してその上にメカデッキを置いて作業することにします。


 


DSCN1577.jpg

 メカデッキをさらに分解して裏側から見たところ。下部の2つの円筒がキャプスタンのフライホイール(左側はモーターでもある)。ここに掛かっている黒いゴムベルト=キャプスタンベルトが交換対象その1。ベルトを外しサイズを測り、通販で注文しました。こんな部品が通販で買えるとは、本当に便利な世の中になりました。1890円は少々オネダンですが。

 

 さて、実はもっと大きな問題なのが、ファンクションベルトという別のベルトです。

DSCN1578.jpg

 中央やや左側、バネとモーターの間に垂直方向に張られた白いゴムが見えるでしょうか。ここがファンクションベルトの位置です。

 カセットデッキの操作ボタンは1980年代ころから電子スイッチを使うロジックコントロールが一般化しました。この方式はモーターがファンクションベルトを介してヘッドブロックを電動で上下させます。古いデッキはこのベルトが劣化で滑るようになり、ヘッドブロックが動かず録音再生ができなくなるというトラブルをよく起こすらしいです。ベルトを交換すれば直るはず。

 

 ところが、ここの構造はかなり複雑で細かい。下手にバラすと組み立て不能になりかねない感じ。そこでいくつかのネジを緩めて隙間を作り、ピンセットで脱着することにします。隙間は最小限、かなり神経を使う作業です。

 実はこの白いゴム、試しに取り付けてみたものです。同じくらいのサイズの輪ゴムがあったので、いけるかなと思って。でもやっぱりダメでした。世の中そんなに甘くない。

 そこで地元のパーツ屋(イナカ街なのにそういうお店があるのですよ)に行き、使えそうなベルトを物色しました。

DSCN1589.jpg

 こうして並べるとどれでもいいように見えますが、合うものと合わないものがあります。

 オリジナルのベルト(右下)は断面が四角。購入したベルトはどれも断面が丸ですが、そのうちの1本、細いベルトが比較的いい感じだったので、それを取り付けてみます。ベルトはどれも1100円でした。

 

 慎重に組み立て直してテスト。

 再生はちゃんと作動しました。しかし問題発生。90分テープをかけたところ、テープがちゃんと送られず、シワシワグチャグチャの「ワカメ」状態に。

 

 調べてみると、原因は小さなものでした。メカデッキを脱着したときにキャプスタンの外れ留めの部品がズレて、それがカセットに当たって抵抗になっていた。短いテープは何とかなっても、長い90分テープでは十分なトルクが出ずにテープがうまく送れずワカメになっちゃったらしい。

 ピンセットで部品の位置を戻して再テスト。今度は見事に動きました。

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 かくしてK222ESGが復活しました。メインシステムに復帰したK222ESG音も意外と悪くないです。CD並みとは言いませんが、クロームテープやメタルテープにきちんと録音されたものはけっこういい音です。


 一方のFX66はファンクションの問題はなく、キャプスタンベルトだけの交換です。こちらはメカデッキ部を本体から外さなくても割と簡単にベルトの脱着ができました。

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 キャプスタンベルトはK222ESGと同じサイズで、全長220mm。これも寄る年波でかなり劣化して滑りやすくなっていました。同じものを通販で送ってもらい、取り付けました。

 作業中の写真も撮ったのですけど、なぜかiPhotoで編集をしたらファイルが壊れてしまいまして、公開できません。んー、残念。

 

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 ものはついでと、20年以上前に購入して最近ずっと整理棚の肥やしになっていたポータブルCD、ソニーD-111も引っ張り出しました。一時期調子が悪くもう寿命かなと思っていたのですが、改めてテストしたらちゃんと動きます。かくしてデスクトップオーディオはiPodFMAM/カセット/CDを聴くことのできるマルチなコンポへと出世しました。モノがモノだしスピーラーもちっこいので音はそれなりですが、机仕事のBGMにはこのくらいがかえって好適です。古いカセットなど、あまりシビアに音が出ない方が音楽を楽しめますし。

 

 

 TC-FX66を買ったのは大学1年のとき、1982年の1月です。帰省からのUターン途中に秋葉原に寄って、電器店を何軒も回って値切り交渉をし、定価59800円を45000円にしてもらって買いました。デカい梱包をぶらさげて電車で帰りましたっけ。時はカセットオーディオ全盛期、こいつはグータラ学生の大切な友でした。これまで使ったコンポの中でもかなり思い入れのあるコンポです。

 TC-K222ESG1990年ころの購入。定価はFX66と同じ59800円。ただ、1989(消費税導入の年)までは物品税なるものがあり、オーディオ機器もけっこうな税率が課税されていました。FX6659800円は物品税込みの価格、K222ESGは税抜き価格ですから、モノはK222ESGの方が上です。

 

 

 それにしても我ながらモノ保ちがいいですな。私のコンポはどのくらいの御年なのかと思って調べたところ、

  • 購入5年以内のもの: iPod classic
  • 6~10年: FE108EΣ(スーパースワンのユニット) PM-14SA2(メインシステムのアンプ)  PL-30LII(レコードプレーヤー 製造は1980年頃)
  • 11~15年: FE126E(リアスピーカーのユニット)
  • 21~25年: CD-80 TC-K222ESG スーパースワン(本体の製作) D-111
  • 26~30年: 自作オーディオラック 自作リアスピーカー AT-F3(カートリッジ)
  • 31年以上: TC-FX66 TA-1630 ST-1950 デスクトップのスピーカー(現在のユニットは2010年ころにソニーのTVから移植したもの) DR-4M DR-5M

 いや~、どれもこれもずいぶんな御年齢ですな。PM-14SA2なんか割と最近買ったような気がしていたんですけど、もう10年目ですか。一番古いのはTA-1630ST-1950DR-5Mで、38年前に実家で買ったモノです。

 

 

 オーディオは斜陽産業だと私はちょくちょく書いております。確かに新品の開発製造販売に関してはすっかり地味になっています。

 しかし、ここにきて中古オーディオを楽しむ層が出てきているようです。ハードオフやヤフオクのおかげで他人が不要になったコンポが入手しやすくなりました。ある程度モノのわかっている人だと、少々のトラブルは自分で直せます。

 それと、最新機器が最良とも限らない。カセットデッキ・チューナー・レコードプレーヤーなんかは需要が減ったためあまりいい機器が作られなくなった。古いコンポの方が性能がいいということも起こります。かくいう私も現用機がオシャカになったら中古を探そうかと思っているくらいです。

 

 

 カセットデッキ、チューナー、ヘッドフォンと、オーディオ関係でやろうと思っていた宿題が一通り片付きました。やっぱいいもんですね、自分の手で問題を解決するのは。他人任せの人生はつまんないです。

 

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