ssh1116 年末年始DIY企画その3〜カワイデジタルピアノのペダル修繕

<2021>

　カワイのデジタルピアノのペダル修繕のご報告。

　我が家にカワイPW-970がやってきたのは20年以上前のこと。長男がピアノ教室に通い始めたときです。結局長男は1年ほどでやめちゃったのですが、長女は高校入学まで継続しました。COVID19のステイホーム中はけっこうピアノを弾いてました。最近も好きな曲の楽譜を取り寄せて毎日弾いてます。

　その彼女が、どーもピアノの調子が悪いと言うんですね。彼女によると

1.　スライド式のボリュームつまみを動かすと音が出なくなる。

2.　ペダルの反応が鈍い。

　モノが古いだけに寿命かなとも思ったんですけど、20万円もした楽器ですから、見てみることにしました。

　まず1.ですが、これは単なるガリでした。長いことボリュームつまみを同じ位置にしてたのが原因。左右に10回ほど動かしたらあっさり治りました。

　問題は2.。状態を確認するには、ピアノを横倒しにして下部を見なきゃなりません。幸い次男が休みなので、2人で動かします。相手は楽器ですから本当はシロウトが動かすのはよくないんですけど、古いモノだし、まあいいかと横倒しにしました。デジタルとは言えなかなかの重量級で、作業はちょいと怖かったです。

• shirasshカワイデジタルピアノのペダルの不具合を確認。ペダルボックスのプラスチックが見事に割れている。取り外して調べたところ、構造的に壊れやすいことがわかった。これ設計した人はあとで怒られたろうな。 https://t.co/hO3A6NQCjD12/28 02:25

　ペダルボックスは左右6本の木ネジでスタンド下部の横桟に取り付けられてるんですが、横桟には左右の取付部だけに8mmほどの板が貼り付けられていて、ボックス中央部分は横桟から8mm離れています。ペダルを踏むと、この離れている中央部分にかなりの力が加わります。

　このボックスのど真ん中・下向きにペダルと床の隙間を調整するネジがついてます。これを床に突っ張らせてペダル操作を安定させる狙いなんですけど、これがまた悪い。左右のペダルを踏むとこのネジとペダルの間にねじり力が働きます。かくして我が家のピアノのペダルボックスは、下部には見事に亀裂が入り、上部はプラスチックが欠けて飛んでしまっていました。長年の応力でボックス全体も変形してます。接着剤やテープで直せるレベルではありませんし、仮にそうしてもひと踏みでぶっ壊れるはずです。

　しばらく思案の末、猿知恵が湧きました。

• shirassh対策後のペダルボックス。横桟との隙間には左右取り付け板と同じ高さの端材を貼り、力の加わる中央部分を横桟に密着させる。
  右側の柾目の板はカマボコ板です。なんでも捨てずに取っておくもんですな。 https://t.co/MCzJQitenK12/28 02:41

　要するに、横桟とボックスの間に隙間があるからボックスが応力に耐えかねて変形して壊れるんです。だから隙間をなくしてボックスと横桟を密着させれば横桟が力を受け止めてボックスの変形は防げます。

　物置から丁度いい厚さの端材を物色し、適当に切って横桟に貼り付けました。本来ならボンドでしっかりとめるべきですが、外れっこない場所なんで両面テープで片付けました。端材はカマボコ板と昔解体したスピーカーボックスの一部です。物持ちがいいですな。

　ボックスの取り付けはこれでOKです。あとは中央のネジと左右ペダルの間のねじり力の対策です。

• shirassh完成の図。真ん中のネジも妙な力が加わる原因になるので、両側に端材をはめこんで力を全体で受け止める。
  さっそく長女が弾いているので、うまく行った模様。 https://t.co/5rryG9RlEm12/28 02:48

　実はこの横桟、ちょっと歪んでるんですよ。真ん中が上に曲がってる。たぶんペダルの反応が鈍くなり始めたときにネジをせり出させて対応したんだと思います。まあ徐々にもとに戻るでしょう。

　しかし、私のDIYもいよいよ楽器まで手を出すようになっちゃいましたな。

<2021.12.29.追記>

　わかりにくいんで図にしました。

• shirasshPW-970のペダルボックスは左図のような取り付けで、右上図や右下図のようにかかる力をすべてプラスチック部で受け止めている。だから壊れやすい。対策は下図のように板を貼り付けボックス全体を密着させ横桟で力を受け止める。 https://t.co/uQmEJFJGVi12/28 19:26

　カワイPW-970のペダルはプラスチックのボックスに収められていて、ボックスは左図のように横桟にビスで取り付けられています。この取付が曲者。なぜか左右だけに取付用の板材が貼り付けられていて、ボックスの中央部分と横桟の間は隙間が空いています。

　右上図は左右のペダルを踏んだ時にボックスにかかる力を図式にしたもので、ボックスをねじるような力が加わります。

　右下図はボックスの横方向からの透視図です。ペダルを踏むともちろん下向きの力は加わりますが、いっぱいに踏むとボックス前縁が支点のテコになって後部に上向きの力が加わります。

　で、前述のようにボックスと横桟の間は隙間が空いてます。このため、これらの力は全部プラスチックのボックスだけにかかっちゃいます。おかげでボックスは変形し、亀裂が入り、一部は欠けてしまったわけです。

　対策は隙間を埋めてボックス全体を横桟にぴったり密着させること。こうすればボックスにかかる力は頑丈な横桟が受け止めてくれますから、ボックスの変形は起こりません。さらにボックスと床の間もネジ1本ではなく全体で接触するよう端材をはめ込んだという次第です。

　最初のツイートで「これ設計した人はあとで怒られたろうな」と書いたのはそういうことです。横桟に取り付ける板材をもっと大きくするか、枚数を1~2枚増やしておけばこんなことにはならなかったはずです。なんでこんなつまらないところで手ぇ抜いたんですかね。