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ssh450 社説の読み方〜実戦トレーニング編 [社説の読み方]

 今回は「社説の読み方」と「実戦トレーニング」のコラボ記事です。

 では、出題を。
 次の2つの文章は同一新聞でほぼ同じ時期に掲載された社説である。

 1 両者を読み比べて、共通点と相違点を指摘しなさい。

 2 1と出題を踏まえて、問題点を指摘しなさい。

 解答は次回。

 

◆◆<起立条例成立 教委も毅然たる指導せよ>
卒業、入学式などの国歌斉唱時に教職員に起立斉唱を義務付けた大阪府の条例が府議会で可決され、成立した。
 国旗、国歌に敬意を払うあたり前のことが教育の場で守られていなかった。全国でも初めての府条例制定を機に、教育委員会も毅然(きぜん)とした指導を徹底してもらいたい。
 条例は次代を担う子供が伝統を尊重し、国と郷土を愛する意識を高めることを目的に掲げた。国歌斉唱時の起立のほか、学校などの府施設では国旗を常時掲揚することも義務付けられた。
 橋下徹府知事が代表を務める地域政党「大阪維新の会」が条例案を提出した際、「強制の必要があるのか」との批判も根強かった。指導する側の府教委の教育長までが「条例による義務付けは必要ない」などと府議会で答弁した。
 だが、教委の指導や処分が厳正に行われず、結果的に不起立を放置、容認する実態があったからこそ、条例が必要となったのだ。
 東京都教委は起立斉唱の通達と校長の職務命令を出し、従わない教師らを厳しく処分している。大阪府教委は昨春、ようやく起立を拒む教師の懲戒処分に踏み切ったものの、昨春、今春ともに数人が処分されただけだった。  問題が少ないわけではない。今春の府立高校入学式で不起立教師がいたのは全体の2割近い27校計38人にのぼった。職務命令が出ていないために処分を免れた例も多く、校長が「見て見ぬふり」をするケースもあるようだ。

 3年前には、門真市の中学校卒業式で式の前に一部教師が「自分は起立しない」などと伝え、卒業生も国歌斉唱時に起立しなかった問題が起きている。国旗、国歌の大切さを教える限られた機会に教師が背を向けるようでは、国旗、国歌を自然に尊重する態度をはぐくむことはできまい。
 橋下知事が「国旗、国歌を否定するなら公務員をやめればいい」と厳しく指摘したのは当然だ。ましてや、公教育を担う教師が自らの政治的主張を子供に押しつけるようなことは許されない。
 学校現場では、今も国旗、国歌の指導に反対する人々との板挟みで苦労している校長らが少なくない。条例制定で正しい指導がしやすくなるはずだ。
 祝日に家庭で国旗を掲げる伝統も薄れがちだ。普段から国旗や国歌を敬う教育を心掛けたい。(産経新聞 6月5日)◆◆


 


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ssh424 ホントに「当たり前」なのかも〜ssh423の余白 [社説の読み方]

<2011>

 

 ssh423 社説の読み方~君が代訴訟東京高裁編 はおかげさまでたくさんの方にアクセスいただいたようです。やっぱ「君が代」と見出しに入ると、それだけでアクセスは増えるんでしょう。ただ、使命感(私が正義を教えてやる!てな)を持ってやって来た方々には大変申し訳ないのですが、拍子抜けだったんじゃないでしょうか。ssh423は社説のイジリ倒しですから。

 

 とは言え、イジリ倒しであっても、読んでいるうちに何か気づくということはあります。

 

 私はかねがね、こういう物言いがすごく気になっていたのですよ。

◆◆学習指導要領は、教師に対し、国旗の掲揚と国歌の斉唱を指導するよう定めている。しかし、それが学校で十分に守られていなかったために出されたのが、都教委の通達だった。教師が個人的に様々な歴史観や世界観を持つのは構わない。だが、指導要領に反してもいいということにはなるまい(読売クンの社説より)◆◆

 

