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ssh1099 夏休み大型企画〜TC-K222ESG大修理(3) [DIY記]

<2020>


 ロータリーエンコーダを分解掃除し、さらにフォトインタラプタ2つを交換するという大仕事で作動の不良はなんとか治まったTC-K222ESG。これで一件落着かと思いきや、テープの損傷が以前より多発するようになってしまいました。


 ソニーのこの時期のカセットデッキは加齢するとこのトラブルがよく発生します。特に90分テープのような長時間テープで発生しやすい。我がK222ESGも実は2回目。前回は5年前にベルト交換したときで(LHR92)、この時はテープガイドの調整で症状は治まりました。なので今回も同じようにテープガイドを調整しました。



 ところが、今回はどう調整してもダメです。ネット情報によるとサプライ側のピンチローラーの劣化による可能性大です。他の要素はすべて潰しましたから、もうピンチローラー交換しか打つ手はありません。

 ピンチローラーの脱着はこれで3回目ですが、実は1回目にちょっとしたトラブルがありました。今回のターゲットであるサプライ側ピンチローラーはテープガイド調整ナットで固定されているのですが、これをいくら回しても全然外れませんでした。

 泡食ってネット検索したところ、テープガイド調整ナットがシャフトのネジ山に固着してシャフトごとクルクル回るケースがあるという情報を見つけました。改めてよく観察すると私のK222ESGはまさにこれ。ナットといっしょにシャフトが回ってました。シャフトをペンチで押さえてナットを回したら緩んで抜けました。

 K222ESGなどに使われているメカデッキはこのピンチローラーシャフトが抜ける個体がときどきあるらしいのですが、こういうトラブルもあるのですな。古い機械は侮れません。


 と、しかし、あれ?じゃあ5年前にナットを回したときはどうだったんだろう。20年以上経過したものが回ってその後の5年で固着するというのも不自然な話ですが、真相はよくわかりません。


 さて、問題のサプライ側のピンチローラーですが、この交換はしくじりました。写真撮り忘れちゃったんですけど、こちらのローラーは金属のがっちりした部品に取り付けられてまして、ここからシャフトを外すのに四苦八苦し、結局無理な力を加えて金具を変形させてしまいました。一応元の形に戻しましたけど、精度の要求される部分だけに不安が残ります。(あとでわかったのですがこのシャフトは垂直方向に外すのではなく水平方向に軸を叩き出すのが正しいようです、トホホ。)



 TC-K222ESGのDIY修理でものすごくお世話になってるサイトが2つあります。

 ・Audiolife:千歳市の業者で、カセットデッキとDATデッキの修理・販売を行っています。修理については写真と解説がブログに頻繁にアップされていて大変に参考になります。私にとって大変ありがたいのはAudiolifeは特定のマシンだけを修理対象としていて、その中にTC-K222ESGが入っているということです。K222ESGのサプライ側ピンチローラーの定位置が21.1-2mmというようなことまで教えてくれます。こういう業者があると、最悪の場合はお金払って直してもらえるという安心感があります。

 ・昭和カセットデッキ研究所:こちらは業者ではなくアマチュアの愛好家の方ですが、腕は完全にプロです。たまに海外から質問もらったりしてます。


 これでなんとかテープが痛むことを心配せずに済むようになりました。が、宿題はまだ終わっていません。テープデッキの調整でもっともデリケートなアジマス調整が残っています。


 アジマスというのはテープのトラックとヘッドの当たる角度のことで、これがほんのわずか狂うだけでも音が激変します。特に高音に影響が大きい。これまでメカデッキのバラシに躊躇していた一番の原因はこれです。メカをバラすとテープパスとアジマスも調整しないといけない。テープパスはまあ目視でもなんとかなりますが、アジマスは大変です。

 アジマス調整を真面目にやるにはテストテープとオシロスコープが必要ですが、さすがにそんなものに大金をはたく気はありません。どーせ使うのは自分だけだから自分の耳が満足すればそれでいいと割り切るにしても、問題はどのテープで調整するか。手持ちのテープはどれも手持ちのデッキで録音されてますからアジマスの正確さは担保されません。

 私のようなケチんぼアジマス調整をする人は世の中にそこそこいるらしく、ある方が有益な情報を紹介していました。市販のミュージックテープならきちんとしたマシンで録音されているのでアジマスの正確さは信頼できると。




 チェックの結果ですが、まさに「微妙」。
 K222ESG単体で聴くぶんには特に問題ない感じですが、FX66に比べると高音の伸びが少し弱い感じがします。ヘッドフォンで聴くには現在のK222ESGの音の方が疲れなくていいくらいなんですが、高域に影響があるとするとアジマスが少しズレてる可能性があります。

 そこで最近録音したテープをメインシステムのスピーカーでいくつか聴いてみました。こちらも、THE・微妙。十分使い物になる音なのですが、気のせいか以前より高域の伸びが弱い感じもします。さてどうするか。



 DIYが業者に確実に勝ることが1つあります。それは常に手元にキカイを置いておけること。業者の場合、一定期間内に修理・調整してテストをして返さねばなりませんが、DIYならずっと様子を見ることができる。調子が悪くなったらまたいじればいい。古いキカイは一旦症状が治まってもまた調子が悪くなることもあります。DIYならずっとお付き合いできます。

 ということで、TC-K222ESGの大修理は一応フィニッシュです。次に手を出すとすればいよいよアジマスですね。