 個人が様々な思想信条を持つのは構わない。しかし、取り決めに反してもいいということにはならない。

 私はこういうものは大キライでどうにも納得できない、と思うこと自体は構わない。しかし、仕事上、立場に対しては従順でなければならない。

 

 これがねえ、私にはどーにも理解できなかったんですよ。

 でも、ssh423を書いていたら、ピンときたんです。

 

 この記事を書いた人は、本当に、naturalに、「そんなの当たり前じゃん、全然難しいことじゃないじゃん、どーせ仕事じゃん、自分の気持ちなんかカンケーないじゃん。」と思っているんじゃないか、と。


 え~とネタ元を忘れちゃって恐縮なんですが、どっかでこんなような文章を読んだことがあります。

 どこぞの出版社で中高年男性向け雑誌の記者をやっている若い女性に取材を受けた。若い女性記者がオヤジ向けの記事を書くということに違和感を覚えたので、こういう仕事は大変じゃないですか?と尋ねたところ、方針に従って書くだけなので別に全然大変じゃない、と返答されて、返す言葉がなかったと。

 

 「おしごと」なんですね。記事は。

 勤務先に「こうしなさい」と言われたから、こうする。それが仕事。

 いや、大したものです、この忠誠心というか、割り切りというか。


 

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ssh423 社説の読み方〜君が代訴訟東京高裁編 [社説の読み方]

<2011>

 

 中央メディアはどれもこれもxxxxxでつまらんとニヒリズムに走り始めていたsshですが、国旗国歌の学校現場での扱いという問題になると、一気に各社のトーンがばらけてきて、我が「社説の読み方」のネタにもなるってもんです。やっぱこうでなくっちゃ。しっかし、久々だなあ、こうやって読み比べが成立するのは。

 

 では参りましょう。まずは読売クン。

 

◆◆国旗・国家訴訟 起立・斉唱認めた妥当な判決

 入学式や卒業式で国旗に向かって起立し、国歌を斉唱するよう、教職員に求めた東京都教育委員会の通達は、合理性があり、合憲である――。東京高裁はそう判断し、「通達は違憲」とした1審・東京地裁判決を取り消した。

日の丸·君が代は国旗·国歌として、多くの国民に定着している。自国はもとより、他国の国旗や国歌に敬意を表すのは、国際社会で当然のマナーである。高裁判決は妥当な司法判断と言えよう。

 この訴訟で、原告の都立高校の教師らは「懲戒処分までして、日の丸·君が代を強制するのは、憲法で保障された思想·良心の自由を侵害する」と主張した。2006年の1審判決は「教職員に起立や斉唱の義務はなく、拒否しても処分されるべきでない」と、原告の訴えを認めていた。これに対し高裁判決は、「国旗に対して起立することは、特定の思想を外部に表明する行為ではないから、それを命じても、思想·良心の自由を侵害することにはならない」と指摘した。理由の一つに、国旗掲揚や国歌斉唱が、学校の入学式や卒業式だけでなく、スポーツ観戦でも一般に行われている事実を挙げた。納得する人は多いのではないか。

 学習指導要領は、教師に対し、国旗の掲揚と国歌の斉唱を指導するよう定めている。しかし、それが学校で十分に守られていなかったために出されたのが、都教委の通達だった。教師が個人的に様々な歴史観や世界観を持つのは構わない。だが、指導要領に反してもいいということにはなるまい。

 国旗·国歌を巡っては、君が代のピアノ伴奏を拒否した教師が懲戒処分の取り消しを求めた訴訟で、最高裁が07年に「伴奏を命じる校長の職務命令は、特定の思想を強制するものではない」と、合憲の判断を示している。今回の高裁判決も同じ流れにあると言えるだろう。最高裁判決以降、同種の訴訟では、教師側の敗訴が続いている。

 かつて、一部の教職員組合がイデオロギー的立場に基づいて、「反国旗·国歌」運動を繰り広げ、教育現場は混乱した。だが、国旗·国歌法が制定され、今やすべての公立学校で、国旗が掲揚され、国歌が斉唱されている。起立や斉唱を拒否する教師の数も年々、減少傾向にある。子どもの手本となるべき教師が、入学·卒業式を厳粛な雰囲気で行うのは当たり前のことだ。◆◆

 

 読売クンのこれまでのスタンスからすれば、極めて「妥当」で「当たり前」の文面ですね。これといって新味はありません。ったって、しょーがないですよね。だって「当たり前」だと思ってるんですから。

 まーしかしそれにしてもというかだからというか、小論文的には最低のテキストですね。とにかく論拠がつまらない。

 読売クンの論拠は「当然のマナー」「一般に行われている」「納得する人は多い」「指導要領に反していいというものではない」「年々減少傾向にある」「当たり前のことだ」と、つまりは多数決というか、おカミやご時勢に逆らうのはおかしいゼということしかないんですよ。

 まあ、書いている方も面白くないんでしょうね。何せ「当然のことだ」と思っているんですから。当然のことを当然だと主張することくらいつまらないこともないでしょう。

 当然だと思われていることを「ホントかな?」と疑うのがものを考える力を鍛えるスタートですから、そういう点ではまったく参考にならないテキストです。

 細かく見ていけばツッコミ所はいっぱいありますけど(自国だけでなく他国の国旗国歌に敬意を表するのは本当に国際社会のマナーであるのか?アナタは北朝鮮の国旗国歌に敬意を表すのか?とかね)、まあそれはやめときましょう。とにかく「当たり前」が根拠という文章は学習の材料にならんです。


 

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ssh412 社説の読み方reprise〜池上彰にPISAネタを取られてしまいました編 [社説の読み方]

<2010>

 

 PISA2009の結果がニュースになってます。順位が上がっただのどうのと。

 まーしかし、どーして中央メディア人を筆頭に、どいつもこいつも「結果と数字」しか見ないんでしょーかねえ?

 せめて数字=データの読み取りが正確なら救われるけど、見てるのはランキングだけなんだもん。

 

 3年前もそーゆー姿勢が腹立たしかったので、sshPISA2006の時に皮肉たっぷりに批評しています。ssh史上最大規模の「社説の読み方」5回連続記事です。このシリーズのサブタイトルは、「PISA2006社説のリテラシーを測定する」。PISAテストにならって、中央5紙のリテラシーをランク付けしました。この時のランキングは、以下の通り。

 1位:毎日クン  2位:朝日クン  3位:日経クン  4位:読売クン  5位:産経クン

 データと教育行政について割とキチンと読み取れている毎日クンと朝日クンは合格点。読み取りそのものはまあまあだけど、全国学力テスト社説の主張と矛盾している日経クンはイマイチ。あとの2人は以下のような理由で低評価。

 読売クンについては、

 ◆◆理数系も、もはや世界のトップクラスとは言えない。数学について、文部科学省は、首位から6位に転落した前回、まだ「1位グループ」と説明していた。今回さらに下がったにもかかわらず、「OECD加盟国の平均と比べれば、高い得点のグループにいる」としている。理数系の落ち込みに対し、危機感が足りないと言わざるを得ない。◆◆ 

とか言ってるクセに、PISAのスコアが偏差値(平均点500点、標準偏差100点に調整)であることを理解していないので、「数学的リテラシーに難あり」と大きく減点しました。

 産経クンはもっと悲惨で、

 ◆◆PISAの読解力の試験問題は、文章だけでなく、グラフや図表など資料から情報を読み取り、自分の考えや意見を述べる力を問うものだ。こうした力は、数学など他の教科にも欠かせず、低下傾向が憂慮される。これまで日本の学校の国語の授業は、小説など文学作品の主人公の気持ちを読み取ることなどに時間が割かれがちで、教師の独り善がりの授業の弊害が指摘されてきた。別の学力調査でも、感想を自由に書くことはできているものの、説明文を読んで要旨を相手に伝えるなど、条件に沿って書くことは苦手とする傾向がでている。結果を受け止め、国語力や読解力の向上を目指して指導の改善に取り組んでほしい。◆◆ 

と、グラフや図表の読み取り能力をも国語教育の責任と決めつけるという、実に情けない低読解力をご披露していました。深刻な読解力不足です。


 さてさて。あれから3年。

 1224日のクリスマスイブに、池上彰サンがPISA2009に関する記事を書いておりました。

 こんな記事。(太字は私によるもの)


 

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ssh403 社説の読み方〜毎日クンにネタを取られてしまいました編 [社説の読み方]

<2010>

 

 最近「社説の読み方」記事がないなあ、とお気づきの方はいらっしゃいますか?実はそうなんです。
 一つの理由は素材の低下。ツッコミ入れて遊ぶにはところどころに穴があってこそなんですが、最近の中央紙社説は穴だらけでツッコミきれない。小論入試で言うと採点対象外(0点)答案が多くて、読み方どころの騒ぎじゃないということ。


 それと、もう一つの理由は、毎日クンにお株を奪われてしまったから。下が最近の例。

 

◆◆社説:論調観測…ウィキリークス 何が公益で何が危険か

 内部告発サイト「ウィキリークス」が米政府の外交公電を大量に入手し公開を進めている。外交と機密情報、内部告発の是非、インターネット時代のメディアの責任など難しいテーマを含んでおり、世界中で論議が盛んだ。自らの活動と密接に関係する問題であるだけに、新聞も悩みながら論じているようだ。

 ウィキリークスから公電情報を入手し報道したメディアの一つ、英ガーディアン紙は、「情報の大半は米政府の公式見解と大して違わない」と機密性の低さを指摘したうえで「(情報暴露に)概して大人の対応をしている」と米政府を評価。同紙から公電情報を譲り受け報じたとされる米ニューヨーク・タイムズ紙は、「(今回の暴露)情報は米国内外の人々が知るに値する政策を明らかにしており貴重」と露骨なまでの肯定ぶりだ

 一方、ウィキリークスから情報提供の打診を受けながら条件が折り合わず入手しなかった米ウォールストリート・ジャーナル紙は、ウィキリークスの創設者、アサンジ氏を「自由社会のためになっていない」と非難しつつも、「あいまいな法的根拠で起訴すれば、ジャーナリストの起訴に道を開きかねず心配」と警戒。機密維持が困難なインターネット時代だからこそ、政府は機密の量自体を少なくし、アクセスできる人物も限定すべきだと論じている。

 これとは方向を異にするのが、「新しい時代に合わせて、政府や企業が機密情報の管理を強化するのは当然」と主張した読売だ。「ネット時代だからこそ、メディアも含め情報を公開する側は、これまで以上に自らに厳しく、抑制的でなければならない」とした。政府に情報開示を迫り、政府が隠したがる情報を掘り出して報じる役割の報道機関が自ら「抑制」を唱えるとはどういうことなのか。

 毎日は、外交関連の会話が部分的に暴露されることによる外交上の打撃や政府関係者の身の危険を指摘しつつ、ウィキリークスが10月に公開したイラク戦争関係の機密情報について「米政府が自ら公表してしかるべきだった」と、暴露の意義も認めている。一方、朝日は4日現在、国内全国紙で唯一、この問題を社説に取り上げていない。

 結局、非開示情報の公表が公益か否かは、私たちが良識に従い一件一件判断するしかない。一律に規制を強化したり、組織の不正を暴こうとする人を短絡的に締め出そうとすれば、自由や民主主義を阻害し、私たちの首を絞める結果になるだろう。◆◆


 

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ssh361 社説の読み方〜遭難した記者に自己責任論は適用されないのか [社説の読み方]

<2010>

 

 二次災害というのは耳にした事がありますが、まさか三次災害が起きるとは思いもしませんでした。秩父の山中で遭難死亡した日本テレビの記者とカメラマンのことです。

 事故の経緯は産経クンの社説にあります。

 

◆◆主張】日テレ記者遭難 自然のこわさを忘れるな2010.8.3 03:01 

 埼玉県秩父市の山中で1日、ヘリコプター墜落現場を取材しようとした日本テレビの記者とカメラマンが遭難死する痛ましい事故が起きた。事故は、先月25日に沢登り中の女性が滝つぼに滑落死した事故に端を発している。救助に向かった県防災ヘリの二次災害に続き、記者らの事故は三次災害となった。そこに、自然に対する認識の甘さはなかったか。

  事故当日、2人を案内したガイドによれば、カメラマンの装備は十分だったが、記者はTシャツにジャージーのズボン姿で、「軽装で危険」と判断し、一度は引き返したのだという。だが2人は、ガイド抜きで再び山に入った。

  2人が発見された現場は標高約900メートルにある滝つぼで、水死だった。記者の頭部には複数の傷があり両足の靴が脱げていた。滑落などのトラブルに遭い、カメラマンが巻き込まれた可能性がある。だとすれば遭難は、一次災害と同様のものだったことになる。 

 日本テレビによれば、カメラマンはアラスカやチベットなどの山岳取材を経験した「有事を想定した山岳取材のキャップ」だったという。冬山、高山の豊富な経験が夏の標高が低い現場に油断を生じさせたのではないか。そうでなければ、軽装の記者を同行させたことの説明がつかない。 

 現場は標高こそ低いものの、大きな岩や切り立ったがけが多く、埼玉県警は「危険な難所」として取材自粛要請を出していた。加えて、遭難当日の秩父市周辺には雷注意報が出ており、強い雨も降った。県警は2日の現場検証も濃霧や降雨を理由に中止した。四次災害を危ぶんでの判断だった。それだけ現場を「危険なところ」と認識している証左でもある。 とび職のベテランに、こう聞いたことがある。「2階から落ちて半年入院したことがある。10階以上の現場から落ちた話はほとんど聞いたことがない。危ないのは地面が近くに見えてきてからだ」 山だけではない。海水浴中の事故の多くは浜辺の近くで起きる。安全とみえた川辺のキャンプ場が増水で流される。自然は油断を許さない。恐れすぎてもいけないが、侮ってはいけない。 

 報道記者やカメラマンには、現場に少しでも近づきたいという習性がある。だが、報道の自由には重い責任が伴う。悲しい結果にしてはなるまい。◆◆


 

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ssh351 社説の読み方〜選挙社説は当日より前日が楽しい編 [社説の読み方]

<2010>

 

 3年前の参議院選挙でも、「ssh121 社説の読み方~参院選投票日編」というのをやりました。

 3年前というと、与党自民党がボロ負けして参院では野党勢力が優勢な「ねじれ国会」が発生。時の首相はかの安倍晋三坊っちゃま。ボロ負け直後は続投を明言したんですが、間もなく辞任して、心身を病んで療養に入りました。

 これ以来、安倍→福田→麻生→鳩山と、「総理は1年で辞めるもの」というのが国政の慣例となりました。どうなる管直人。

 

 この記事は投票日前日の2010年7月10日に作成しております。

 今回は投票日編ではなく、投票日前日編。

 現時点で社説展開しているのは朝日クン・読売クン・産経クンの3紙。1紙を除いてわりと地味な扱いです。前日のせいか、1紙を除いて字数も少ない。

 その辺を見ていただくために、段落切りをなくして全文を引用してみましょう。

 まずは読売クン。

 

◆◆参院のあり方 「政局の府」から脱する時だ(710日付・読売社説)

 参院選は、あす投開票が行われる。各党の公約はこぞって大衆迎合色の強い議員定数削減を掲げたが、より本質的な参院の役割に関する議論はまるで低調だった。参院は最近、「良識の府」でなく「政局の府」と言われる。本来は、衆院に対する「抑制」や「補完」の機能が期待されながら、衆院と同様の政党間対立が持ち込まれ、混乱する例が目立つからだ。1989年参院選での自民党大敗以来、どの政党も参院で単独過半数を獲得できず、政局の不安定要因となっている。90年代末以降は参院での多数確保のために連立政権を組むことが恒常化した。2007~09年の衆参ねじれ国会では、日銀総裁人事やガソリン税の暫定税率などをめぐり、不毛な対立が繰り返され、政治の機能不全ぶりを露呈した。参院改革は、古くて新しいテーマだ。71年に河野謙三議長が「参院の現状は、衆院のカーボンコピーに過ぎない」と問題提起してから40年近くが経過している。 投票時の党議拘束を外すとか、参院議員を地域代表制にするとか、様々な改革案が浮上した。00年には、参院を「再考の府」とするため、首相指名権を廃止する一方、行政監視機能を強化するという有識者会議の報告書がまとまったが、具体化しなかった。結局、実現したのは、押しボタン式投票や、決算審査の充実・迅速化などにとどまっている。衆院は予算審議で優越権を持つため、参院は決算審査を重視し、その結果を予算編成にきちんと反映する、との狙いは悪くない。「参院の独自性」の名の下、衆院と同様の審議を繰り返すだけでは、参院無用論が強まろう。重要なのは衆院との役割分担だ。例えば、参院の首相指名権を廃止し、衆院の再議決要件を緩和する。一方で、参院の決算審査権を拡充し、特定分野の法案の先議権を認める――。どの権限を縮小し、どの権限を拡大するかによって、新たな参院像が見えてくる。参院に自らの権限縮小を委ねても、成果は期待できない。具体策の検討は、第三者を含めた審議会で検討するのが適切だろう。その際、再議決要件の緩和など憲法改正を要する中長期的課題と法律改正で可能な課題を分けて、取り組むことが大切となる。参院各党は、「1票の格差」是正のため、13年の次回選挙から選挙制度を見直す方針だ。参院のあり方は選挙制度とも関連する。一体で議論を深めてもらいたい。◆◆

 3年前にはかなり情熱的に晋三坊っちゃま政権を応援した読売クンですが、今回はテンション低いです。参議院の歴史みたいなお話。読売クンらしくもない。どうしちゃったんでしょう。選挙戦が低調なせいで、筆圧も下がっちゃったのかな?それともさんざんヨイショしてきた自民党が下野なうなので、今回は様子見でしょうか。


 

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ssh346 社説の読み方〜みんなでホメよう岡田ジャパン編  [社説の読み方]

<2010>

 

 昔から「勝てば官軍」とは申しますが、まーしかし、全国紙がそろいも揃ってホメまくるというのも相当に気持ちの悪い状況であります。もちろんW杯のこと。

 ssh201「社説の読み方~教員採用汚職編」で、私は5紙の論旨があまりに良く似た陳腐なものであることにケチをつけました。で、その後、ssh266「社説の公式」で、社説が陳腐な批判を展開する時のパターンは完全に公式化しているということを指摘しました。

 

 しかし、社説が一斉にホメるというのはssh開校以来あまり経験がありませんのです。

 ただ、ssh201で感じたのと同じ退屈さはあります。どれもこれも同じパターン。

 ですんで、ただ紹介してもまるでつまらないですから、今回もクイズを交えてお届けします。形式はセンター試験英語方式。

 

 14の文章を、4紙の社説中の空所<ア>~<エ>の最も適当な場所に入れなさい。

 

1 ままならぬ就職活動、リストラの嵐がおさまらない企業社会……。出口が見えない状況に社会が迷い込んでいる今、死力を尽くす選手の姿は、深く人々の心に刻み込まれたのではないか。

 

2 W杯が始まって約3週間、私たちは不思議な高揚感に包まれていた。顔に日の丸を描いて応援する若者、「君が代」を声を張り上げて歌うサポーターなど、素直に日本の国を誇る気持ちが伝わってくるからだろう。

 

3 何よりうれしいのは、日本中を明るくしてくれたことだ。とりわけ同世代の多くの若者が就職難や派遣切りなどで苦しむ中、選手たちは体格のハンディを克服し、世界の強豪と互角に戦う姿を見せてくれた。年上の世代には「日本の若者もやるじゃないか」と頼もしく映った。

 

4 みんなで日本代表を応援する一体感を味わい、選手たちから元気をもらった人も多いのでないか。スポーツが持つ力の大きさを改めて実感する。

 

 では、ご健闘をお祈りいたします。頑張れニッポン。


 

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ssh335 社説の読み方番外編〜世論調査の読み方を誰か教えて [社説の読み方]

<2010>

 

◆◆

 鳩山内閣の支持率は19%で、前回(5月7~9日実施)の24%から続落し、不支持率は75%(前回67%)に達した。鳩山首相が普天間問題の「5月末決着」を明言しながら、同県名護市辺野古への移設を、地元と社民党の理解を得られないまま決定したことで、首相は責任を取って退陣すべきだと思う人は59%に上り、「その必要はない」は36%だった。(中略)

 普天間問題に関しては、移設先を「最低でも沖縄県外」などとした首相の一連の言動を「問題だ」と思う人は81%を占めた。首相の資質に疑問を感じる人は多く、民主支持層でも「問題だ」は62%に上った。

 移設先を明記し、訓練の県外移転を拡充し、鹿児島県・徳之島の活用を検討するなどとした日米合意については「評価する」30%、「評価しない」58%だった。沖縄県の基地負担に関しては「軽減につながる」は19%にとどまり、「そうは思わない」が69%だった。(読売新聞531日付)◆◆

 

◆◆

 鳩山内閣の支持率は17%と前回調査(15、16日)の21%からさらに下落し、初めて10%台に落ち込んだ。不支持率は70%(前回64%)。

 普天間飛行場を沖縄県名護市辺野古に移設するとの政府方針を「評価する」は27%にとどまり、「評価しない」が57%と大きく上回った。

 鳩山由紀夫首相が普天間問題を5月末までに決着させるとしていたことについて、約束を「守った」と考える人は13%で、「守らなかった」は78%に達した。

 この問題での首相のこれまでの取り組みを評価する人は「大いに」「ある程度」合わせて21%、評価しない人は「あまり」「まったく」合わせて79%。首相に厳しい視線が注がれ、内閣支持率の低下につながっているようだ。

 首相が普天間問題で辞任すべきかどうかでは、「辞任すべきだ」46%、「必要はない」45%と伯仲している。(朝日新聞530)◆◆


 

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ssh297 社説の読み方〜地価下落編 [社説の読み方]

<2009>

 

 久々の社説の読み方は、政権交代でも薬物問題でもなく、地価下落のこと。

 つーても、これを社説展開してるのは、読売クンと日経クンだけなんですが。

 

地価下落加速 政策の後押しで歯止めかけよ(918日付・読売社説)

◆◆世界同時不況の直撃を受けた不動産市場の冷え込みで、地価は総崩れに近い状態だ。ただ、今春以降の国内景気の底打ち傾向に歩調を合わせるように、下落のスピードが鈍り始めた地点も出てきた。今後、全国的な地価の下げ止まりにつながるか、注意深く見守る必要があろう。

 この傾向を定着させるためにも、政策の後押しが欠かせまい。まずは、着実な景気対策の実行である。土地取引への税制上の優遇措置も有効だろう。◆◆

 

地価に配慮し減税の継続を(918日付 日経社説)

◆◆国土交通省が発表した基準地価(7月1日時点)によると、全国の住宅地、商業地ともに下落幅が拡大した。世界的な金融危機に端を発した投資マネーの縮小に実体経済の不振が加わり、日本の地価は「全面安」の状況が続いている。三大都市圏は住宅地、商業地ともに4年ぶりに下落に転じ、都道府県別の平均値をみてもすべての地域で下がった。大都市部では下落幅縮小の兆しも見えるが、全般に地価の底入れには時間がかかりそうだ。◆◆

 

 両氏とも、地価があんまり下落するのは好ましくないというご意見です。しかし、私、ヒジョーに根本的な疑念があります。

 

 地価はなるべく安い方がいいんじゃないっすか?


 

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